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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第2章 序列大会編

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32/87

ギフト

はいどうもニノハジです〜

ギリギリ2日連続更新出来ました!

年末が近いのでなんとか今年が終わるまでに目標まで書き切りたいと思い、頑張りました!

今回も楽しんで頂けたら幸いです!

ではどうぞ!

 自分の体からミシミシと音を立て、骨が軋んでいくのを感じるレイ。

 何とか現状から逃れようとするが、上からの重力が動く事を許さない。


「ぐう……ううううううう!」


 降り注ぐ重力に抗い、空いている左手をルエルへと伸ばす。

 しかし重力に逆らえず、すぐ地面を掴むことになってしまった。


 そんな様子を見下ろすルエル。

 先程までの慇懃無礼な所作とは打って変わって、粗野な態度で口を開く。

「これ程の傷を負うのは久しぶりだ。てめぇみてぇな小娘がよくもやってくれたな?」


 その瞳は怒りの炎を(たた)え、ギラギラとした雰囲気を醸し出している。

 口調すらも先程とは全くの別物であり、まるで別人の様だとレイは感じた。


「……それが……本性って訳?……随分猫を被って……いるのね?」


 レイが挑発する様に口を開くも、それには答えず代わりに重力が増し、更に地面へと押し潰されていく。

「あう!」

「口の利き方には気ぃつけろガキ。今がどんな状況かよく考えてから喋るんだな。てめぇの命は俺が握ってんだからよ?」


 もはや怒りの感情を隠しもしないルエルに内心焦りと、そして未だに計画通りに事が進んでいる事に、笑みを浮かべそうになるレイ。

 何故ならまだ自分は生きているから。

 かつてニイルは言っていた。

 ルエル(やつ)が本気を出せば一瞬で殺されるだろう、と。

 なのにあんな怒りを(あらわ)にしている状態でも、自分はまだ生きている。

 つまりルエルは未だにレイの事を侮り、油断しているのだ。


(どこまでも傲慢な奴。でも今はそれが有難い)

 レイもかなり限界が近いが、ルエルにもかなりのダメージを与えている。

 このままこの隙を突いて殺し切れる可能性も多分に有ると、レイは思案する。


 故に現状を打開する為の次なる一手を打った。


「ハッ!……自分が勝ったと……勘違いしてる奴程、足元を救われるのよ……こんな風に……ね!」

 喋りながら脳内で準備していた略式を展開するレイ。

 左手を伝い、地中を走らせルエルの足元を崩す為の土魔法が発動される。

 更にルエルの周りの土が盛り上がり、多数の巨大な棘と化して襲い掛かる。


 突然足場が崩れ、更に現れた棘を回避するべく後方へ跳ぶルエル。

 その際に解除された重力魔法の隙を突き、雷速にて退避。

 そのまま態勢を整え切れていないルエルに、一気に接近し剣を振り下ろす。


「な!?」

 しかしルエルへと届く直前、またしても魔法障壁により阻まれ、数枚の障壁を破壊するに留まった。


「ならそれを消すまで!」

 先程と同じ様に障壁を消そうとするレイだが、その時視界の端に不自然な魔力の流れを視る。

 本能に従い横へ回避行動を取ると、次の瞬間レイが元居た場所に、強烈な重力が降り注ぎ地面が陥没する。


「嘘!?見えて……くっ!?」

 その後も次々とレイを追う様に重力魔法が襲い掛かり、地面を抉っていく。

 それを全て間一髪で避けながら焦りを感じるレイ。

(まさか雷速に反応してる!?そんなの人間じゃ無いわよ!)


「まだ向こうのが速ぇな。ならこうだ」

 ルエルの呟きと共に、今度は完璧にレイの動きに合わせ、レイの行く先に重力魔法を発生させる。

 あわやまたも重力に捕らわれるかと思われたが、重力の檻はレイをすり抜け捕らえる事は叶わなかった。


「雷化した私に、あらゆる攻撃は届かないわ!」


 そう、雷装状態時に度々見せていた完全なる雷化。

 それを行い、間一髪の所で攻撃を避けていたのである。


(でもかなり魔力を削られた!この状態の魔力消費は半端ないから使いたくなかったのに!)

 内心でそう吐き捨てながら、自分の活動限界が刻一刻と迫っているのを感じるレイ。

(魔力量的にこの状態はもう使えない。この雷化が解ける前にカタをつける!)


「ハアア!」

 正しく雷と化して、先程よりも迅くルエルへと肉薄するレイ。

 そしてその速度も乗せて剣を振り抜くが、手応えを全く残さず、目の前からルエルが姿を消した。


「幻影!?」

 そう、この技は2年前レイを追い詰めた男の……


「部下に出来て、俺に出来ねぇ訳無ぇだろ」


 声が聞こえた方を向いた瞬間、今までと比べ物にならない位の重力が襲い、レイは地面に叩き付けられた。

 その衝撃はレイの居る場所を中心として、試合場の床のほぼ全てに亀裂が入り、そしてその中心地はあまりに強力な重力故か、空間が歪んで見えるほどだった。


「!?!?!?」

 あまりの衝撃に訳も分からず、声を発する事すら出来ないレイ。

 雷化状態を貫通し、全身の骨が砕けるのを感じる。


(た……え……ろおおおおお!)

 飛びそうになる意識を必死に繋ぎ止め、魔力障壁を展開、全ての魔力を防御と回復に回す。

 しかしあまりの重力に魔法障壁はすぐに砕かれ、回復した瞬間からまた骨が砕けていく。


(マズイ……!本当に死……)

「死ね」

 更に強まる重力に、限界を迎え死を覚悟するレイ。


「それは流石に見過ごせませんね」

 レイの意識が途切れそうになった時、聞き慣れた声が耳に届く。

 声の主は平然とレイの側まで歩き、強烈な重力を感じさせぬ動作で平然と、倒れ伏すレイの傍にしゃがみこんだ。


「はぁ?」

 突然の光景に間抜けな声が盛れるルエル。

 それはそうだろう、自分の魔法は正常に発動している。

 その証拠に横に倒れているレイは、重力により起き上がる様子は無い。

 光が歪む程の重力である。

 普通なら死に至る様な環境の中の筈で……


(何故アイツは平然とその中を動ける!?)


 あまりの出来事に動く事が出来ないルエル。

 そんな彼を置いて、ニイルは傍らのレイの頭を撫でる。

 次の瞬間ルエルの重力魔法が跡形もなく解除されてしまった。


「嘘……だろ……!?」

(あの小娘でさえ消せなかった重力魔法をいとも簡単に!?)


 衝撃の出来事の連続に、驚きを隠せないルエル。

 今までの戦闘でレイが重力魔法を()()()()のでは無く、()()()()という事は薄々勘付いていた。

 それをあっさりと行ったという事は、ニイル(あの男)レイ(やつ)よりも強いという事で。


「やっぱりてめぇが黒幕だったか!どこで『神性付与(ギフト)』なんて手に入れたのか知らねぇが、てめぇ一体何者だ!?」


 その問い掛けに一瞥する事も無く、レイを慈愛の眼差しで見つめながら撫で続ける。


「ニイル……」

「別に、私はこの子の師匠なだけですよ。だから少しだけ手助けをしに来ました」

 微かな声で呼ぶレイに応える様に、優しい表情で話すニイル。

 安心させる様に、柔らかい声色で尚も続ける。

「良くここまで頑張りました。そんな貴女に質問です。貴女はここからどうしたいですか?」


 その問い掛けに拳を握り、全身に力を込め立ち上がろうとするレイ。

「決まってるわ……アイツを殺す、それだけよ!」


 その答えに満足気に笑うニイル。

(ここで俺を頼るようだったら見捨てる事も視野に入れていたが、この関係ももう少し続きそうだな)


 ニイルにしがみつきながらも何とか立ち上がるレイ。

 それに再度レイの頭に手を置き、ニイルは語り掛ける。

「では力を貸してあげましょう。情報の処理はこちらでしてあげます。後は存分に()()()()()()()()()


 その言葉と共にレイの中の何かが開いた気がした。

 それと同時に頭痛も消え、思考もクリアになる。


「ついでに秘密兵器も授けました。存分に使うと良いでしょう」

 そしてレイの中に2つの情報が流れて来るのを感じる。

 1つは今の状態では分からない。

 しかしもう1つはニイルから授かった力の()()()使()()()


「さぁ、お前の復讐劇(ものがたり)にケリをつけてこい!」

「うん!征ってきます!」


 砕けた口調で発破を掛けられ、しっかりとルエル(まえ)を見据えるレイ。

 その瞳はいつもの薄桃色では無く、()()()()()()漆黒に染まっていて。


 そうしてレイはバケモノとしての新たな1ページを刻むのであった。


「『神威賦与(ギフト)』!」

「『発動(オープン)』!」

いかがでしたでしょうか?

遂に主人公が新たな力に目覚めます!

小さい変化だから分かり辛いかもしれないですけどその実態や如何に!?

次回で分かると思いますのでお楽しみに!

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