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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第2章 序列大会編

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25/87

動き出す悪意

はいどうもニノハジです〜

なんとストックを作る事に成功し、

連続更新が続いております!

今とても楽しいので書けるだけ書いてる状態です!

それに今回はここ暫くの話より大分文字数が少ないのでね!

それでも楽しんで頂けたら幸いです!

ではどうぞ!

「なんだと!?それは本当か!?」

 部下からの報告に口調も、崩れ思わず大声を出してしまうルエル。

 何事かと振り返るデューレル王に大丈夫ですと取り繕い、少し離れて報告の続きを聞く。


「確かに目標の部屋で、ダル様含む3名が死亡しているのを確認したと」

「クソっ!見通しが甘かったか……!」


 先程ルエルが部下に指示を出したのは2つ。

 まず1つ目が、この大会に参加している裏社会の人間や傭兵、冒険者等金で動く人間に金を握らせ、この大会参加中は自分の指示に従う様に仕向けた事。

 こちらの方はかなりの金額を提示しただけに、一も二もなく承諾を得られていた。

 もう1つは先程の試合で、神性付与保持者(セルヴィ)だと判明したスノウと名乗る女の暗殺である。


 あの神性付与(ギフト)は見た事が無いが、彼女の持っていた剣なら見た事が有る。

 以前は()()()()の頭首が持っていた筈なので、それを持っているという事は彼女もかなり上の地位の人間である筈だ。

 そもそも神性付与保持者(セルヴィ)はどこの派閥でも貴重な戦力である。

 それを削り、また過去の遺物を奪取出来るまたと無い機会だと思ったのだが、どうやら逸り過ぎた様だ。

 試合に敗れた今なら大会進行に影響も無く、また魔力も尽きていた事から、これ好機と焦ってしまったのだろう。


 しかし手負いとはいえ相手は神性付与保持者(セルヴィ)、故に1人はこの大会の参加者として紛れ込ませていた部下、もう1人は妨害魔法に秀でた者、そして2年前、ベルリの部下で唯一の生き残りであるダルと、自分の手駒の中でもかなりの実力者を送り込んだのだが、それを全て返り討ちにするなど出来るのだろうか。

 そこまで考え、一旦落ち着くべく深く呼吸しながら部下へと問う。


「それで?目標の女はどこに?」

 それに困惑した顔で、言い辛そうに答える。

「それが……この会場内では見つからず……現在は街の捜索にあたっております。街の外まで範囲を広げますか?」


 その返答に内心歯噛みするルエル。

 1度暗殺されかけたのであれば逃亡するのは当然。

 それなりの時間が経ってしまった今では、街の外まで逃げられているだろう。


「いえ、惜しいですがあの女は諦めましょう」

 今はそれよりもこの大会の方が重要だとルエルは言う。

 それなりに金を掛けているし、何よりベルリを殺した奴らの仲間が未だに見つかっていない。


「そういえば……」

 ルエルがそこまで考えた時、大会に正体不明の選手が居る事に気付く。

 試合場を見ると、丁度今その人物が勝ち上がり、3回戦が終了した所だった。

 ニヒルとか言う名前の人物だが、当初のレイと同じくフードを被っており、顔が全く分からない。


(もしやレイ(あの女)の仲間か?それとも他の派閥の奴らか、先程のスノウとかいう女がすり替わっていて、逃亡の機会を探っているやも……)

 可能性は色々有るが、不穏分子である事に違いは無い。

(レイとニヒルはすぐにでも消したい存在だが……)


 その時、脳裏に1つの策が思い浮かぶ。

(あまり表舞台に出たくは無いが、しょうがない)

「今すぐ大会運営を呼んでください」

 その計画を実行すべく、ルエルは部下に指示を出すのであった。



 危なげなく試合に勝利し、控え室へと戻るニイル。

 見渡すと他の選手に混じり、先程まで救護室に居たレイが次の試合の準備をしていた。


(おや、早いですね。もう暫く休んでいなくて良かったのですか?)

 通話魔法にてレイに話し掛けるニイル。

 それに表情には出さず、しかし半分怒りの感情を孕みながら返事が返ってきた。

(お陰様で完全に回復したわ!()()()のお陰でね!)

(?)


 何やらニイルに対して怒りの感情を抱いている様だが、理由が全く見当もつかない。

 自分が試合を行っている間に、何かあったのだろうか?

 と、考えている時、レイが更に怒りのボルテージを上げながら答え合わせをしてきた。


(どうなってるのよあの薬!この世の物とは思えない程不味かったわ!あんなのを人に飲ますだなんて、どんな神経をしているのよ!)

(あぁ、成程……)


 得心がいったという風なリアクションに、益々ヒートアップするレイ。

 曰く、全ての味覚を刺激され、脳がおかしくなりそうだった。

 曰く、地獄の釜から取り出した液体。

 曰く、この世全ての悪。

 etc……

 余程鬱憤が溜まっていたのだろう、ここぞとばかりに思いの丈を吐き出してきた。


(散々な言われようですが、お陰で魔力まで回復したでしょう?良薬は口に苦し。なんて言葉が極東の国には有るそうですが、これだけの効力が有るなら少しは我慢していただかないと)

(だからって流石にアレはあんまりじゃない!?あの味のショックで危うく命を落とす所だったわ!)


 とどまるところを知らない非難に、流石に言い過ぎでは無かろうか?

 と、少し悲しくなる製作者(ニイル)

 確かに味に関しては、全く考慮していなかった自分に非があるとしても、ここまで言われるとは思ってもみなかった。

 なにせ……


(あの薬、私達は使った事無いんですよね……)

(〜〜〜〜〜〜!!!!!!!)


 どうやら火に油を注いでしまったらしい。

 マズイと思った時には既に遅く、こちらを睨みながら永遠と文句を垂れ流して来た。


 ニイルの魔法連射もかくやというレベルで文句を言い続けるレイだが、その様子に少し微笑んでしまうニイル。

 思えばニイル達の所に来てから、いや、もしかしたら12年前のあの日から、ここまで感情をぶつけられる相手が居なかったのかもしれない。

 常に生き残る為に必死で、他人など信用出来ない。

 そんな人生を歩んで来た筈である。

 そんな彼女が年相応の女の子の様に、自分に不満をぶつけてくる。

 見方を変えれば甘えている、とも取れるだろう。

 そんな、ここまで心を開いてくれた彼女に、やっぱり絆されてしまったなと笑みが零れてしまう。

(ふふっ……)

(何笑ってるのよ!?)


 すみません、と謝罪し、このお嬢様のご機嫌取りに注力するニイル。

(分かりました。今後は貴女の意見も積極的に取り入れていきましょう。手始めにこの薬の改善点を教えてくださいませんか?)


 その言葉に一応の溜飲は下がったのか、一先ずの落ち着きを取り戻す。

(そうねぇ……まずは……)

 そして嬉々として自分の意見を述べ始めるレイ。


 これが薬が改善される喜びなのか、はたまた頼られた事による物なのか。

 子供のように、笑みを隠しきれない表情で語るレイを、かつての遠い記憶を思い出しながら見るニイルなのであった。



「ここまで勝ち上がった選手の皆様、この後第4回戦の前に陛下からのお言葉がございます。皆様は1度、試合場にお集まり下さい」


 控え室の入口から現れた男にそう告げられたのは、レイが落ち着きを取り戻し始めて少し経った時だった。

 例年とは違う進行に、参加者達も困惑しながら控え室を後にする。


(これってやっぱり……)

(えぇ……動き始めましたね)

 レイの推察を肯定するニイル。

 先程の試合でレイのフードは破け、正体がバレてしまった。

 観客や大会運営から何も言われていないので、今はフード無しの状態だが、正体を知るルエルが何か仕掛けてきたと考えて良いだろう。


(ランシュとフィオは今何処に?)

 ニイルが控え室に戻って来た時には、もう既に姿が見当たらなかったので、一応レイに確認する。


(私が控え室に戻るのと一緒に、仕事に戻ったわ)


 レイの返答によろしい、と返し控え室を出る2人。

 彼女達の事だ、何も言わずとも今は目的の場所付近で待機している事だろう。


 試合場に出ると、先程まで晴れ渡っていた空に暗雲がたちこめ始めていた。


(さて、雲行きが怪しくなって来ましたが、気を引き締めていきましょう)

(えぇ)


 そうして試合場に集まった選手達。

 レイにとっての本当の試練の時が、刻一刻と迫っていた。

いかがでしたでしょうか?

今回は少しギャグ寄りの話にしたつもりです。

シリアス続くと疲れますもんね笑

ちょっとした息抜き回です。

と言いながら今回の話の前半はドシリアスだったんですけどね笑

さてストックが無くなる前に次の話を書き終える事が出来れば明日も更新出来るでしょうが、

遅筆なのであまり期待せずにお待ちください!

ではまた次回お会いしましょう!

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