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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第2章 序列大会編
18/80

第2回戦

はいどうもニノハジです〜

更新が大幅に遅れてしまい、申し訳ございませんでした!

色々と忙しく、書く暇が無かったんですと言い訳させて下さい!

でもそれに託けてサボっていたのも事実なので本当に言い訳です泣

それでも楽しんで頂ければ幸いです。

ではどうぞ!

 トーナメントが発表され、インターバルの後に第2回戦が始まった。

 レイの対戦相手はこの街ではそこそこ有名な冒険者らしい男だったが、危なげなく勝利し次にコマを進める。


 自分の試合が終わり控え室に戻る通路にて、次に出場するニイルを見つけるレイ。


(お疲れ様でした。そこそこ強い相手だった筈ですが、今の貴女には相手になりませんでしたね)

 労いの言葉を通話魔法にて投げ掛けてくるニイルに、他人のフリを貫きながらレイは言う。

(あの程度だとせいぜい準備運動位にしかならなかったわ。でも、今後も油断は出来ないわね)


 少し見ただけだが、レイが敗北する相手は居ない様に思えた。

 何人か苦戦しそうな相手は見受けられたが、負ける程では無いだろう。

 しかし、今大会は裏の人間も多数出場しているという。

 自分の実力を完全に隠している強者が居るかもしれない。

 そう、()()()()の様に。


(さっきの話だけど、本当にあのスノウって子は神性付与保持者(セルヴィ)なの?)

 恐らく自分と同年代であろう年頃の女の子が、実は人類最強格かもしれないとは、にわかに信じ難い。

 レイはニイルに改めて質問する。

 完全に自分を棚に上げているレイに、少し呆れながらもニイルは答えた。

(まず間違いないでしょう。何故そんな人間がこの様な場に居るのかは分かりませんがね)


 神性付与保持者(セルヴィ)とは、ごく一部の人間しか知らず、その他の人間は言わば都市伝説の様な物として考えているのがほとんどである。

 しかもそれは裏社会の人間だけで、表には話題にすら上がらない程の機密情報っぷりだ。

 レイも自分で目の当たりにする迄知らなかった事から、一般人が知る事はまず無い事柄である。

 そんな人間がこの大会に出場する意図が汲み取れず、不気味に思うのは仕方の無い事だろう。

 下手をするとルエルの仲間の可能性や、他国からの侵略者等、様々な可能性が考えられる。


 しかし何よりも不安なのが……

(貴女の次の対戦相手だという事です。第1回戦を見たところ、通常でもかなりの実力がありそうでした。使わないとは思いますが、もし仮に神性付与(ギフト)迄使われたら、この計画は破綻するかもしれませんね)


 神性付与(ギフト)の前に敗北した2年前と違って、今では神性付与保持者(セルヴィ)相手でも善戦出来るだろう。

 しかし、少なくとも全力を出さなければ勝てない相手ではある。

 そうなればルエルと相対する迄実力を隠すというこの計画は、頓挫する事が目に見えている。

 あの実力者相手にどう実力を隠しながら勝つか、それが今のレイにとっての課題であった。


(分かっているとは思いますが、くれぐれも全力は出したらいけませんからね?全力を出して勝つ位なら負けて下さい。私が勝てば良いだけなので)

 事も無げに言うニイルに、負けるのも嫌なんだよと思いつつレイは言う。

(そんな事言って、貴方の次の相手は前回優勝者らしいじゃない。油断して負けないでよね)

 これっぽっちも負けるとは思っていないが、少しの嫌味も込めて揶揄(からか)うレイ。


()()()()()()()()()()()()()

 それに少し()()()()()()()()()ニイルは応えるのであった。



 時は少し遡り、ここは何個か存在する控え室の一室。

 2回戦に出場するメンバー数人の中に、ゴゾーラムが居た。

 自分の得物である大剣の手入れをしながら、魔法で映し出された2回戦の様子を眺める。


 今行われている試合を観て、改めて確信する。

 やはりフードの2人組が、今大会の出場者の中で実力が抜きん出ている。

 現在、白フードが戦っている映像が流れているが、圧倒的過ぎて最早戦闘になっていなかった。

 対戦相手が弱い訳では決してない。

 彼はかなりの強者(つわもの)冒険者として有名で、ゴゾーラムとも一緒に仕事をしたりする仲である。

 そんな彼の実力を知っているだけに、白フードの実力が如何に上か嫌でも実感させられるのである。

 そして黒フードの方も、1回戦でかなり派手に暴れ回っていた。

 そっちは次にゴゾーラムと当たるが、同じ位の実力が有るとすれば自分の負けは確実だろう。


 そんな彼にしては珍しくネガティブな思考をしていると、同じく控え室で観戦していたダリウムが話し掛けてきた。

「やはり凄まじいな。しかも、恐らく奴はまだ実力を隠している様に思える。底が全く見えん」


 それはゴゾーラムも思っていた。

 1回戦の時も見ていて思ったが、目の前の敵に対する警戒心がほとんど無い様に感じていたのだ。

 最初は油断しているだけと思っていたのだが、今の試合を観て考えを改める。

 映像越しだと細部迄は分からないが、少なくとも見ていて分かる程に、油断や慢心している動きは見受けられない。

 つまり恐らく、彼我の実力差を明確に把握し、障害となり得ないと判断、作業のように相手を倒しているのだろう。


 これ程迄の実力者が居る事にも驚き、世界が広い事を知ったゴゾーラム。

「俺がこれから当たる相手はさっきの黒フードだ。恐らく奴も同じ位の実力だろう。昨日迄俺が最強と思っていた自分が恥ずかしいぜ」


 少し自重気味に笑うゴゾーラムに驚きながらダリウムは言う。

「お前がそこまで落ち込んでいるのを見るのは初めてだな。面白い物が見れた」

 揶揄うダリウムに笑いたきゃ笑えと言うゴゾーラム。

 それに笑いながらダリウムが続けた。

「だってそうだろう?自分が最強だなんて信じていたなんてまるで子供の様じゃないか。世の中強い奴は腐る程居る。それを知れて良かったじゃないか。それに……」

「それに、何だよ?」

「最強は騎士団長だしな?お前は2番手だ」

「抜かせ、俺の方が強ぇ」


 2人で笑い合いながら、緊張が解けていくのを感じるゴゾーラム。

 ダリウムなりに発破をかけていたのかもしれないと、心の中で感謝しつつゴゾーラムは立ち上がる。


「ま、確かに強い奴なんか沢山居るのが当たり前か。そんな奴相手にどう勝つかってのも戦いの楽しみだしな」

 そう言いながら試合会場へと足を向けるゴゾーラム。

「勝算でも有るのか?」

「普通なら接近戦に持ち込めば魔法師はそれで終わりだ。というか……」

 そこまで言って振り返り。

「俺には大剣(コイツ)でぶった斬る事しかしてきてねぇよ」



 試合会場では観客の盛り上がりは最高潮に達していた。

 それはそうだろう、前回優勝者のゴゾーラムはこの国では有名人だ。

 今回も派手な戦いを見せてくれるだろうと、今か今かと待ちわびていた。


「では続いての選手!皆様ご存知のこの方!優勝候補筆頭にしてこの国最強と名高い冒険者!ゴゾーラム選手!」


 司会の紹介と共に入場したゴゾーラムに、大歓声が送られる。


「相対するは黒フードのこの人!名簿には()()()という名前で登録されていますが、それ以外は全くの謎の人物!1回戦では戦略魔法の様な戦いぶりを見せてくれましたが、ゴゾーラム選手を相手にどう戦うのか!」


 その紹介に反対方向から入場するニイル。

 1回戦でも派手に戦ったので、こちらにも大歓声が送られる。


「ではゴゾーラム選手対ニヒル選手の戦いです!始め!」

 その声と同時にニイルに飛び込むゴゾーラム。

 本来魔法師は近距離攻撃の手段が乏しい。

 強者になればそれを補う者も居るが、通常は前衛に守ってもらいつつ戦うのがセオリーだ。

 なのでゴゾーラムもセオリー通り、一気に間合いを詰め、魔法を撃たれる前に接近戦に持ち込む算段だったのだが。


「なっ!?」


 いつの間にか取り出していたナイフによって、ゴゾーラムの大剣が防がれていた。


「なんとォォォォ!?ゴゾーラム選手のあの大剣をあんな小さなナイフで受け止めている!?どんな強度をしているんだー!?」


 司会も驚いているが、本当に驚くべきはそこじゃないとゴゾーラムは考える。

 いくらフードで全身を覆っているとはいえ、ニヒルの体格は大柄では無い事が見て取れる。

 なのに何故、スピードの乗った渾身の一撃を真正面から受け止められるのか。

 普通の人間が相手なら得物は砕け、更に相手は吹き飛ばされているだろう。

 だというのに、このニヒルという人物は全く微動だにしていない。


 その事実だけでゴゾーラムは恐怖を覚えたが、それを振り払うようにニイルに連撃を叩き込む。

 しかしナイフを持った手を動かすだけで、全ての攻撃を防がれてしまう。


(やっぱ化物かよ!)

 攻撃を続けながらも全く太刀打ち出来ない事実を前に、切り札を出す事を決めるゴゾーラム。

 剣の反動を利用し、少し距離を取ったゴゾーラムは自身の愛剣に手を添え叫んだ。

「魔法装填!」

 その瞬間剣が羽の様に軽くなり、先程よりも軽やかに剣を振り回せるようになる。


「出たー!ゴゾーラム選手の魔法付与!あの大剣に重力魔法を付与する事で攻撃速度を上げ、振り下ろす際には剣の重力を増し威力を上げるという必殺技だ!」


「オオオオオオオオ!」

 自分の持てる全てを振り絞り、剣を振り下ろすゴゾーラム。

 剣の重力も極限に迄上げ、正に乾坤一擲(けんこんいってき)の一撃を繰り出すがしかし。


 ニイルはその振り下ろしを左手で掴み、あっさり受け止めてしまった。


「「「は?」」」


 観ていた者全てがあまりの衝撃にそう呟き、動けないでいる中。

 ニイルはそっと右拳をゴゾーラムの腹部に突き出した。

 トンっと拳が当たった瞬間、ゴゾーラムの体内で凄まじい衝撃が生まれる。


「ごはっ」

 血反吐を吐きながら、気を失い倒れ伏すゴゾーラム。


 こうして前回大会覇者は、あっさりと敗退する事となったのだった。

如何でしたでしょうか?

久しぶりの投稿なのでちゃんと書けているか不安です。

楽しんで頂けましたか?

こんな不定期更新の作品ですが今後とも楽しんでいただけると幸いです!

ではまた次回!

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