尚も続く旅路
はいどうもニノハジです〜
今年最後の更新となります!
何とか年内に間に合いました!
丁度この時期、これ以上の緊張感を味わっていた人達が多数居るのですね…
頭が上がりません泣
皆様いつもお疲れ様です!
そしてありがとうございます!
私の作品も色々な人を楽しませられる様に頑張りますので、今後ともよろしくお願いします!
「お姉様〜!」
自分を呼ぶ声に振り返る。
見れば自分より2歳年下の妹が駆け寄って来ていた。
今日は待ちに待ったピクニックの日。
忙しい父と母が、この日の為に予定を空けて連れて来てくれた、家族水入らずの時間。
前日に神様にお願いしたお陰か、今日はとても天気が良く、気温も調度良い。
正に絶好のお出掛け日和だった。
「お姉様捕まえた〜!」
「わっ!もう、びっくりした!全く、甘えん坊なんだから……」
抱き着いてきた妹を抱き返し、優しく頭を撫でてやる。
政務で忙しい父や母の代わりに、幼いながらも面倒を見ていたからであろうか、妹は自分にかなり懐いていた。
もちろん、忙しさにかまけて自分達を蔑ろにする様な両親では無い。
記念日はもちろんの事、こういった何気ない日にも、自分達の為に予定を空けてくれていた。
そんな両親は、少し離れた所でこちらを見ている。
自分は恵まれている、幼いながらもそう感じていた。
両親から愛情を受けて育てられ、こんなに可愛い妹も居る。
そんな妹と共に優れた才能にも恵まれ、それを伸ばせる環境も有る。
臣下は自分達に忠義を持って仕えてくれているし、臣民達も家族の様に接してくれている。
隣国との関係も良好で、正に平和そのもの。
その時は、こんな日がずっと続くのだと信じていた。
「ねぇお姉様?また来年も、皆でここに来ましょうね!」
妹も同じ様な事を考えていたのであろう。
それに同意を返そうとして……
「夢……」
カーテンの隙間から射し込む、朝日の眩しさに目が覚めたレイ。
未だ寝惚けた頭で辺りを見回すと、ここはザジの家で。
そしてレイは自分の部屋のベッドで寝ていた様だ。
更に言えば、何故か両脇にはランシュとフィオもレイを挟む様に寝ていた。
そこそこ大きめのベッドではあるが、流石に3人が寝るには狭過ぎる為、2人共レイに密着する形で眠っている。
なので身動きが取れない。
2人を起こそうか悩んでいると、右側から視線を感じる。
見てみるといつの間にか起きたのだろうか、ランシュが無言でこちらを見つめていた。
「っ!お、おはよう……?」
少し驚きつつ挨拶すると、ランシュの手が伸びレイの顔に触れてきた。
そのまま指で、目尻に溜まった涙を拭い去っていく。
「あ……」
どうやら気付かぬ内に泣いていたらしい。
恐らく先程の夢のせいだろう。
久しぶりに見た家族との夢は鮮明に思い出せて、そしてとても暖かく……
「だ、大丈夫よ。少し昔の夢を見ていただけだから。懐かしくなって感傷的になっちゃったのかも」
涙を拭い終わった後、頭を撫でてくるランシュに少し気恥しさを覚え、言い訳紛いの言葉を口走るレイ。
そんなレイを見て今度はレイの頭を、その豊満な胸に引き寄せるランシュ。
「わぷっ!」
そのままレイの頭を抱える様に撫でてくる。
流石に同性といえど、胸を押し付けられれば恥ずかしい。
天国では有るのだが、そろそろ呼吸も苦しくなってきたので、ランシュの腕を叩いて限界を示す。
「ぷはぁ!……死ぬかと思った……」
危うく本物の天国に召されそうになるレイ。
しかしこれがランシュの優しさ故の行動だと言うのは、この2年の間に学んだ事である。
相変わらず声は聞いた事が無いが、まるで本当の姉の様で逆らう事が出来ない。
幼い子供の様にあやされた事実に恥ずかしくなり、素早く着替えて部屋を後にするレイ。
「おや、ようやく起きてきましたね。元気そうで何よりです」
部屋を出ると、先に起きていたのであろうニイルが、朝食の準備をしていた。
「お、おはよう。今って一体どういう……」
状況?
と続く筈だった言葉は、レイのお腹から盛大に鳴り響いた音により掻き消された。
部屋に漂う美味しそうな匂いに釣られたのであろう。
顔を真っ赤にしてお腹を押さえるレイ。
「話の前に食事にしましょうか」
笑いながら話すニイルに、恥ずかしながら首肯し手伝うレイなのであった。
「1ヶ月!?」
レイの言葉が響き渡ったのは、朝食の準備を終え、ランシュが寝惚けたままのフィオを伴って席に着き、全員の食事が始まったタイミングだった。
余りの驚きに食事の手が止まり、ニイルを見るレイ。
それに肯定しながらニイルは言葉を続けた。
「その通り。貴女はあの日から1ヶ月程眠ったままでした。肉体と、何より脳へのダメージが深刻だったのでしょう。私達が治癒魔法を掛け続け、ようやく今日目覚めたという訳ですね」
先程も聞いた言葉だったが、改めて聞いても驚きを隠せない。
まさかそれ程迄の時間が進んでいるとは思いもよらなかったのだから。
体に何の変調も無いのが、その最たる原因であろう。
本来治癒魔法に筋肉等の衰えを防ぐ効果は無かった筈だが、レイの知らない方法で対策していたのだとレイは考えた。
若干の申し訳なさと、多大な感謝を感じつつ、現状を把握する為に質問を投げかける。
「じゃああれからどうなったの?アイツは……ルエルは一体何処に?」
レイの最後の記憶では、ルエルは謎の女と共に姿を消した。
その後何か進展が有ればとの期待を込めた質問だったが。
「残念ですが彼はあのまま逃亡、依然として行方は知れません。共に去っていった女性の方も何の情報も得られませんでした。流石に意識の無い貴女を連れて彼らを追跡する訳にもいかず、さりとてあの国では我々は大罪人として指名手配されてしまいましたので、この家に避難してきた次第です」
しかし帰ってきたのは予想通り、期待を裏切る返答だった。
思わず拳を握る手に力が篭もるレイ。
そんなレイを見かねてフィオがフォローに入る。
「で、でもね!?アイツが最後に言ってた言葉と、その後の情報収集のお陰で進展があったんだよ!ね?お兄ちゃん!」
その言葉にニイルを見ると、首肯し言葉を続ける。
「彼は最後に言いました。レイの復讐相手は他にも居る、と。彼等は裏社会を支配していて、ほとんどの情報が厳重に隠されている存在だったので調べるのに苦労しましたが、確証は得られました」
『神性付与』すら認知しているニイル達が苦労する程、巧妙に隠されている者達が存在する。
新たな事実に驚きつつ、レイは口を挟まずニイルに続きを促す。
「彼等は一人一人が大罪の名を冠し、それに見合う強大な力で各地を裏から支配しているそうです。その影響は広く、彼等で世界を支配していると言っても過言では無い、との事」
ニイルの言葉にレイは思考する。
成程、それなら突然平和な国を陥れ、世界共通の敵として攻め入る事も可能であろう。
これ迄の辻褄が合い、ルエルの言葉にも信憑性が増してきた。
「そう……それで彼等は今何処に?」
レイのその言葉に、首を横に振りながらニイルは言う。
「残念ながら正確な所在迄は把握しきれませんでした。彼等の力は強大、そしてそんな彼等を有する組織もまた巨大だという事でしょう。情報規制は厳重で、現状ではここ迄しか調べる事は出来ませんでした」
レイもそこまでは期待していなかったので、特に残念だと感じる事は無かった。
そんな重要な情報が世に出ているのであれば、これ程の暗躍は出来よう筈も無い。
しかし、とニイルは続ける。
「彼等の内、数人の居場所のアテは有ります。確証は無いので徒労に終わるかも知れませんが、情報が無いよりマシでしょう?」
その言葉にレイの瞳に喜色が浮かぶ。
何故そんな事を知っているのか気にはなるが、それを今聞いた所で答えてはくれないだろう事は、この2年間で重々承知している。
代わりに今後についての話をニイルに提案する。
「じゃあ今後はそこに行きつつ、各地を巡って情報収集をする感じね?」
「良いのですか?一番の目標はルエルでしょう?もしかしたらあの時受けた傷と呪いで、もう死んでいるかもしれませんよ?その場合、貴女の復讐は終わりでも良いのでは?」
ニイルの言葉に心外だと言わんばかりに反論するレイ。
「ふざけないで。直接的では無いにしろ、私達の国を滅ぼした連中が居るので有ればソイツらだって対象よ。それにルエルがあれ位で死んでいるとは思えない。その程度の相手ならこんなに苦労していないわ。だから他の奴に、アイツが今何処にいるかも訊かないと」
言い終えた後、少し悲しげな表情を浮かべてレイは3人に問う。
「それとも、ここからはもう付き合ってはくれない?」
それに笑みを浮かべてニイルは口を開く。
「大丈夫ですよ、貴女が望むなら私達も手伝います。それに、私も彼等に興味が湧きました。なので最後まで見届けますよ、貴女の復讐劇を」
「私も!一緒に手伝うよ!ね?お姉ちゃん!」
フィオも賛同し、ランシュも首肯する。
それに安堵の息をつき、3人に笑顔でレイはこう言うのだった。
「ありがとう!今後ともよろしくね!」
全員が笑顔を浮かべ、新たな指標が出来た所でニイルが口を開く。
「では食べ終わり次第、早速彼等を探す旅の準備に取り掛かりましょう。と、大事な事を忘れてました。私達の目的である彼等の名前です」
ずっと彼等だと不便ですからね、とニイルは続ける。
「個人名迄は分かりませんでしたが、彼等の総称は存在する様で。大罪の名を冠する人間は合計で7人。欲を象徴する彼等はこう呼ばれているそうです」
「『柒翼』と」
かくしてレイミス・エレナートという、人間としての物語は終わりを告げる。
これから始まるのは彼女がバケモノとして歩む物語だ。
第2章
序列大会編 終
如何でしたでしょうか?
という事で第2章完結です!
期せずしてキリよく終わらせる事が出来ました!
ここまで来れたのも読んでくださる皆様のお陰です!
いつもありがとうございます!
という事で今年はこれにてお終い、来年からは新章が始まります!
更新は未定ですがちょっとゆっくりしてから更新しようと思っていますので、皆様もゆっくりしながらお待ちくださると幸いです。
では今年もありがとうございました!
また来年もよろしくお願いします!




