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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第2章 序列大会編
15/79

建国記念日

ニノハジですどうも〜

前話が第2章のゼロ話だとしたら今回から1話となります!

少し間が空いてしまい申し訳ありません!

忙しかったのも有りますが意外と難産でした笑

なので楽しんでいただければ幸いです!

ではどうぞ!

聖暦1592年


 この日、セストリアのほとんどでお祭りが催されていた。

 首都のセストは勿論の事、その他の地域でも大半が大なり小なり今日という日を祝い、そして大いに盛り上がっている。

 そう、今日この日はセストリア王国の、建国300年の記念すべき日なのであった。


 300年というと、全国的に見ても比較的浅い歴史を持つ国に位置する。

 そして当初は大国の反乱から生まれた小国と言われており、最近までは数ある小国の内の1つとしか認識されていなかった。


 それが今ではズィーア大陸最大の国として領土、国力共に発展したのには理由がある。

 それは約15年前、ルエルという男がこの国にやってきた事から始まる。


 彼は様々な功績を残し、瞬く間にこの国の宰相へと成り上がった。

 個人の戦闘力もさる事ながら知略にも長け、その手腕を持って隣国を取り込み、この短い期間で現在の国力を持つに至ったのだ。

 驚愕すべきはその短期間での国力拡張にも関わらず、暴動や反乱の数が極端に少ないという事である。

 戦争で侵略した国も少なくないが、敗戦国にも手厚い保護を施し、瞬く間に国を平定したのだった。


 そんな経緯が有るからこそ、彼の支持層は多く、王族でも無いのに次期国王に、との声も上がる程だ。

 しかし、そんな彼でも全てを平定出来る訳も無く、多少のいざこざは現在も続いている。

 それでもこの短期間で国力を拡大し、それを多少のいざこざで済ませている時点で素晴らしい指導者と言わざるを得ないだろう。

 そんな訳で一部の国民を除き、ほとんどの民がこの日を喜び、幸福を享受していた。


 ここセストも例外では無く、寧ろ首都という事もあり1番の盛り上がりを見せていた。

 街には屋台が所狭しと並び、大道芸人等の見世物の数も多い。

 そして本日は1番の目玉が控えているという事もあり、国内外から様々な人間が集い、溢れかえっていた。

 その目玉とは序列大会である。


 本来序列大会は2年に1度開催される大会である。

 しかし前回開催後、この建国300年に合わせるとの事で、今回3年ぶりの開催と相成ったのだ。


 この祭りは建国記念日の今日から1週間続くが、序列大会が開催される今日が特に、様々な理由から1番注目が集まる日でもあった。


 参加者による他の参加者への観察、単純な観戦者、そして他国からの偵察etc……

 3年ぶりの開催という事も相まってここセストは現在、様々な思惑と熱狂が渦巻く、注目の的となっていた。


 そんな民衆を遠巻きから眺める男が1人。

 大柄な体格で筋骨隆々、背中には身の丈程ある大剣を携えている。

 男の名前はゴゾーラム。

 彼はこのセストリア王国を中心に活動する冒険者であり、そして前回大会の優勝者である。

 その実力は折り紙付きで、この国最強と名高い騎士団長と並び人気を二分する程でもあった。

 そんな彼は現在、壁にもたれ掛かり参加者達を眺めて、否、観察していた。


「アイツは強そうだな。アイツは見た目だけの三流。アイツはどこかで見たツラだな?確か隣国で有名な魔法師だったか?」

 と、自分に匹敵する強者を探して品定めをしていた。


 そんなゴゾーラムに話しかけてくる男が1人。

「そんなギラギラした目で見回すな。一般の民衆が怖がってしまうだろう」

「よう、ダリウム。前回の決勝以来か?」

 彼の名はダリウム、前回大会の準優勝者で、この国の騎士団の副団長を務める男である。


「あの時、お前に負けてから私の信用も落ちてしまったからな。今回は勝たせてもらうぞ」

「言いたい奴には言わせときゃ良いんだよ。どうせ俺達の力量も分からん雑魚ばかりさ」


 彼らはこの大会で会う前から魔物討伐等で顔を合わせており、旧知の中であった。

 故に、ある程度の戦法を把握しており、そしてこの様に軽口を言い合える仲でもある。


 そんな会話をしつつも、ゴゾーラムは気付かれぬ様にダリウムを観察する。

 彼はレイピアでの高速戦闘を得意としていた。

 遅くは無いにしても、どちらかと言えばパワータイプのゴゾーラムは、その手数の多さと素早さに、大変苦労したものだ。

 前回大会はギリギリゴゾーラムの一撃が決まり勝利したが、今年は危ういかもしれないと感じるゴゾーラム。

 この3年間にこれ程迄に仕上げて来たのかと感心しつつ、自分と戦う事を想像してワクワクしてしまう。


 そんな彼にダリウムが問い掛ける。

「で?お前のお気に召す相手は見つかったのか?」

「まぁ、これ程デカく開催するだけあって人数は多いからな。活きがいいのはチラホラ居るぜ」

 と、参加者達に視線を戻しゴゾーラムは答える。


 実際今回の大会は、建国300年を記念したものとなっており、有志の応募以外にも全国から強者を集めたと言われている。

 そう言われるだけあって今年は楽しめそうだなと期待するゴゾーラム。


 そんな時1人の女騎士を見付け、ダリウムに声をかける。

「なあ、あの女知ってるか?あの水色の髪の女騎士なんだが」


 その問いにダリウムも同じ方向に視線を向け、暫し思案した後口を開く。

「いや、知らないな。あの鎧を見るからにどこぞの貴族の令嬢なんだろうが。この国の人間では無いか、辺境の出身なのだろう。しかし只者では無いな」


 そう、身のこなしや纏っているオーラ等、強者特有の雰囲気が漂っている。

 相手をするとなると、自分達でさえ危ういかもしれない、そう思える程だった。


 それ以外にも先程の女騎士程では無いにしろ、続々と強者が集まってくる。

 それを眺め、少しニヤケながらゴゾーラムは言った。

「今回は気を引き締める必要があるな。お前も油断してると足元を救われるかもしれねぇぞ」


 その言葉に真顔になりながらダリウムが答える。

「その様だな。しかしお前も気を付けろよ?お前こそ油断して初戦敗退なんぞならない様に……」


 そこまで言った所で、2人がとてつもない寒気を感じ視線を向ける。

 2人の視線の先にはフードを被った2人組が居た。

 あの2人組のどちらか、はたまた両方からか。

 今までの参加者から比べ物にならない程の圧力(プレッシャー)を感じたのだ。

 一瞬の事だったので勘違いだったのか、しかし武者震いを止められないゴゾーラム。

 見れば隣のダリウムも、レイピアに手を置き殺気立っている。


 2人組が受付を済ませ、会場に入っていくまでその状態が続いた。

 2人組が視界から消えた直後安堵のため息を零す2人。

 全身の緊張を解きながらゴゾーラムは言った。

「さっきの気配、勘違いじゃなければありゃ相当なバケモンだ。かつて俺が討伐したドラゴン以上だったぜ?」


 自分でも勝てる自信が無ぇなと笑いながら言うゴゾーラムだが、しかしダリウムは未だ緊張した面持ちであった。

 不審に思ったゴゾーラムが何事かと問いかける前にダリウムが答える。

「ゴゾーラム、気を付けろよ。今回の大会、何か裏で動いている可能性がある」


 ようやく警戒態勢を解きながら言うダリウムは、冗談を言っている様に見えない。

 更にダリウムは続ける。

「毎年の事だが、他国のスパイ共もこの大会には注目している。それはいつもの事だから構わんのだが、それ以上の大きなナニカが動いている。と、一部では噂になっている」

「なんだそりゃ?どっかの国の尖兵でも潜り込んでるってのか?」

「分からん、ただの噂だから眉唾では有るがな。しかし今回は裏の人間も関わっていると聞く。俺は()()()()()()ではないかと思っている」


 裏の支配者、ゴゾーラムも聞いた事がある。冒険者や権力者の間でまことしやかに囁かれている都市伝説だ。

 曰く、暗殺や薬の売買等表沙汰に出来ない裏社会を牛耳る者達が居る、と。

 彼等の持つ力は強大で、誰もその姿を目にした者が居ないという、故に都市伝説として語られている。


 その者達の存在は信じられないが、確かに今回は暗殺者等日陰の者達が参加するという噂は、ゴゾーラムも耳にしていた。

 その点に関しては気を付けなければならないだろう。


 そんな事を考えているゴゾーラムを置いて、ダリウムは会場へと足を向け、そして言った。

「裏の人間はこういう派手な催しには参加しないからな。だからこそ今迄やってこれたが。今回そういう奴らが関わっているのならば死人が出るかもしれん。最悪、俺達騎士団が出張る事態になるかもな」

 そう言って人混みの中に紛れ込んでいくダリウム。


 セストリア騎士団は国王、そしてこの国を守る為の部隊だ。

 そんな奴らが出て来るとなれば大会は中止、そしてあの王国最強も出てくるであろう。


 そうなれば……

「確かに今回は荒れるかもなぁ……」

 そうゴゾーラムは独り言ちるのであった。

如何でしたでしょうか?

これから序列大会へ向けてどんどん動いていきます!

話の内容的に前回よりも戦闘シーンが多くなると思います!

少し心が折れそうです笑

でも次回は多分そんな激しく戦わないと思いますので、

楽しみにしてた方は申し訳ありません!

でもこの作品で戦闘シーンを楽しみにしている方はいらっしゃるのか?

とにかく次回をお楽しみに!

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