私に任せなさい!
「アイン。あんたは自分の体質をもっと理解しなきゃダメ!」
マオは眉間に皺を寄せながら、俺に説教する。
「ポーションが体内の魔力を回復させるからって許容量ってあるでしょ。自身の許容量を超えた魔力は体内を駆け巡って、あんたの体を傷つけるのよ」
マオに正論を言われ、ぐうの音も出せない。
「でも、他の人達は平気だろう?」
なんで俺だけポーションと相性が悪いのか……。
最近ずっとこの体質について悩み続けている。
端的に言うと、俺は焦っていた。
以前所属していた勇者パーティーの仲間たちは、今も呪いで苦しんでいる。
突然俺がパーティーを抜けたからだ。
神から勇者として任を承った幼なじみのウィルは、俺がパーティーを抜けると言ったときひどく動揺しているように見えた。
だが、俺は精神的に不安定になったウィルを置いてパーティーを抜けた。
魔王討伐の足手まといになりたくなかったから。
俺は仲間達の力を信じていたから、まさか敗北し呪いをかけられるなんて思ってもいなかった。
俺はどうするべきだった?
あのままパーティーに残るべきだったのか?
パチンッ
その時、おでこに強い衝撃が走った。
俺がぐるぐると悩み始めたことに気づいたマオがデコピンを喰らわしたようだ。
デコピンと呼ぶ威力ではなかったが、痛みのおかげで迷走モードから抜けることができた。
「あんたは体内の魔力路の循環が悪くて、効率良く使えてないのよ。他の人はあんたほど火力が強い魔法を使えないから、効率良く使って戦っているのよ。全く魔法剣士なのに頭は脳筋なんだから」
脳筋とはひどい言われようだ。
しかし俺は学んでいる。
説教モードに入ったマオに言い返してはいけないと。
「いい、アイン。よく聞きなさいよ。私があんたの体質に合わせたポーションを作るから、ぜっっっったい無理しないこと。いいわね?」
「ああ、分かってる」
「返事が小さいわよ。この天才薬師マオに任せなさい!」
マオの自信に満ちあふれた宣言が、俺にはありがたかった。