告白
「あの、つ、付き合って下さい!」
「はぁ」
思わず俺はため息をついてしまう。
美少女と言えるほどに綺麗な顔にボンキャンボンなスタイルをしている。
そして確放課後に屋上での告白には雰囲気が良いとは言えるだろう。
しかし一点を除けば。
俺とこの子の死角にニヤニヤとしている人達がいる。
そいつらはきっとこの子に俺に告白するように半ば脅したんだろう。
なぜなら俺は普通なら告白されるはずがないんだ。
ボサボサの髪に死体に似ている目をしているから。だから俺はクラスからも避けられている。
ならここで断るのがいいのだが、この子は顔を真っ赤にしている。
きっと恥ずかしさだと思う。
しかし俺がここで告白に断ればこの子がニヤニヤして気持ち悪いやつらになにされるかわからない。
そんなこと知ったことではないと切り捨てているのだが今回に限って俺は違うことをしていた。
「自己紹介を頼む」
「あ、はい!そうですよね、私のことなんて知りませんよね、私は南萌雪色と言います、北限さんのことは名前だけなら知っています」
南萌雪色と言うのか。
だから見覚えがあるのか。
「おかしなことを聞くが南萌さんの親は今生きていますか?生きていますか?」
「え!いえ、生きてません、だって親は殺されてしまったので……」
南萌さんは強いな。
「ごめん、人のプライバシーに関わることを聞いてしまって」
「いえいえ、気にしないでください」
俺は申し訳なさを相手に感じさせたいのでビックリとしているあいつらを見る。
つまり南萌さんのことは知らなかったみたいだ。
「手を出して」
俺は正面を向き直すと南萌さんに命じる。
「はい」
疑問を思いながらも手を出してくれたので、俺は手を掴み、走る。
女の子の手ってこんなにも柔らかいんだ。
「きゃ」
南萌さんはビックリしながらも階段を降りていくのにもタイミングを合わせてくれる。
なんて良い対処する子なんだ!
「「ハァハァ」」
俺と南萌さんは駅まで走ってきたため疲れていた。
お互い水筒を取り出してベンチに座り休憩する。
「なんで、ハァ、走ったんですか?」
やはり俺が走ったことに疑問に思ったみたいだ。
「南萌さんの親御さんが亡くなられた事件の犯人は俺の親も…だから手伝ってほしんだ」
「手伝う?って大丈夫なんですか?!そんなに簡単に話して」
「ああ、俺はなんとか犯人の情報を一から調べていった、その中でそれぞれの事件に共通することを見つけた」
「なんですか?その共通することは?」
「事件当時に幸せそうな人を襲っていたんだ」
「幸せそうな人?」
南萌さんは首をコテンと傾ける。何故か可愛く見えるのはなぜだろう?
そんなことより言わなければ。
「そうだ、だから手伝ってほしい」
「わかりました、でどうするのですか?」
「まずは移動をしよう、次に犯行しそうな場所に印をつけておいたから向かおう、話はそれからだ」
「はい」
俺と南萌さんは電車を使い、移動することにした。
ついてくる不穏な存在に気づかなかった。