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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第2章 序列大会編

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33/88

理外の力

はいどうもニノハジです〜

クリスマスも終わり、今年も残りわずかとなって参りました!

この戦いもいよいよクライマックスに向かって進んで行きます!

最後までお楽しみ頂ければ幸いです!

ではどうぞ!

 明らかに先程迄と様子が違う。

 ルエルが初めに抱いた感想はそれだった。


(アイツの放つ圧力(プレッシャー)が今までのそれと比では無い。もはや()()レベルかもしれねぇ)


 しかし理解が及ばない。

 直前にレイが放った言葉、それはルエルが先程も聞いた物と全く同じだったから。


(『()()()』、アイツは確かにそう言っていた。だが何だ?明らかにあれは『神性付与(ギフト)』の範疇に収まらない力だ。『神性付与(ギフト)』にそんな力が秘められているなんて事は聞いた事が無ぇ)


 かつて部下に『神性付与(ギフト)』を授け、自分も似た力を使う。

 更にそんなバケモノ共がゴロゴロ居る所で日々渡り合っているのだ。

 裏社会の秘密と言われているこの力すら、他の人間より詳しいと自負している。

 しかしそんなルエルですら今の状況は聞いた事がない。


(まさか()()()神性付与(ギフト)と勘違いしてんのか?それならそれで問題だが……)


 思考を巡らせているその時、目の前のレイが突然姿を消した。


「!?クソっ!」

 そう錯覚させる程のスピードでレイが迫っていた。

 咄嗟に自身の周りに防壁を展開し事なきを得たが、格段に先程より迅くなっている。


(このスピード!今の俺ですらギリギリ追い付けねぇレベルじゃねぇか!まだ上がるのかよ!)


 現在ルエルは自身の()()()()をほんの少し解放している。

 お陰でルエルの身体能力は人間のソレを遥かに超え、雷の速度にすら反応出来る程になっているのである。

 しかしそんな彼でさえ今のレイの攻撃はほとんど見えず、勘で奇跡的に防いだ状態であった。


(これもアイツの『ギフト』の効果か!?身体能力が上がるってレベルじゃ無ぇぞ!)

「まだ反応出来るのね。なら、これでどう?」


 内心の焦りを出さない様に冷静に対処し、守りを固めるべく魔法障壁を更に生み出すルエル。

 徐々に厚みを増していく障壁を、しかしレイは剣を防がれながら一瞬にして、今度は()()消してしまった。


「なんなんだ一体!?」

(この魔法が消える力も、さっきよりも強力になってやがる!アイツの能力が全く分からねぇ!)


 追撃に入ろうとするレイを阻む様に、重力魔法にて押し潰そうとしてくるルエル。

 それを視て理解していたレイは、難なく魔法範囲から抜け出しつつ周りを視続ける。

 そうすれば視界には、先程迄よりももっと多くの情報が映し出されていた。

 ルエルの残り魔力量や今まで見えなかった重力魔法の構成、果てには地面等の自然物の構成迄も。

 その情報によればルエルは更に、重力魔法をレイに向けて放とうとしている事が分かる。

 どのタイミングで、どの範囲に、どれ位の威力で放とうとしているのかが、手に取る様に解る。

 それに従って、次々襲い掛かる重力魔法を更に上がった速度でもって軽々回避していく。

 お陰で無傷で全ての魔法を凌いだが、ルエルとの距離を離されてしまった。


「その『ギフト』がどんな能力か知らねぇが、この重力魔法の前には意味が無ぇらしいな!こうして俺の周りに展開させておけば、てめぇは近寄れねぇだろ!?」


 それを見てルエルが見当外れな挑発を行ってきた。

 しかし今はまだ重力魔法が消せないと勘違いさせたままの方が良い。

(下手にバラして、奴が本気を出したら勝ち目が無いもの)


 現在レイの『神威賦与(ギフト)』によって生じる情報処理は、特殊なパスを介しニイルが(まかな)っている。

 それに伴い脳の反応速度も上がり、情報を高速で解析していた。

 略式にて発動していた重力魔法を理解出来たのもそのお陰で、それを消さなかったのは咄嗟に『神威賦与(ギフト)』を使える程、使いこなせていないからである。

 しかしそれを隠したままの状態だと、攻めあぐねてしまうのは事実。

 故にレイは、ニイルから受け取った秘密兵器を使用する事を決めた。


 先程受け取った情報を解析するレイ。

 それは見た事も無い魔法で、誰がいつ作ったのかも分からない技術。

 現在の叡智(えいち)では理解出来ない理論を用いているが為に、扱える者が居ないだろう代物。

 何故こんな物をニイルが知っているのか、それは分からないが……


(『神威賦与(このちから)』が有れば使える!)


 レイは目の前に雷属性の魔弾を生成、それを細く細く槍の様にしていく。

 その空間一帯と魔弾に、更に雷属性を付与し力場を展開。

 これを魔力と雷の特性を併せて……


「撃ち出す!」


 その槍は音を置き去りにし、ルエルの周りに展開されていた重力魔法をものともせず、多重の魔法障壁すら貫通してルエルの右肩へと命中した。

 重力と障壁により狙いは少しズレはしたものの、その威力は凄まじく、遅れてやってきた音と衝撃に吹き飛ばされるルエル。

 自分の周りをドーム状に障壁が展開していたのが幸いし、派手に飛ばされる事は無かったが、代わりに背中を強くぶつけむせ返る。

「ガハッ!一体何が……」


 周囲を確認しようとし、右腕に違和感を覚えるルエル。

 見るとルエルの右肩周辺がゴッソリ削られ、そこから先の右手が無くなっていた。


「は?」


 その時ルエルの目の前に何かが落ちてくる。

 水滴を撒き散らしながら落ちてきたそれは、よく見ると自分の右手にそっくりの物で。


「アアアアアアアアアアアア!?!?!?!?」


 それが自分の右手と認識した瞬間、激しい痛みがルエルを襲う。

 咄嗟に治癒魔法を使用するが、先程受けた呪いのせいで止血すらも遅々として進まない。


「んだこれはぁ!?一体何しやがったんだテメェ!」

 軽い錯乱状態に陥りながらレイへと叫ぶルエル。

 そんなルエルに冷めた目を向けながら冷淡に告げるレイ。

「『電磁加速魔弾(レールガン)』」


 レイが読み解いた情報によれば、雷魔法で電磁気力という物を作り出し、それを利用して弾を加速させる魔法らしい。

 らしいと言うのも、少なくともレイは電磁気力という言葉も、雷魔法にそんな特性がある事も、聞いた事が無いからである。

 こんな強力な魔法、普通であればすぐ世界に広まりそうなものだが、それすら無いという事は現在、この魔法を知っている人間はほとんど居ないのだろう。


「なんなんだよその魔法は!?」

 ルエルのその様子を見るに、彼すら知らない魔法なのであろう。

 そんな魔法、当然ながらレイも詳しくは説明出来ない。

 しかし、原理を知らずともその魔法陣を真似すれば再現出来るのである。


「さぁ?私もよく知らない。でもこれだけは言える。この魔法は貴方を殺し得る魔法よ」


 次弾の準備を終え、発射態勢に移るレイ。


「クソっ!」

 そう叫びながら横へ走りつつ、全力で障壁とレイに向けて重力魔法を打ち出す。


「ぐっ!」

 今までより格段に強力な重力に押しつぶされながら、『電磁加速魔弾(レールガン)』を発射するレイ。

 全ての障害をあっさりと退けつつ飛翔するが、やはり少しズラされ、今度はルエルの左脇腹を掠めるに至った。

 しかし命中していないにも関わらずルエルの左脇腹を少し抉り、またしても襲い来る衝撃波に吹き飛ばされる。


「ぐはっ!」

(防御も何も全てが効かねぇ!威力が魔法のソレを遥かに超えてやがる!速過ぎて撃たれてからじゃ回避も出来ねぇ!)


 幸いな事にあの魔法は連射が出来ず、次弾を発射するのにも時間が掛かっている。

 故に発射前に潰そうとしたのだが、あまり意味を成さなかった。

 やるならばもっと高威力の魔法を発射前に発動しなければならないのだが。


(それはつまりあの小娘に本気を出すって事だ!なんであの程度の相手にそこまでしなきゃならねぇ!?)

 その踏ん切りをプライドが邪魔をする。

「真正面から叩き潰して!てめぇの絶望に満ちた顔を拝まにゃ、気が晴れねぇんだよ!」


 レイが立ち上がり3射目を準備するのとほぼ同時、ルエルも立ち上がり魔法を展開する。

 この魔法は高度過ぎて、()()ルエルでは略式で使用出来ない。

 しかし発動に時間が掛かるのは両者同じ。

 奇しくもお互いの奥義がぶつかり合う展開となった。


 その魔法が作られるのを視ていたレイ。

 かなり高度で強力な魔法故、発動前に消してしまいたかったが、如何せん『電磁加速魔弾(レールガン)』の魔力調整が高度過ぎて手一杯になってしまう。

 ただでさえこの魔法の威力等の細かい調整が出来ていない現状、それ以外の動作が出来よう筈も無かった。


 レイよりも少し早く完成し、先んじて魔法を発動するルエル。


「飲まれろぉ!」

 声と共に両者の間に現れたのは黒い球体。

 それが周りの物全てを吸収するかの様な重力を伴って浮かんでいる。


「ハッ!」

 その一瞬後に『電磁加速魔弾(レールガン)』を完成させたレイは、その球体に向けて雷の槍を放つ。


 激しい閃光の後、呆気なく雷槍は黒に飲まれて消えた。


「ハハハハハハ!見たか!これが重力魔法の中でも更に高等な、ブラックホール魔法だ!コイツはありとあらゆる物をその重力で飲み込む!これでてめぇも飲み込んで終いだ!」


 その言葉の通り、徐々にその黒球へと引き寄せられ始めるレイ。

 あまりにも強力な重力故に、光さえも飲み込む深淵の闇。


 凡そ人間では太刀打ちできない絶対的な力が顕現し、人智を超えた力が衝突するこの戦いは、いよいよ最終局面へと向かうのだった。

如何でしたでしょうか?

いよいよこの作品の主な所であるバケモノっぽさが出てきたんじゃないでしょうか?

次元が違う戦いしだしてて、思い描いた感じに進んで嬉しいです笑

でも細かい所はツッコミ入れずにファンタジーやしなって目で見てくれると嬉しいです…

そして書いてある通りそろそろクライマックスです!

最後までお付き合い頂けると幸いです!

ではまた次回!

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