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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第2章 序列大会編

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20/87

第3回戦

はいどうもニノハジです〜

更新が遅れているのでここいらでムチを入れ連続更新します!

昨日に引き続き今回のお話もお楽しみいただければ幸いです!

ではどうぞ!

 レイとニイルの両名が無事勝ち残り、少しのインターバルの後、3回戦目が開始された。

 控え室にて自分達の出場を待つ選手達に混じり、レイとニイルも通話魔法にて作戦会議に勤しむ。


 今回の議題は次の試合、レイとスノウの試合について、である。

 今までは特に対策せずとも勝ち上がれたが、流石に今回の相手には入念な準備が必要だとのニイルの判断であった。

 レイは自分の得物の手入れをしながら、ニイルの言葉に意識を割く。


(先程の会話ではほとんど何も得られませんでしたが、2回戦目を見るに速度重視の魔法も使える剣士、という印象でしたね)

 貴女と同じ戦闘スタイルですね、と、続けるニイルに同意するレイ。

(違いといえば私が雷魔法メインなのに対し、あの娘は水魔法、その中でも高等魔法の氷を使う事ね)


 スタイルが似ていても、使う魔法が異なれば戦略は全く変わってくる。

 恐らくだが、レイは雷で自身を更に加速させるのに対し、スノウは氷による相手の動きへの阻害であろう。

 どちらも速度を重視しているが、アプローチは真逆であった。


(でもそれ以外はほとんど一緒よね。まさかこんな所で私以外にも多重発動が使える人間が居るとは思わなかったわ)

 先程の試合の最後、スノウは身体強化魔法と魔法装填の多重発動を行っていた。

 レイと全く同じであるが、ここに2人の差が有るとニイルは言う。


(スタイルは一緒でも、内容の質がこちらの方が上だと思います。というのも、恐らくですが向こうは略式を使えないか、使えるとしても実践レベルには達してはいないと予想出来るからです。先程の試合でも魔法陣を描いていましたからね)


 その言葉に、レイも先程の試合を思い出す。

 確かに、発動までのスピードは一流と呼ばれる者達と遜色ないレベルだったが、それでも魔法陣を描いていた。

 この2年間で略式魔技を会得したレイと魔法陣を使用するスノウでは、その差は致命的な弱点足りうるかもしれない。


 そこまで考えた所でニイルが続ける。

(もう1つ、魔法陣の書き換えです。あの魔技を使える者はほとんど居ない、失われた技術です。今ではごく一部の者しか使えず、私はその者達を知っています。故に、彼女がそれを使える可能性はほぼ無いでしょう)


 確かに、あの魔技はニイルと出会い、初めて知った物だった。

 独学で魔法を学んだ時も、武者修行と称して強者を探し回った時も、あの剣聖と謳われた師匠(ザジ)でさえ、使っている者は見た事が無かった。

 それを何故ニイルが知っているのか気になるところではあるが、恐らく答えてもらえないので意識から除外する。


 ただ、あの魔技は応用が利く便利な技だ。

 使い方を工夫すれば、相手が知らない技術という事も相まって、かなりのアドバンテージが取れるだろう。


 ここまで見ればレイにかなり有利な戦いになりそうなのだが、最大の懸念点により楽観視は出来ない状況だった。

 それは……


(でも彼女は神性付与保持者(セルヴィ)なんでしょう?あの娘が神性付与(ギフト)を使い出したら、一気に形勢は向こうに傾くわ)


 そう、ニイル曰く、スノウは神性付与保持者(セルヴィ)なのだという。

 彼女の持つ神性付与(ギフト)がどんな能力なのかは定かでは無いが、楽観視出来る要素では無かった。


(そうですね、表の大会で裏の秘奥である神性付与(ギフト)を使うかどうか、怪しいところではありますが、追い込まれれば使う可能性は十分有ります。そして使われた場合、対抗出来る手段は1つだけです)

(装填魔法……ね?)

 その通りです、とニイルが肯定する。


 2年前、レイが神性付与保持者(セルヴィ)であるベルリと渡り合えたのは、レイの持つ装填魔法に寄るところが大きい。

 もちろん能力次第だが、装填魔法なら神性付与(ギフト)に対抗出来るであろう。


 しかしこれは全て可能性の話。

 戦いは何が起こるか分からないのが常である。

 2人もそれは重々理解していた。


(ですが、相手の神性付与(ギフト)が分からない以上、装填魔法でも太刀打ち出来ない可能性の方が遥かに高いのが事実)


 レイも肯定し、更なる問題点を挙げる。

(それにこの魔法を使えば、ほぼ確実にルエルに正体がバレるわ。この作戦自体ご破算になるかも)

 と、レイは考えていたのだが、以外にもニイルはそれを否定した。

(恐らくこの大会が中止、あるいは貴女の失格は無い、と思われます。理由としては他の民衆が装填魔法の事を知らないのに失格扱いすると、顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまう恐れがありますからね。裏の人間も多数出場するのに、個人的な理由で失格には出来ないでしょう)

 但し、とニイルが続ける。

(装填魔法を披露して勝てればの話です。負けた場合、今後奴に対する警護は厳しくなり、こんなチャンスは二度と来なくなるかもしれません。故に棄権する、という選択肢も有りますよ?)


 その言葉にレイは思わず顔を上げ、ニイルを睨みつけてしまった。

 それに気付かないフリをしながらニイルは続ける。

(あまり露骨な行動は控えてください。どこで奴が監視してるか分からないんですから。とりあえず棄権はしない方向で行きますが、以前言ったようにくれぐれも全力は出さない様にお願いしますよ?)

 そして念押しする様にニイルは言う。

(特に()()()は絶対使わない様に。アレを使う必要が有るのなら装填魔法も使わないでください。でなければ本当に計画が破綻しますので)


 そこまで言った所で、控え室がにわかにざわめき出す。

 どうやら試合が終わり、次の試合が行われるらしい。


(ま、何とかしてみせるわ)

 気負ったところでどうしようも無い、そう言い聞かせるようにレイは会場へと向かうのだった。



「さあ3回戦、第2試合が始まろうとしています!まず最初に現れたのは全身フードに覆われた謎の剣士!されど実力は隠し切ることは出来なかったか!?ここらで真の力を魅せてくれ!レイ選手〜!」


 司会の紹介と共に入場したレイに、大歓声が降り注ぐ。

 それを全く意に介さず進んでいくと、反対から対戦相手が入場して来るのが見えた。


「対するは前回準優勝者のダリウム選手を破ったダークホース!可憐な見た目と戦い方でファンが急増中と噂の美人騎士!スノウ選手〜!」

 その紹介は寝耳に水だったらしく驚きの後、顔を真っ赤にしながらそそくさと入場するスノウ。

 その様子に、特に男性からの歓声が増す会場。

「ファンサービスありがとうございます!」

 なんて、司会からヤジが飛んでくる始末。


 それに更に顔を赤くしながらレイを見据え、意識を切り替える様にこちらに話しかけてきた。

「あ、貴女も女性なのにこの対応の差は何なのかしら?そんなにバレないものなのね?」


 少しの憐憫(れんびん)を覚えつつ、肩を(すく)めてみせるレイ。


 それに不敵な笑みを浮かべながら剣を抜くスノウ。


「でも、ここでその正体を衆目に晒してあげるわ」

「やれるものならやってみなさい」


 レイも剣を抜き、お互いが構える。


「それでは3回戦第2試合!始め!」

 司会の声と共に戦いの幕が上がった。


((先手必勝!))


 戦い方も似ていれば性格も似ているのだろう。

 開始直後の行動も全く同じであった。


「なっ!?」

 しかしここで2人の差が生まれる。

 2人が同時に行った身体強化と魔法装填の多重発動。

 そこでニイルが指摘した通り、略式か否かの発動差が出る。

 即座に発動された魔法に、驚きの声を上げるスノウ。


 その一瞬の好きを見逃さず、強化された肉体で一気に強襲するレイ。

 間一髪、剣で防ぐ事に成功したが、スノウは後方に大きく吹き飛ばされてしまった。


(今の手応えは……)


 あわや場外へと落ちる寸前、軽やかな身のこなしで難なく着地するスノウ。

 傍から見てもノーダメージといった様相である。


(やっぱり自分から後ろに飛んだか)

 あまりの手応えの無さに違和感を覚えていたレイだったが、軽々と着地したスノウを見て納得する。

 自分から後ろへ飛び、衝撃を殺しつつ場外へ落ちることを防ぎ、更に距離を置く事により自分の魔法を構築する時間を設けている。


「開幕直後の鋭い攻撃を受け、そのまま場外へと吹き飛ばされてしまうかに見えたスノウ選手!しかしあっさりと着地し、魔法を発動させ仕切り直しています!」


 言うは易しだが実際に出来るかは別である。

 レイが構え直した所で、スノウの魔法が完成する。

 やはり彼女は……


「やるわね」

「貴女こそ」


 歴史に名を残す名試合は、まだ始まったばかりであった。

如何でしたでしょうか?

戦闘シーン、ガッツリ書こうとすると長文になりそうなのでこの戦いも長くなるかもしれません。

そうなると何が書きたいのか分からなくなりそうなのでそこら辺は気を付けないといけませんね...

優しい目で見てもらえると有難いです。

では次回もお楽しみに!

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