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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第1章 人魔邂逅編
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神性付与保持者

はいどうもニノハジです〜

なんかここ最近休みが少し増えたので更新頻度が上がりましてね!

今だけでしょうけどモチベもあるので出来る限り進めたいなと思い書いています!

なんせ今良い所ですからね!

私も書いてて楽しいんですよ笑

皆様にも楽しんで頂けたら幸いです!

では始まります!

神性付与(ギフト)?」


 聞いた事のない単語に訝しむレイ。

 だがハッタリで無い事だけは確かだ。

 何せ先程までと明らかに重圧(プレッシャー)が違う。


「裏の界隈じゃ有名だぜ?神に選ばれた方々から賜る特別な加護、それが神性付与(ギフト)だ。俺は偉大なるルエル様より賜ったのさ!」


 確かにレイは裏社会に精通している訳では無い。

 しかし、仮にも今まで生き抜く為に裏も利用してきた。

 いわゆる善良な一般市民とは違うという自覚はある。

 その自分すらも知らないという事は、余程重要な意味合いを持つのであろうという事は容易に想像が出来た。


「これを使うのも随分と久しぶりだ!それこそ人間相手に使わねぇからな!以前使ったのは同じ神性付与保持者(セルヴィ)と小競り合いした時以来か!」


 こんな力を振るう人間が、他にも居るというのか。

 目の前に居るだけでも鳥肌が止まらない。

 しかしこちらも時間が無い。

 相手の能力が分からない以上危険ではあるが、対応するよりも速く決着をつける。

 そう結論付け、一気に間合いを詰めたレイだが……


「ぐっ……!」

 ベルリに近付いた途端、体が一気に何倍も重くなった。

 気のせいでは無い、確実に重くなっている。

 事実、持ち上げられなくなった剣先は地面に沈み、足の接地面は徐々にひび割れて来ている。


「これは、重力魔法!?」

 超高度な重力魔法を、略式で展開した事実に驚きを隠せないレイ。

 今までの戦闘の様子を見るに、彼にそんな高等技術も、魔力量も備わっていないと思っていた。

 しかし今それが可能という事は、先程の神性付与(ギフト)とやらの恩恵だろう。

 恐らくこの能力は、特定の魔法の略式発動を可能とし、更に魔力消費量も少なく出来る能力なのではないか、と考察するレイ。


(不味いわね……)

 レイの中で焦りが積もる。

 何とか全身に力を込め、全力で後退する。

 するとある程度離れた所で、全身の重さは嘘のように無くなった。

 ベルリの重力魔法は彼を中心に、数メートル範囲内の敵の重力を増す様だ。

 更に遠距離攻撃も重力の影響を受ける。

 何とか打開策を、と考えたレイの目の前に映った光景に思わず絶句した。


 恐らく幻影であろう分身し3人に増えたベルリが、更に全員略式で様々な魔法を展開していたのだ。

 パッと見るだけでその数30程。

 その魔法が一斉にこちらに向かって放たれる。


 当然ながらベルリは1人きりだ。

 残り2人は偽物であろうが、魔法は偽物とは限らない。

 案の定炎弾や雷撃等、様々な魔法の半数は幻影だったが、しかし恐るべき事に残りの半数は本物だった。


 魔法の嵐の中、或いは躱し、或いは剣で切り伏せながらも逃げ回るが、如何せん数が多すぎる。

 捌ききれずに氷弾をモロに食らってしまう。


「ぐぅ……!くそっ!」

 それでも尚止むことの無い嵐に、次第に体力と魔力を奪われるレイ。


「魔法を切る奴なんざ初めて見たが、そっちも限界みたいだな?」

 3人のベルリが声を揃えて問い掛ける。


「ただの人間が良く粘った方だ。神性付与保持者(セルヴィ)以外でこんなに追い込まれたのも初めてだぜ」


 これが、追い込まれた強者の。


「だから誇り、胸を張りながら」


 選ばれた神性付与保持者(セルヴィ)の。


「死ね」


 レイが超えるべき、壁の高さだった。



 そこからは一方的だった。

 遠距離から攻撃しようにも魔法の嵐がその隙を与えず。

 近寄ろうにも重力魔法の所為で隙を見せてしまう。

 『雷装』維持も残り30秒をきり、いよいよ追い詰められてしまった。

 何より不味いのが、ベルリが一向に魔力切れを起こしそうに無い事である。

 あれだけ大量に魔法を使用しておいて、先程与えた傷でふらつく事はあっても、平然と魔法を撃ち続けて来るのである。

 これは常人では有り得ない事であった。

 恐らくこれも神性付与(ギフト)なる物の恩恵だろう。

 つまりこちらの時間切れはあれど、向こうには無い可能性が高い。

 このまま時間が過ぎれば、レイの敗北は決定的という事を示していた。


「なら一か八かね」

 覚悟を決め、そう呟くレイ。


 遠距離攻撃魔法の略式は、移動しながら使おうとすると格段に難易度が跳ね上がる。

 持続時間や射程距離など、細かい設定を構築しなければならない略式は、移動すればその分その設定を変更しなければならない。

 故に略式を使える魔法師も、固定砲台の役割として使う事がほとんどだ。

 裏を返せば、その設定をしなくても良い強化魔法等は意外と使えたりする訳で。


「『雷装』!『60%(リミットシックス)』!」

 『雷装』の出力を、今使える限界ギリギリまで上げ、一気に移動する。

 狙うは3人のベルリが1列に並ぶ様になる場所。


「強化魔法!『+3(ブーストスリー)』!『雷装』!『100%(リミットカット)』!」


 いくら一瞬だけ100%の『雷装』を使える様になったと言っても、複雑な動きは未だに負担が大きく、単調な動作しか出来ない。

 だったら1列に並べて、3人まとめて、重力すらも振り切って……

「貫く!」


 その瞬間にベルリの本能が最大級の警鐘を鳴らした。

 魔法をレイへと向けつつ本能の命ずるまま、強引に体を右側に傾ける。

 それと同時に、体がとてつもない衝撃に襲われ吹き飛ばされるのを感じた。


 一瞬飛んだ意識が、地面に叩きつけられた衝撃で引き戻される。

 一拍遅れて鳴り響く雷鳴に、ベルリは自分がまだ生きているのだと教えられた。

 必死に体を起こそうとするが、ただでさえボロボロの体でその上吹き飛ばされたのだ。

 出血多量で意識も朦朧としてきている。

 それでも両手を地面に突き、体を起こそうとするとそこで違和感に気付く。

 ベルリの左肩から先が消し飛んでいた。

 恐らく心臓を狙ったのであろう一撃は、運良く右に避けた事で致命傷を避けたのだ。

 しかしこの傷だ、治癒魔法を使えない自分は出血多量で死ぬだろう。

「まさかこんなところでこんな小娘に殺されるとはな……」


 それを成した相手を探していると、少し離れた所に倒れているのが見える。

 生きてはいる様だが立ち上がる様子も無い。

 近付いて見てみると、真っ向からこちらを睨み返してきた。


「どうやら魔力切れの様だな?俺も限界だが、今ならお前を先に殺せるだろう」

 事実、体力は限界だが魔力はまだ余裕が有る。

 ベルリが使う神性付与(ギフト)は、自分の記憶している魔法を、魔力消費無く、略式で使用出来るようになるという破格の能力だった。

 お陰で最後の戦いでは、魔力を全く消費していなかったのである。


「ここまで追い込まれたのは生まれて初めてだ。この国の騎士長さえもここまで強くなかった。改めて、お前の強さに敬意を表するよ」


 空いた右手で剣を拾い、レイに突き付けるベルリ。

「んじゃあ、俺も直ぐに後を追うだろうが、先にあの世で待ってな。あばよ」

「くそ……」

 一筋の涙を流しながら呻くレイ。


 それは自分の不甲斐なさからか、はたまた復讐を果たせなかった申し訳なさからか、それとも両方か。


 そしてレイにその凶刃が振り下ろされる寸前、若い男の声が響いた。


「あぁ、どうやら間に合った様ですね」


 そこに居たのは、フードを脱ぎ捨てたバケモノ(ニイル)達であった。

という訳で如何でしたでしょうか?

現実の壁はレイちゃんの想像よりも高かったですね泣

でもたった1ヶ月でここまで強くなって頑張ったんだろうなって思ってくれたら嬉しいです!

さて次回でボスバトルは終了の予定です!

ようやく終わりが見えてきましたが、皆様最後までお楽しみに!

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