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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第3章 色欲花柳編

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37/100

幕間〜屈辱の敗走〜

はいどうもニノハジです〜

更新2日目となります!

前回に引き続き、本編とは違うお話なので少し短めになっております。

お楽しみいただけたら幸いです!

ではどうぞ!


それと先日Xアカウントが開設されましたので、ご興味のある方は是非そちらも見て頂けると幸いです。

URLは活動報告の方に記載してあります!

「ゲホッ!……ハア……ハア……クソ!クソ!クソ!」


 残る魔力を全て治癒魔法に回し、全力で傷を治療しながら悪態をつくルエル。

 彼は現在、助けに来た女性に運ばれながら移動中だった。

 傍から見れば完全なる敗走である。

 それは彼の高いプライドでは、耐え難い苦痛であった。


「絶対に……ただでは済まさねぇ……」


 ここまで順調に進んできていた人生計画が、たかが少女に壊された現実に。

 いや、この魔力だけ無駄に消費し、一向に治らないこの呪いに。

 あの程度の相手に深手を負わされ逃げている現実に。

 何より傍らの女に助けられている現状に。

 今起きている全てに、彼は怒りを覚えていた。


「本当、珍しいわね。貴方がここまで感情を顕にするのも」

 彼女の言葉にうるせぇよ、と内心思うルエル。

 昔から彼女は、ルエルに対する好意を口にしていた。

 しかしルエルは感じていた。

 それが普通の人間が抱く恋愛感情とは、まるで別物の感情という事に。

 そもそも2人は味方でも無ければ、仲間という訳でも無い。

 むしろ敵としていがみ合っていた時間の方が長いのである。

 そんな相手に対して、どうして好意を持てようか。

 彼女が本当に欲しているのは自分が持つ力。

 彼女が持ち得ない、様々なステータスだという事は明白である。

 何せ、大なり小なり他の6()()にも同じ様な事を言っているのだから。

 それが彼女の『強欲』たる所以であろう。


「てめぇは……この呪い……見た事あるか……?」

 そんな相手だからこそ、借りを作るのはごめん(こうむ)りたかったが背に腹はかえられず、彼女に助言を請う事にした。

 強欲な彼女なら、様々な知識を仕入れているとしても不思議では無いからである。


「ごめんなさい、(ワタクシ)もこの呪いは見た事無いわね。こんな複雑な呪いを使える人間が居る事に驚いているもの」

 しかし希望も虚しく、喜ばしい返答は帰っては来なかった。

 自分も相当魔法には詳しいと自負している。

 そんな自分でさえ分からなかっただけにある程度予想はしていたのだが、それでも彼女が知らないという事実に改めて畏怖の念を覚える。


(この呪いもそうだが、やはり問題はあの『ギフト』だ。何度思い返してもあれはギフトなんて代物じゃ無かった。この呪いも含め、問題視するべきは恐らくあの男)


 そこまで考え思い出す。

 予選の時から一向に本気を出す気配もなく、それでいて他を寄せつけない実力を持っていたニイル(あの男)を。


「こんな呪い迄使えるなんて。あのお嬢ちゃんは何者なの?」

 私、全然あの時の状況知らなくて、と続ける彼女にルエルは答える。


「アイツは……ハア……エレナートの……生き残りだ……奴は……装填魔法を、受け継いでやがった……だが問題は……」

「エレナート?」


 その単語を聞いて、彼女の態度が急変する。

 そしてルエルは思い出す。

 12年前も彼女は、エレナートを激しく敵視し、侵略計画に同意していた人物の1人だった。

 何ならあの戦争に参加すると言って聞かなかった彼女を説得して、不参加にさせたのはルエルである。


(コイツの目的はあの国の人間を皆殺しにする事だった。それは良いが装填魔法すら得られずに殺してしまう危険性もあったから、コイツを連れていくのはマズイと判断したんだよな)

「どうしてあの国の人間を……そこまで敵視する……?お前にとっちゃどうでもいい相手だった……筈だ」


 当時は自分に都合が良かったので敢えて放っておいたが、未だにそこまでの激しい敵意を見せる彼女を不審に思い、問い質すルエル。

 それに女は妖艶に笑い、答えた。

「だって、貴方の心を奪う存在だもの。貴方の身も心も欲しい私からしたら嫉妬の対象よ?」


 そう答える彼女に。

(てめぇは『強欲』だろうが……)

 と、ツッコミたかったが、自分達7人はどれか1つの欲望が突出してるだけで、他の欲も当然存在する。

 欲望が大きければ必然、他の欲望も大きく顔を出すのは当たり前の事なのかもしれない。

 自分にも覚えがあるので腑に落ちる点では有るが、今はそれどころでは無い。


 それよりも問題なのは。

「一緒に居た男、アイツは……やべぇ……得体の知れない存在……だ……俺達の知らない知識と……何より俺達7人の力迄……把握してやがった」


 そう、レイがニイルと呼んでいた存在である。

 彼さえ居なければ、いくら慢心していたとは言えルエルの勝利は揺るがなかった筈である。

 何故彼等が一緒に行動しているのか分からないが、今後も一緒に動く様なら、自分達『柒翼』の脅威になる事は明らかだろう。


「奴を……このまま放置していれば……必ず俺達の……障害となる……今は一刻も早く……アイツを始末するのが……先決だ」


 現場を見ていなかった彼女にも、危険度が分かるように伝えたのだが、しかし帰ってきた返答はルエルの予想の斜め上だった。

「ふ〜ん、そう。でも(ワタクシ)はやっぱりあの娘の方を優先したいわね。1人でも多く、私のライバルは消さないと」

「な……!」


 自分の私利私欲で、目の前の重要さに気付いていないのか。

 はたまた自分の欲望を優先した結果に、『俺達らしいな』と感心するべきなのか。

 驚きのあまり二の句が継げないでいるルエルを置いて、女は続ける。

「それに今はどうやったって無理でしょ?そんな状態じゃ、またあの娘にやられるのが目に見えてるわ。今は治療に専念しましょう。その呪いに似た物を見た事が有るから、それを頼りにすれば解呪出来るかもしれないわよ。だから(ワタクシ)も手伝うわ」


 彼女の言っていることは至極真っ当である。

 今は両腕を失っている為、治癒魔法も略式で発動している。

 しかし苦手な光属性魔法の為、通常より魔力量も、回復量も少ないのが現状だ。

 彼女に借りを作るのは業腹だが、ここは大人しく従う事にする。


「でもこれを治療するにはかなり時間が必要ね。その間に向こうも動き出しそうだし、他の柒翼()達にも協力を要請する?」


 確かに、自分の居場所はそう易々とバレないと思ってはいるが、万が一という事もある。

 協力というのはルエルのプライドが許さないが、利用してやるという気概なら、まだ許容出来る範囲内ではあった。


「なら……まずはセストリア(ここ)から1番近い……あそこか……」

「あ〜確かに。ここからならあの街が近いけど、私あの娘苦手なのよね。良い子なんだけど、だからこそ嫌い。女の欲しい物、全て持ってるから。殺して奪いたくなる」


 その言葉に本当にやりそうだから困る、と思うルエル。

「今は……そんな事でふざけてる場合じゃ……ねぇからな?伝えたらすぐに……治療に専念しねぇと……」

「分かってるわよ!流石にいきなりそんな事しないわ!」


 一応釘を刺しておき2人は一路、柒翼の一角が支配する街へと向かうのであった。

如何でしたでしょうか?

時系列的には序列大会後すぐのお話となっております。

明日から本格的なお話になっていきますので、新章をよろしくお願いいたします!ではまた明日お会いしましょう!

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