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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第2章 序列大会編

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23/87

それぞれの思惑

ニノハジですどうも〜

まさかの2日連続更新!

今めちゃくちゃ書くのが楽しいんですよね!

筆が乗ってるってこういう状況の事なんでしょうか?

書ける限り書いて、お話を進めたいので暫くは出来る限り更新したいと思います!

問題はこれがいつまで続くか…

では気を取り直して今回もお楽しみください!

「突然試合場内に吹き荒れ出した吹雪によって客席は騒然となっております!さ、寒い!何が起こっているのかも全く分からな……あ、吹雪が!止んできております!中央に見えるのは……人影でしょうか!?一体何がどうなって……レイ選手です!足元ではスノウ選手が倒れています!決着がついたのでしょうか!?」


 司会の声を聞きながら、安堵のため息を漏らすニイル。

 負けるとは思っていなかったが本来の目的、そしてこの大会に出場している目的すらも忘れてしまっているのでは無いかと、途中から少し不安を感じながら観戦していたのだ。

 どうやら自分が想像する以上にレイは戦闘狂だったらしい。

 強者を前にして楽しむ心が彼女に有った事に、ニイルは驚いていた。

 しかし、それも仕方の無い事なのかもしれない。

 彼女はまだまだ子供で、そしてそんな子供が経験するにはあまりにも過酷な人生を歩んできたのだから。

(これ以外の楽しみを、まだ知らないんだろうな……)


 この大会が終われば彼女は生きる意味を失うだろう。

 自分達の関係がその後も続くかは分からないが、せめて独り立ち出来る位には面倒を見てあげたいと思う様になっていた。


(随分絆されてしまったらしい)

 つい笑みを浮かべながらそんな事を考えてしまっていたニイルに、後ろから声を掛けられる。

「何ニヤついてるのお兄ちゃん?」


 ニイルが振り返ると、調査をお願いしていたフィオと、その後ろにはランシュが立っていた。


「試合終わったみたいだけど、何か良い事でも有った?」

 少し(いぶか)しげな眼差しを向けつつ聞いてくるフィオに、立ち上がりながらニイルは逆に問うた。

「2人共、レイは好きですか?」


 それに2人が疑問を浮かべながら顔を見合せ、その後フィオが口を開く。

「もちろん好きだよ?今じゃ新しい妹みたいに思ってるし。ね?お姉ちゃん?」

 それにランシュが首肯する。


 その答えに満足気に頷きながら歩き出し、2人も付いてくる。


「どこ行くの?お兄ちゃん?」

 その問いに振り返らず答えるニイル。

「レイの元に、と言いたい所ですが、少し用事が出来ましてね。2人は先にレイの元に行ってあげてください。私も後から合流します」

「それは良いけどこれから試合なんでしょ?すぐ戻って来れる?」

「大丈夫ですよ、少し話をしに行くだけですから。用が終わったらすぐ向かいます。荒事にはなりませんよ」


 少し警戒していたのだろう、ニイルのその返答を聞き、一応の納得を示す2人。

 しかしニイルの次の言葉で、2人の表情は驚愕に染まる。


「『追霜剣』を見に行くだけです」

 そう言い残し、ニイルは観客席を後にするのだった。



 時を同じくして観客席の一角、要人や来賓を案内する席、その中央に座する人物が試合場の2人に拍手を贈っていた。


「素晴らしい試合じゃった。最後は良く見えなかったがお主には見えたかのう?」

 そう後ろに控える人物に問うのはこの国の現国王、デューレル・ド・レブン・セストリアその人であった。


「いいえ、私にも分かりませんでした。しかし、それ以外では素晴らしい試合を見せてくれた。それだけで、彼女達が真の強者だと判断するに十分かと」

 年甲斐も無くはしゃぐその人物に、内心辟易(へきえき)しながら答える人物、それこそがレイの宿敵であるルエル・レオ・ナヴィスタスである。


 本来であれば、この国のツートップが揃って城を空けるのは中々無い事である。

 ルエルも例年なら城に籠って、王に押し付けられた事務仕事を処理したかったのだが。

(今回ばかりは私も手を回したのでね)


 流石に他の人間に任せる訳にもいかなかったので、自分の足で現地を見に来たのである。

 しかしその甲斐は有った様だ。

 今試合を行っていたレイと言う女、あれは2年前、ルエルの右腕であったベルリを殺した奴らの1人と特徴が合致する。

 今、あの時の生き残りに話を聞きに行っているが……


 その時遣いに行かせていた自分の部下が戻り、ルエルに耳打ちをする。

「やはりそうだったか」


 どうやらあの女は2年前の犯人で確定らしい。

 他の仲間達の目撃情報は未だ無いが、恐らくこの会場付近に潜んでいるだろう。

 今迄全く目撃情報が無かったので国外にでも逃亡したのかと考えていたら、どうやらこの機会を狙って潜伏していた様だ。


「この屈辱、ようやく晴らせるな」

 2年前、自分の腹心を殺され、その道のプロも使ったにも関わらず全く痕跡が見つからなかった。

 お陰で自分の計画も大幅な修正を余儀なくされたのである。

 いつか自分の手で殺してやると、あの日から常に思い続けていただけに、ルエルは逸る気持ちを抑えるのに必死だった。


「残っている裏の人間の奴らにこう伝えてください」

 先程の部下に新たに命令を与え、部下が音も無く去っていく。

 それを見送ったあと、試合場に目を戻せば、どうやらその後、レイも気を失ったのか救護室に運ばれていく様だった。


(復讐の為に戻ってきたのだろうが、墓穴を掘ったな。お前に残された運命は私に殺されるか、私の前で惨めに雑魚共に殺されるかの2択だ!)

 今日は退屈せずに済みそうだと、独りごちるルエルなのであった。



「ん……んん……ハッ!?」

 一瞬前までの出来事を思い出し、目を覚ますレイ。

 どうやら自分は試合の後意識を失い、このベッドに寝かされていた様だ。

 体を動かそうとするが体の至る所が痛み、また魔力も切れかかっている為か体が重い。

 それでも無理やり体を起こそうとした時、不意に聞き慣れた声が聞こえた。

「まだ寝てた方が良いよ〜?魔力もスッカラカンじゃん。自分の試合が始まるまでゆっくり休んでな?」


 声の方を見ればフィオが心配そうにこちらに駆け寄って来ている所だった。

 その後ろにはランシュも居る。

 どうやら2人揃ってレイの看病に来てくれたらしい。


 その事実に嬉しく思いながら、しかし浮かんだ疑問を口にするレイ。

「来てくれてありがとう2人共。これくらい平気よ。それよりなんで此処に?そっちは終わったの?」


 その問いに満面の笑みを浮かべ、Vサインを作りながらフィオが答えた。

「もっちろ〜ん!こっちの準備は万端だよ!後はお兄ちゃんの指示があればすぐ動けるんだから!」


 それに流石だと感嘆するレイ。

 レイは2人が何をしていたのか知らされていないが、この短時間でしっかりとやるべき事をこなしている。

 それに引き換え自分は……

 と考えた所でニイルが居ない事に気付く。


「そういえばニイルは?」

「お兄ちゃんならちょっと遅れるって。もう少しで来ると思うけど……」

「お待たせしました。おや?目覚めましたか。」


 噂をすればなんとやら。

 丁度良いタイミングでニイルが部屋に入ってきた。

 計画を忘れて本気を出しかけたレイにとって、今はちょっとバツが悪い。

 そう思い顔を逸らすと、ランシュが険しい顔でニイルを見ている事に気付く。

 何かあったのかとニイルを見ると、丁度ニイルもランシュに気付いたらしい。


「今の所は大丈夫です」

 そう安心させる様にランシュを宥め、その言葉にいつもの無表情に戻るランシュ。


「とりあえず勝利おめでとうございます。やはりかなりの強敵でしたが、何とか()()()()行きそうですね?」

「うっ……」


 2人のやり取りに疑問符を浮かべていたレイとフィオだったが、ニイルからの言葉に顔を引きつらせる。

 それに笑みを浮かべながら、ニイルはレイの頭を撫でつつ続けた。

「冗談です。本当によく頑張りました。あの状況下でこれだけの成果なら上出来です。本当に強くなりましたね」


 その言葉に頬を赤らめながら、ニヤけそうになる顔を必死に我慢するレイ。

「こ、子供扱いしないで!私だって修行してるんだから!」

 そう言いながら照れ隠しでニイルの手を振り払う。


「あ〜!ズルい!アタシもアタシも〜!」

 その光景を見ていたフィオに強請(ねだ)られ、ニイルはしょうがないですね、とランシュとフィオの頭を撫でる。

 フィオは溶けそうな笑顔を浮かべ、ランシュは相変わらずの無表情だが、尻尾がとんでもなく荒ぶっている。


(わ、私ももう1回……)

 と、考えた時、微かに遠くから歓声が聴こえて来た。

 どうやら試合に進展が有ったらしい。

 ニイルもそれに気付いたらしく、2人を撫でるのを止め踵を返す。


「そろそろ私は控え室に戻りますよ。レイはこの薬を飲んで休んでいなさい。2人はレイの事を頼みます」

 そう言ってレイに謎の液体が入った瓶を投げて寄越し、部屋から出て行ってしまった。


「これは……?」

 急に渡された怪しげな物体を眺めつつ疑問を口にするレイ。

 答えは撫でるのを止められ、この世の終わりみたいな表情を浮かべていたフィオから告げられた。


「それは特製の回復薬ぅ……それを飲むと体力も魔力も一瞬で回復するスグレモノなんだよぅ……」

「どれだけショックを受けてるのよ……」


 相変わらず仲が良いな。

 そんな感想を抱きながら栓を開けるレイ。

 彼等の事は未だに詳しく教えてくれないが、いつか教えて欲しいなと、羨ましく思うレイなのであった。



「マッズ!?」

 それはそれとして、受け取った回復薬はもう二度と飲みたくないと、レイは後に語るのだった。

いかがでしたでしょうか?

最近どんどん文字数増えてる…

書きたいことを書いていくとどんどん増えるんですよね…

読むのだるくなって無ければ嬉しいんですけど泣

でもいつかお話が思い浮かばなくなったら困るから、今の内に文字数稼ぎしとかないと!笑

次回はどれくらいの量になるかは分かりませんが今回と同じ位だと思うな〜

では次回お楽しみに!

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