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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第2章 序列大会編
19/79

ダークホース

はいどうも、ニノハジです〜

最近中々更新出来ず申し訳ないです泣

気長に待ってくれている方はいつもありがとうございます!泣

でも前の話とか覚えてない人多いですよね多分...

そんな時は何回でも読み返してくれると嬉しいです!

はい、すいませんちゃんと更新します...

気を取り直して今回もお楽しみください!

 前回大会優勝者のゴゾーラムが敗北し、観戦していた者達が動揺する中、会場では更なる衝撃が襲いざわめきが一段と増していた。

 というのも同時に行っていた別の対戦カードでも、大番狂わせが起こっていたからである。


「ハア……ハア……ハア……」

 疲労困憊、深手は無いものの数多の傷を作り肩で息をしているのは、ゴゾーラムに次いで優勝候補であるダリウム。

 相対するは、1回戦でゴゾーラムと激しい戦いを繰り広げていたスノウであった。

 今にも倒れそうなダリウムに対し、スノウは多少の傷は有るものの、余裕の様相を呈している。


(やはり……強い……)

 これまでの人生、常に自分より強者が先頭に立つ環境に居た。

 故に慢心も驕りも無く、常に研鑽を積んできた。

 今回の相手も、強者と判断し油断無く挑んだつもりだった。

 しかしこれ程実力に開きがあるなど、全くの想定外だとダリウムは歯噛みする。


 お互い高速戦闘を主とする戦い方であり、開始直後は速度においてはほぼ互角であった。

 しかしスノウが一撃の重さ、更に反応速度もダリウムを大きく上回っており、戦いが長引くにつれダリウムが押され始めたのだ。


(私の剣すらも躱すあの反応速度。にも関わらずゴゾーラム並の力でもってガードの上からでも削られる、か。極めつけは……)


 ダリウムの予想ではあるが、恐らく彼女はまだ本気を出していない。

 それに気付いたのはダリウムが押され始めた時だ。

 一撃の鋭さはこちらに軍配が上がった様で、あの驚異的な反応速度を持ってしても躱しきれない攻撃を、何度か撃ち込むことには成功している。

 にも関わらずスノウのスピードもパワーも、落ちるどころか上がってきているのだ。

 一瞬の判断ミスが敗北に直結する、高速戦闘の最中であるにも関わらず。


 これ程の強者はこの国、いや、世界で見ても中々居るものでは無い。

 もしかしたら自分が目標とする騎士団長より強いかもしれないと、嫌な想像をしてしまう。


 そんな妄想を振り払い、改めて集中するダリウム。

 相手が強者だからと諦めるなど、他の騎士団員に示しがつかない。

 そして何よりも相手に、そして自分自身に……


「負ける訳にはいかないんでな」

 そう呟き、呼吸を整えるダリウム。


 その様子をじっと見ていたスノウだったが、満足気に頷くと剣を掲げ叫んだ。

「流石この国が誇る騎士団の副団長殿!そんな貴殿を踏み越え、私は更なる高みへと登らせていただく!」


 そうして彼女は空中に魔法陣を刻み、魔法を発動させた。

「強化!」


 一瞬スノウの体が薄く光る。

 身体強化魔法の特徴である。

 まさか今の今まで純粋な身体能力で戦っていたなんて。

 それだけでもダリウムの心を折るには十分だったのだが、彼女の持つ剣を見て更なる衝撃に襲われる。

「まさか、魔法の多重発動と魔法装填?」


 そう、スノウの剣が青白く輝き、まるで氷柱の様に透き通っていた。


(こんな高等テクが使える人間が、魔法師団長以外に居るのか!?)

 一つ一つの技術なら使える人間は居る。

 しかしそれを併せるとなると、途端に難易度が跳ね上がるのだ。

 故に、この国でもこんな芸当をやってのける人間はほぼ見た事が無い。


 騎士団長並の戦闘能力と、魔法師団長並の魔法技術。

 世界は広いなと改めて実感するダリウム。

 自分の敗北は目に見えているが、せめて諦めずに一矢報いる覚悟で。

「行くぞ!」


 体が悲鳴を上げるのも無視し、これまで以上のスピードでもってスノウに肉薄するダリウム。

 超高速の斬撃を繰り出すが、強化された身体能力で軽々躱し、ダリウムの剣は掠る事すらしてくれなかった。

「くっ!」


 その様子に興奮を抑えきれないといった様子で、スノウが言う。

「素晴らしい!その状態で尚、上がるのね!やはり倒しがいがある!」


 そしてスノウも反撃へと転じる。

 魔法が付与された武器は必ず特殊な力を有する。

 だからこそなるべく剣に触らない様、回避に務めていたダリウムだったが、避けきれずに剣で受けてしまった。

 その瞬間、スノウの剣がパリンという音と共に砕け散ってしまう。


「っ!?砕け……!?」

「終わりよ」

 スノウの言葉と共に、砕けた破片がダリウムの周りで一気に弾け、そして。

「凍てつけ」


 1つの巨大な氷塊へと変わり、ダリウムをその中に閉じ込めてしまった。

 まるで氷で出来た檻の中に捕らわれたダリウム。

 そのダリウムに背を向けながら。


「中々素晴らしい戦いだった。これで私も強くなれたと思う。また戦うのを楽しみにしているわ」

 そう言い残し、ダリウム対スノウの戦いはスノウの勝利に終わったのだった。



 優勝候補が揃って脱落するという事態に困惑しつつも、興奮冷めやらぬといった状態の会場を後にし、控え室に戻ったニイル。

 そこで観戦していたレイと合流し、現在の作戦の進行状況を確認しようとした所、2人を呼び止める声に振り返る。

 話し掛けてきたのは、先程迄ニイルと同じく出場していたスノウであった。


 前回の準優勝者をあっさり退け、ニイルからも要注意人物として名が挙がっていただけに、警戒を露わにするレイ。

 そんなレイに、笑いながらスノウは言う。

「そんな警戒しないで。さっきの戦いを観て、気になって声を掛けただけだから」


 その言葉にどう返したら良いものかレイが迷っていると、代わりにニイルが答えた。

「おや、これはツレが失礼致しました。何せこの後戦う選手から突然声を掛けられたものですから。緊張してしまったのでしょう」

 と、咄嗟に如何にもな返答をし、それに納得するスノウ。


 そして突然声を掛けた事に対する謝罪をし、声を掛けた理由を語り出した。

「ごめんなさい、確かに驚くものね。でも私と同年代の女の子が居ると思ったらどうしても気になってしまって」

「ほう?」


 しかしこの返答に、今度はニイルが警戒心を顕にした。

 こちらはフードを被っていて、他の選手との会話は行っていない。

 なのに何故、レイが同年代の女の子だと分かったのか。

 同じ様に益々警戒するレイに、笑顔を向けながら答える。

フード(そんなもの)を被ってたって分かるわ。時々見える腕や動き方なんかからね。逆に貴方は全く分からないのが怖いのだけど?」

 そう言いながら、ニイルに胡乱(うろん)な眼差しを向けるスノウ。

 警戒しているのはお互い様だと言いたいらしい。


「ではどうしてそんな相手の元へ?ただ単に仲良くなりたいから。という理由では無いのでしょう?」

「あら、そんな事は無いわ。純粋に仲良くなりたいのは本当よ。しかもその子が強ければ尚のことね?」


(成程、探りを入れたいという理由であれば、純粋な好意よりも余程分かりやすい)

 ニイル達にとっても彼女が何者なのか知らなければならないと思っていただけに、今回は彼女の思惑に乗る事にした。


「では貴女は何故この大会に?この国の人間なのでしょうか?」

 ニイルの質問に、スノウが否定しながら答える。

「その質問をするって事は、貴方達もこの国の人間では無いという事ね。そして質問の答えだけど、私はこの国の人間では無いわ。この大会に出た理由は強くなりたいから。強くなってお父様を、家族を守れるようになりたいの。いわゆる武者修行ってヤツね」


 先程の試合でも、強者を求める様な発言が見受けられた。

 その全てが本当では無いだろうが、嘘でも無いのだろう。

 2人がそこまで考えた所で、逆にスノウから2人に質問してきた。

「貴方達は何故この大会に?やっぱり強さを求めて?」


 それに適当に返答しようと考えていたニイルを制して、初めてレイが答えた。

「復讐の為よ。私が私である為に」

「……ふ〜ん」


 その返答に目を細めてレイを見るスノウ。

 レイはもう喋る事は無いとばかりに沈黙を続ける。

 数秒見つめた後、スノウは改めて2人に言った。

「ま、訳アリみたいだし、これ以上は聞かないわ。でもその強さは危ういわよ」


 そして背を向け更に続ける。

「でも、貴女のその強さには興味があるわ。是非この後存分に披露してちょうだいね」

 そう言って控え室を後にするのだった。


「余計なお世話よ」

 スノウが去った控え室に、吐き捨てる様に呟くレイ。

 次の対戦カードはレイ対スノウ。

 レイにとって今大会最初の、強敵との邂逅であった。

如何でしたでしょうか?

結局スノウ何者やねん...

あれ以上深追いすると大会所ではなりそうだったので止めておきました。

ちゃんと考えてますからご安心を。

そしてこの子も覚えていてくれると嬉しいかもです!

相変わらずここ最近の更新頻度の低さには申し開きもございませんが、失踪せず書き切りたい所存ですので気長にお待ちください!

ではまた次回!

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