化生達の蹂躙
はいどうもニノハジです〜
この回でルエル戦が折り返しかな?という感じです!
ここから更にヒートアップする戦いを是非お楽しみください!
ではどうぞ!
「不味いですね」
爆発音を横目に見ながら、襲い来る男達を躱すニイル。
先程から目の前の5人を相手にし、凡その実力を計れた。
彼らの実力は人間にしてはそこそこ、しかし裏社会では二流もいい所であろう。
つまりニイルにとっては意識すらしないレベルの相手だった。
故に適当に時間を稼ぎ、弟子であるレイの邪魔をさせない様にしていたのだが、どうやら向こうはかなりの苦戦を強いられている様だ。
(俺とした事が、奴の力量を読み違えたな……)
剣による攻撃を避けながら思案するニイル。
ルエルの実力が想定以上であり、レイの勝算がかなり怪しくなって来ている現状に、計画変更を視野に入れた次の行動を模索していた。
(これは奥の手を使っても勝てないかもな……ならば一旦撤退するしかなさそうだが……せめて2人が戻って来るまでレイが持てば良いいんだが……)
現在、ランシュとフィオはニイルに頼まれた任務の為動いている。
ルエルが姿を見せた時点で、通話魔法にて指示を出していたのだ。
今回ニイル達3人の計画の最大のネックであったルエルがここに居るとなれば、あの2人の事だ、必ず成功させるであろう。
そのルエルの相手もレイに担当させる事で、今回の計画を進めていたのだが流石に相手が悪過ぎた。
(まさか今の状態の俺で視えないとは……成程、『神性付与』とは良く言った物だ)
そしてニイルはかつて出逢った天才達を思い出す。
彼等と協力してこの世界の仕組みを少し書き換えたのも、今では遠い過去になりつつ有る。
多少の懐かしさを感じつつも、回想を止め現実に向き直った。
(天才達のお陰であの力の事は知っていたが、まさか今では神性付与と呼ばれているとは思いもよらなかった。そのせいで読み違えてしまったな)
飛来してくる魔法をかき消しながらニイルはルエルを見る。
あれだけの魔法を行使したにも関わらず、魔力がほとんど減っていないどころか、微笑すら浮かべている。
(奴の力の見当はつく。想像通りならば奴の力は最強格だ。間違っても今のレイで太刀打ち出来る物じゃない。勝機があるとするなら油断しているであろう今なんだが、こうも実力差が有るとな……)
「余所見してんじゃねぇぞコラァ!」
目の前の男の大声に、意識が現実に引き戻される。
男はニイルに向かって剣を振り下ろそうとしていたが、その動きはニイルにとってはあまりにも遅い。
後ろに飛び退きながら危なげなく回避する。
「クソっ!さっきから全然当たらねぇ!」
「魔法もアイツに当たる寸前に消えちまうし、意味が分からねぇ!」
あまりにもレベルが違い過ぎて今までほぼ無意識で対応していたが、それでもやはりニイルの相手にはならなそうだった。
事の異常さに、ようやく男達が困惑を口にし始める。
彼等の実力は、人間の中で見るならば決して低くは無い。
それが5人も集まっているのだから、大抵の人間は即殺されていただろう。
しかし彼等の攻撃は全く意味を成さず、ニイルから攻撃をしても来ない。
明らかに舐めた態度に、とうとう男達が怒り始める。
「どんな手品使ってんのか知らねぇが、相手はたったの1人だ!囲んじまえば逃げ場は無ぇ!」
「ウロチョロしやがって!いい加減死ね!」
「避ける事しか出来ねぇ腰抜けが!それがいつまでも続くと思うなよ!」
口々に罵声を発しながらニイルを取り囲んでいく。
なるほど確かにそこそこの動きだが、やはりニイルとってはあまりにもお粗末な動きだった。
連携が取れていればまだしも、全員がバラバラに動いている。
出会ったばかりの、更に裏社会の人間達では無理な話であるのだが。
(しかし向こうの状況が状況なだけに、そろそろ遊んでもいられないか……)
そろそろ彼等の相手を止め、自分が出張るしかないかと考えた時、ルエルがこちらを向き口を開く。
「さて、貴方の弟子は始末しましたよ?これで6対1。貴方を始末して終わりです」
こちらに手を向け魔法陣を構築し始める。
(潮時か……)
とある理由で、封印していた本気を出すしかないと覚悟を決めるニイル。
一か八かの賭けである。
失敗すれば世界が滅ぶが、今死ぬよりかはまだマシだ。
そう決意し、己の中の封印を解こうとした時、ニイルの脳内に声が響いた。
「…………ふっ」
一瞬の硬直の後に吹き出してしまうニイル。
その後堪えきれないといった様子で笑い出してしまった。
「?」
その様子に訝しむルエル。
何か策が有るのか、それとも自暴自棄になったのか。
油断無く警戒しながらも、その真意を問いただす為ルエルが口を開いた。
「突然笑い出してどうしました?まさか死への恐怖で頭がおかしくなりましたか?」
その問いにひとしきり笑った後、深呼吸をしてニイルは答える。
「いえ申し訳ない。貴方が想像通りの人間で、あの娘が想像以上の人間だった事に驚いただけですよ」
「?」
その返答に益々意味が分からない、と訝しむルエル。
しかし彼が何かを企てている事は確実であろう。
行動を起こされる前に先手を打つ事にする。
「この状況下で貴方に出来る事は有りません。大人しく死を受け入れなさい」
そうして途中だった魔法陣を完成させるルエル。
その瞬間ニイルの周りに大量の魔法弾が生まれ、一斉に襲い掛かった。
着弾すれば周りの5人も巻き込みかねない魔法の弾幕はしかし、ニイルに当たる寸前に全て掻き消えてしまう。
「この物量すら効かないのか!?」
到底人間では不可能なその所業を事も無げにこなしたニイルに、流石のルエルも動揺を禁じえない。
「なんかよく分からねぇが隙だらけだぜ!」
ニイルの周囲に魔法が生まれ、そして消えるまで。
その出来事があまりにも一瞬の事だった為に、状況を良く理解出来ていない5人がニイルに襲い掛かる。
しかしニイルはそちらに一瞥する事も無く、5人は見えなかい壁に弾かれるように瞬く間に後方へ吹き飛ばされ、場外の壁に叩きつけられ沈黙した。
「くっ……!」
一瞬の内に5人を退け、1対1の状況を作り出したニイルに、最大限の警戒をするルエル。
「安心しなさい、貴方の相手は私ではありませんよ。私もあの娘に怒られたくないですからね」
そのニイルの言葉にハッとしてレイの方を見るルエル。
未だ土煙が晴れないが、良く目を凝らすと薄らと人影が見える。
少しふらつきながらもこちらへ歩んでくる人影。
そして土煙から出て来たのは、ボロボロになりながらも闘志を全く失っていない眼をルエルに向けるレイだった。
「あの弾幕から逃れたのか!?」
と言った直後に、いや違うと脳内で否定するルエル。
良く見れば装備や衣服はボロボロで、体のあらゆる所から血が流れている。
(あの魔法の数は致死量だった筈。モロに喰らえばあの程度で済む筈が……)
そのルエルの疑問に、息を整えながらレイが答えた。
「確かにさっきのをまともに喰らえばひとたまりもなかったわ。だからなるべく防ごうとしたのだけれど、なにせ数が多くてね。捌ききれない物は無視して、致命傷になり得る物だけ防いでいたの」
答えながら、新たに魔法陣を構築しつつ続ける。
「そうして気合いで耐え抜いた後は、こうして回復魔法で回復させてた訳。流石に動ける様になる迄時間が掛かってしまったのだけれどね」
そう言って完成した回復魔法で傷を癒していくレイ。
しかしその傷の治りが通常よりも明らかに遅い。
それもその筈、今発動している回復魔法、そして動ける様になる迄に使用した物、いずれも魔力をかなり節約して使用していたのだ。
ただでさえ戦闘で消費していた魔力だ、この傷全てを完治させようとすれば魔力切れは必至である。
再び立ち上がったところで戦えなければ意味が無い。
故に傷の回復もこれで止めざるを得なかった。
(最早魔力は3分の1以下。動くのもやっとだけれど、これ以上は減らせないわね)
深刻な状況ではあるが、それを誤魔化すように不敵に笑うレイ。
このままルエルが本気を出すか、ジリ貧にでも持ち込まれれば確実に勝利は無い。
故にここは一気に畳み掛ける事を決意する。
ルエルも平常心を取り戻し、笑みを浮かべながら言う。
「あそこから生きていられるとは思ってもみませんでしたよ。しかしそれでももう限界でしょう?足手まといが増えただけでは2対1の状況にはなり得ませんよ?」
「ハッ!何度も言わせないで。貴方の相手は私1人で十分よ!」
ルエルの言葉を鼻で笑いながら、意識を集中させるレイ。
今回奥の手として隠していた能力は2つ。
1つは制御に成功した装填魔法。
そしてもう1つだが、この力の発動には少し時間が掛かる。
2年の授業期間を経て尚、完全に制御出来なかったからだ。
現状、この力の発動条件は2つ。
1つは発動、及び維持する為の集中力。
もう1つはもし暴走してしまった時の為の安全装置として、ニイルがいつでも補助出来る状態である事。
この2つを満たしてようやく……
「見せてあげるわ。貴方へのとっておきよ」
ニイルから授かった力が、上手く発動出来た事を感じる。
そして彼女は……
「『神性付与、発動』!」
神へ至る扉を開くのだった。
如何でしたでしょうか?
遂に覚醒する主人公!
王道展開です笑
ここからどう決着するのか!?
あと数話を想定しているので今後とも是非よろしくお願いいたします!
ではまた次回!




