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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第2章 序列大会編
17/80

陽動作戦

はいどうもニノハジです〜

今週は余裕が出来たので結構更新出来てます!

私もこうして書く事が出来て嬉しいです!

皆様にも楽しんで頂けているなら幸いです!

ではどうぞ!

 時は少し遡り、序列大会の前日。

 レイ達4人は序列大会に向けての最後のミーティングを行っていた。


「さて、この2年間の間で完璧とは行かないまでも、出来うる限りの仕上がりには持ってこれました。よく諦めずにここまで来れましたね」


 労いながら純粋に感心するニイルに、やる気に満ちた顔で答えるレイ。

「当然よ、今更諦める訳無いじゃない。言ったでしょう?強くなる為なら何だってするわ」


 今、4人は潜伏場所として選んだザジの家に滞在している。

 ここは他国どころか大陸すらも別なので、ニイルの予想通りここまで追っ手が迫る事は無く、修行に専念する事が出来た。


「度々セストリアに潜入し調査しましたが、明日はかなりの人数が序列大会に参加するそうです。ほとんどの参加者には後れを取る事は無いでしょうが、恐らく強敵も混じっているでしょう。決して油断しない様に」


 この2年でレイは常人よりも大幅に成長した。

 体も成長し、知識も増え、何より経験値と生まれついての類まれなセンスにより、今や人類の中でも上位の強者と呼べるだろう。

 しかし、神性付与保持者(セルヴィ)やそれに準ずる力を持つ者には苦戦を強いられるだろうし、何より……

ルエル(あのおとこ)を相手取るには荷が重すぎる。正面切って勝利するのはまだ難しいでしょうね」

 と、忌憚のない意見を述べるニイル。


 それに対し、苦虫を噛み潰した様な顔で、しかし反論せず頷くレイ。

「そうかもしれないわね。今だからこそ分かるけど、彼と本気で戦ったなら今の私では歯が立たないと思う」


 そう、強くなったからこそ相手との力量差をハッキリと自覚出来るようになった。

 恐らくルエルの実力は、ニイルレベルの化物だろうとレイは想像していた。


 2年ではどうしてもそのレベルに迄引き上げるだけの時間が足りなかった。

 相手の実力を認め、自分との差を明確に認める事もまた、強くなる為の秘訣という事はこの2年の間で痛い程学んだものだ。

 しかし、レイも決して遊んでいた訳では無い。

 この2年で新たな技を習得し、更なる力も得た。

 これを用いて作戦がハマれば或いは……

「奴を倒しうる可能性があるのも確かです」

 ニイルは確信を持って言うのだった。


「なので彼と戦う時の作戦ですが、以前にも説明した通りなるべく油断させた状態で彼の前に現れたいですね。そうして()()()()を突けば、今回きりではありますが勝利の見込みは見えてきます。逆に言えば彼の前以外で全力を出した時、それはあなたの負けを意味します」


 そう、明日の序列大会では、何試合あるのか分からないが優勝するまでに1度でも全力を見せた場合、対策されてしまうだろう。


「あなたの明日の目標は、本気で戦っても構わないが全力では戦わない、という事です。相手次第では大変難しい内容になる事でしょう。覚悟は出来ていますか?」


 その問に少しうんざりしながら、レイは答えた。

「何度も言わせないで。覚悟なんてとっくの昔に出来てる。やるかやらないかじゃない、やるだけよ」


 何度も確認するのも、この人なりの優しさだという事は、この2年で大体分かってきた。


(結構過保護よね、この人)

 身内に甘過ぎる彼を心配させないように、より一層気合を入れるレイなのであった。


「気合いも十分ですね。では貴女の作戦はその様に。次に()()の作戦を伝えます」

 そのニイルの言葉に疑問符を浮かべるレイ。


「以前言った通り、私達も彼に用が出来ましたのでね。戦いはしませんが、こちらも色々動こうと思っているのですよ」

 ニイルの言葉に、2年前そういえばそんな事を言っていたなと思い出すレイ。

 ニイルは続けた。

「それに際して貴女は特にする事は有りません。先程の作戦に集中してください。私達は別で動くので、頭の片隅に入れておいてもらえればそれで結構です」

「具体的にはどうするの?」

「私も大会に参加し派手に目立ちます。その間に……」

「アタシとお姉ちゃんがルエルを調査する為に潜入するんだ〜!」

 レイに抱きつきながら、フィオがニイルの言葉を引き継ぐ。


「きゃっ!?もうフィオったらビックリするじゃない。でも大丈夫?相手は一国の宰相よ?警備も厳しいんじゃない?」


 この2年の間にこの姉妹、特にフィオとはかなり仲良くなった。

 姉のランシュには、未だに少し慣れないが、悪い人ではない事は分かる。

 2人の実力を多少は知っているが、それでも心配なものは心配なのであった。


 そんなレイにドヤ顔をしながら、得意気にフィオが答える。

「ふっふっふ〜!アタシ達の潜入スキルは凄いんだよ〜?アタシは幻影魔法でどこでも潜入出来るし、お姉ちゃんは気配を完全に消せるから、尾行や潜入もお手の物なの!それに今までセストリアの情報を集めてたのはアタシ達だよ?」


 そう言われ、ランシュの方を見ると無言で頷いている。

 そういえば、2人はちょくちょく家を空ける事が多かった。

 その間彼女達は諜報活動に勤しんでいたという訳か。

 納得しつつ話を元に戻すレイ。

「じゃあ大会には私達2人で参加するのね。なら私もなるべく目立つ様に動くわ。勿論、本気を出さない程度に」


 と、ここまで考えてとある事を思い出すレイ。

「そういう事なら私も偽装魔法はせずに、名乗り出た方が良いのかしら?あなたのベルリ(ぶか)を殺したのは私よって」


 そのアイデアに首を横に振りながらニイルが答える。

「いえ、それは止めておきましょう。中盤以降ならともかく、最初から名乗り出た場合、大会自体が中止になる可能性があります。エレナートの名前は未だに知ってる人は大勢居ますからね。騎士団が動き出すと厄介です」


 そう言われ、確かにと思うレイ。

 いくら10年前の話とはいえ、いきなり国際的犯罪者が来たら参加不参加云々以前に、まず然るべき場所に通報されるだろう。

 そうなれば全てが水の泡だ。


 ただ、とニイルが続ける。

「私達2人は偽装魔法は掛けずに参加しましょう。勝ち上がりさえすれば、途中でバレようと、そうそう派手に運営側も動けないでしょうから。大会進行の為にもね。それに微々たるものとはいえ、魔力を消費しますからね。出来る限り温存しておいた方が良い」

「分かったわ。当日は私もフードで参加する事にする」



 そうして作戦の詳細を詰めて、時は現在に戻る。

 初戦を無事に突破し、レイ達32人は控え室に案内されていた。

 どうやら姉妹の方も上手く進んでいるらしい。

 通話魔法によって報告が来ているとニイルは言っていた。

 本当の目的を教えてはくれなかったのが心残りだが、レイは切り替えることにした。

 今の所正体はバレておらず、全力を使わずに済んでいる。

 その上で、派手に敵を倒していったのだから問題無いだろう。

 最大の懸念はレイとニイルが戦うハメになる事だが、これも運良く回避出来た。

 2回戦の対戦カードが発表されたのだ。

 ここからはトーナメント形式になるらしく、それ通りに進めばレイとニイルが当たるのは決勝になる様である。

 これで当面の問題は、正体を隠し切るという事だけになったのだった。


 一段落した所でニイルから通話魔法が来たレイ。

 応答すると労いの言葉と共に注意を促された。

(良い感じに進んでいますね。これなら順調に勝ち進んで行けるでしょう。と、言いたいところなのですが、どうやらそうも行かないらしい。貴女の次の次の対戦相手、恐らくスノウと名乗る女騎士が勝ち上がってくるでしょう)


 その言葉に思い出す。

 綺麗な水色の髪をしていて、大柄な男と真っ向から戦っていた。

(そういえば見掛けたわね。綺麗な女騎士。確かにあの人も強そうだったわ。油断しないようにしないとね)

 注意してくれてありがとう、そう伝えようとしたレイを遮り、ニイルは続けた。

(いえ、確かに素の力でも彼女はかなりの強者でしょう。先程の戦い、彼女は全く本気を出していなかった。純粋な体術だけでも厄介ですが、それ以上に厄介な事に……)


 続く言葉にレイはかなりの衝撃を受けることになる。


(恐らく彼女は神性付与保持者(セルヴィ)です)


 波乱の序列大会は、ここから始まろうとしていた。

如何でしたでしょうか?

ここから物語はもっと進んでいきます!

そしてバトルシーンも増えていく予定ですので私も一層気を引き締めねば!

そしてようやく主人公達が現れましたね!

だいぶ引っ張りました笑

次回から本格的に物語が動いていくのでどうぞお楽しみに!

ではまた次回〜

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