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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第2章 序列大会編

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六花の騎士

はいどうもニノハジです〜

三連休の内に更新したかったのですが間に合わず...!

遅筆な自分が妬ましい!

でも私もマイペースに書いていくので、皆様も自分のペースで読んでいただければ幸いです。

ではどうぞ!

「え〜……実況も任された私ですが、何が起こっているのか見当もつかない為、実況する事が出来ません!未だに鳴り止まない剣戟と衝撃から察するに、とても激しい試合が繰り広げられているのでしょう!」


 試合場を縦横無尽に駆け巡り、剣をぶつけ合う2人。

 剣閃は当然の事ながら、素人には2人の動きを目で追う事すら不可能であった。


「流石ね!私の速度に付いて来れる人間が居るなんて!世界は広いという事かしら!」

 かつてない程の強者相手に笑みを抑えられないスノウ。

 しかしそれに付き合っていられる程、レイは悠長にしていられなかった。


「貴女の遊びに付き合ってられる程こっちは暇じゃ無いっての!さっさと終わらせるわ!『+8(ブーストエイト)』!」

 その言葉を合図に、レイの身体能力が格段に跳ね上がる。

 何もかもが今までの比では無い程に迅い。

 先程迄の様に動こうにも全て先回りされ、スノウはレイの剣を防ぐ事すら出来なくなりつつあった。


「がはっ……!」

 更にレイの剣が少しでも掠ろうものなら、たちまち全身に電撃が走りスノウの体力を削っていく。

 対してこちらの攻撃は尽く回避されてしまう。

 剣に付与された氷魔法で相手を拘束しようにも、発動までの間に避けられてしまう。

 ダリウム戦の時に見せた周囲一帯を凍らせる技は、範囲は広いが隙が多すぎて使えない。

 もし避けられたりでもしたら、こちらは砕けた剣が元に戻る間の数秒、剣無しで戦う事を意味する。

 この高速戦闘中にそこまでのリスクを負う事は、スノウには出来なかった。


 それまで均衡を保っていた戦力差が途端に崩れ去っていくのを感じるスノウ。


「使うしか無い、か……」

 そう呟き、本当は隠しておきたかった切り札を使う覚悟を決める。


「目覚めて!『追霜(ついそう)』!」


 スノウの叫びに呼応するかの様に、剣身に蒼白い線が浮かび上がる。

 よく見ればそれは細かく描かれた図形や言語の様だが、いずれもレイはそれを見た事が無かった。


「あれは……」

 1つの心当たりを思い出し、警戒の為少し距離を取ろうとするレイ。

 次の瞬間、背中に強烈な寒気を感じ、強化された肉体で無理やり前方に飛び込む。


「くっ……!」

 直後背中を薄く切られ、思わず呻いてしまうレイ。

 振り向いてみれば、背後に氷で出来た剣が浮かび上がり、レイを切りつけていた。


(略式!?この状況下で!?)

 以前説明した通り、略式は脳内でしっかりとしたイメージを作れなければ、発動すら出来ない高度な魔技である。

 故に略式魔技を使える術師であっても、遠距離からの連続砲撃で使用するならともかく、移動しながらの使用はほぼ不可能と答えるであろう。

 現状のレイですら通常の格下相手ならいざ知らず、今の様に一瞬も気を抜けない高速戦の最中に、新たな魔法を打ち出す事は出来ない。

 精々現状の肉体強化と、魔法装填の変数を少し弄る位が関の山だ。


 しかし今レイを切りつけたのは、スノウが新たに生み出した魔法だ。

 この状況下でレイにも不可能な芸当をやってのけたのは事実。

 今迄実力を隠していたのか、それとも何か別の仕掛けでも存在するのか。


 そんな刹那の思考が、一瞬の隙を生む。

 レイの足が何かに拘束される。

 見れば足元が氷に覆われていた。


「いつの間に……っ!?」

 そして足元に一瞬向いた意識も、隙としてレイに襲い掛かる。

 今度は頭上から強烈な殺気と冷気を感じ、見上げると大量の氷の剣がレイへ向けて降り注ごうとしていた。


「避けれるかしら?」

 スノウの言葉と同時に襲い掛かる数多の殺意に、瞬時に現状では回避不可能と判断するレイ。


「『+9(ブーストナイン)』!」

 故に全力で肉体強化の変数を変更、もう一段強化した肉体でもって全力で後ろへ飛び退いた。


「あう!…………ハア……ハア……ハア!」


 余裕の無い全力の緊急脱出、何とか危機を脱したが上手く着地出来ず全身を強打しながら転がり、何とか場外手前で停止する。


「これすら避けるなんて流石ね。見た感じ身体強化魔法を『強化』してるのかしら?そんな芸当聞いた事無いのだけど?」


 油断無く、全身を緊張させながら立ち上がるレイ。

 さっきの攻撃でボロボロになったフードを脱ぎ捨て、初めてその姿を衆目に晒す。


「おぉ〜っと!何とレイ選手も女性だった〜!スノウ選手に勝るとも劣らない美貌の持ち主!しかもまだ年若いですね〜!?見たところスノウ選手と同い年位でしょうか!?こんな2人があれ程の試合を魅せてくれた事に、驚きを禁じ得ません!」


 司会の言葉に更に沸き立つ観客達。

 その言葉に満足そうな笑みを浮かべながらスノウは言った。

「でも宣言通り、そのフードを脱がす事には成功したわね。まさか美少女だとは思わなかったけど」


 その言葉に息を整えながらレイも答える。

「その言葉、そっくりそのまま全部返すわ。まさか略式を使えるなんて思わなかったのだけれど?」

「フフっ……使えないわよ?()()()?」


 その言葉に心当たりが正解だったと分かり、スノウの手にする剣を見るレイ。


「じゃあその剣のお陰かしら?普通の剣じゃ無さそうだもの。それ、過去の遺物でしょう?」

「本当に驚いた。まさか過去の遺物を知ってる人間が居るなんて。貴女やっぱり普通の人間じゃないわね?」

 そう言いながらスノウは剣を突き出し、答え合わせをし始めた。

「お察しの通り、これは過去の遺物と呼ばれる魔剣よ。銘は『追霜剣』と言うらしいわ。私もお父様から譲り受けたから良くは知らないけれど、何でも我が一族に伝わる宝剣、だそうよ?」


 その掲げられた剣の剣身が一際強く輝き、周囲に冷気を放ち出す。

 すると、スノウの周りに先程の氷の剣が瞬く間に出来上がっていく。


「能力は、予めこの剣に魔法を何個か登録する事が出来るの。その後登録された魔法は、()()()()()()()使用者の望み通りに発動する様、補助してくれるのよ」


 それが本当なら略式魔技よりも早く発動出来る。

 略式は変数を調整するのに対し、あの剣は想像、願うだけで良いのだから。


「そしてこの剣の特徴からか、氷魔法に関しては登録出来る数に上限が無いの。氷に関する剣だから、なのかしらね?氷に追想(きおく)を閉じ込める。故に『追霜剣』」


 だとすれば破格の能力である。

 スノウの力量次第でどんなに高度な魔法でも、習得さえすれば略式以上の使い勝手を得る事が出来るのだから。

 特に氷魔法に関して言えば彼女の右に出る物は居ないだろう。


 しかしそんな能力にも……

「デメリットは有る、でしょう?」

 レイのその言葉にスノウは僅かに反応した。


「でなければこんなギリギリ迄温存しておく理由が無いもの。私の実力を測れる程の実力者ならば、使わなければ勝てないと分かっていた筈。それなのに今の今まで温存していたからにはそれなりの理由が有る筈よ?」

 そのレイの指摘は的を得ているのだろう、苦笑しながらスノウは答える。

「その通りよ。これを使って魔法を使用すると、通常よりも多く魔力を使用するの。氷魔法以外の魔法は更に消費量が増すわ。初めから使えば魔力切れは必至だったわ」

 でも、とスノウは続ける。

「貴女の言う通り、やっぱり使わなきゃ勝てそうに無かったから。ここからは全力でやらせてもらうわね!」


 その言葉と共に、レイの周りを冷気が包む。

 嫌な予感がしたレイは、一瞬でスノウに接近する。

 直後、レイが先程まで居た場所が氷に包まれる。


(危うく氷漬けにされるところだったわね)

 そのまま肉薄したスノウに剣を振り抜いたが間一髪、スノウの周りを浮遊していた剣が防ぐ。


(発動後も自由自在なのね!)

 そのまま氷の剣ごと切り裂こうとするのだが、氷で出来ているにしては明らかに硬度が高い。


 その隙を見逃さずスノウの剣、そして浮遊する多数の剣がレイを襲う。

 身体強化をしているので捌けないスピードでは無いが、如何せん数が多い。

 躱せるものは極力交わし、残りは剣で弾く。

 その間に、スノウはレイから距離を取り、氷剣の数を増やしていた。


「楽しいわねレイ!」

 冷気を纏い、氷剣を侍らせながら笑みを浮かべるスノウ。


「楽しい訳無いでしょ!」

 そう吐き捨てる様に言うレイだがしかし、その顔には隠しきれない笑みが零れていたのだった。

いかがでしたでしょうか?

今までに無い戦闘シーンでの情報量!

読み辛くなってませんでしょうか!?

文章が多いと混乱するかもと思い、色々削ってみたのですが、

逆に削りすぎて分からなくなってるなんて事になってなければ幸いです泣

スノウ戦も良い感じに温まってきたのでなるべく早く更新したいなと思っております。

予定は未定なのでいつも通り気長にお待ちください!

ではまた次回!

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