表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/405

おっさん、慕われる


 おっさんが出て行って10分後……ボク達はこそこそ顔を突き合わせる。



「――行った?」

「ええ、間違いなく」

「探知魔術も使った。

 郊外へ向かっているのを把握した」

「ふう~危なかった。

 どうにか説得に応じてくれたね」

「まったくですわ。

 ガリウス様の事ですから、中途半端な態度ではお前達が心配だから~とこっそり尾行されてきそうですし」

「うん、ありそう。

 ガリウスは過保護だから。

 最後の助言は心に浸みた」

「あれは反則ですわ。

 思わず演技の為の仮面が外れそうになりましたもの」

「まあね。

 自分が窮地でも優しさや労わりを忘れない。

 だからこそおっさんは最高なんだけどさ。

 ……それじゃ、再度確認するよ。

 ボク達はおっさんのお陰でここまで成り上がった。

 それに対する感謝は忘れてないよね?」

「勿論。

 わたくしは身寄りのない孤児の一人だったのに、聖女と呼ばれるまで育ててくれたんですよ?」

「同感。

 あたしだって色々教わって賢者の資格を取得出来た」

「ボクなんか田舎の農家出身だったのが、おっさんに鍛えられ今や勇者だよ。

 おっさんがいなければ間違いなくクエストに失敗して野垂れ死にしてたのにさ。

 あの人は親以上の存在で間違いない。ただ……」

「――ええ。

 わたくし達の事にかまけて自分の事が疎かになってしまう。

 本来であればガリウス様こそ英雄になれるお人なのに」

「打算のないそういったところも好きなんだけど……

 あたし達もあの人に甘え過ぎていたと思う」

「ああ――だから今日からボク達は変わる。

 これからはボク達がおっさんを陰から支える!

 異存はないよね?」

「当然ですわ」

「今更聞かないでほしい」

「――ったく。

 どんだけおっさんが好きなんだよ、ふたりとも」

「あら? それは貴女でしょ、シア。

 さっき咄嗟に本音を口走りそうになったでしょ?」

「ホントに。

 なんだかんだ言って貴女が一番ガリウスを慕ってる」

「それはそのぅ……前衛職としていつも一緒にいたから」

「ふふ、乙女ですね」

「可愛い」

「まあわたくし達も負けてないんですけどね!」

「――ん」

「特にさっきのガリウス様のお顔ときたら!

 信じていたものがガラガラと崩れていきそうになりながらも……

 それでもわたくし達を心配させまいと、気丈にも自らを繋ぎ止め取り繕う!

 あの弱々しくも懸命で儚げな姿はたまりませんわ!

 あれだけでしばらくネタに困りません!」

「聖女なんて言われてるけど何気にこいつが一番ヤバいんだよね……」

「うん。持ってる本のほとんどが腐ってる……」

「本性は聖女じゃなくて性女ですわ~って、こないだ言ってた」

「うあ~」

「そこ!

 人の趣味にグチグチ言わないでくれます!?」

「まあ、色々おかしくなるのはシアも一緒。同類」

「うええ?」

「こないだガリウス様の着終えたシャツの匂いを嗅いでましたわね。

 履き続け蒸れきった靴下と一緒に。

 さすがのわたくしでもその行為は引きますわ」

「うん、ドン引き。戦慄」

「そ、そういうリアだってガリウスからこっそり拝借した鞘で何してたのさ!

 聞こえないと思ってるんだろうけど意外と壁って薄いんだからね!」

「なっ!? 淑女の秘密をよくも!」

「というか……やめませんか?

 このままだと不毛な争いになりそうで……」

「確かに……」

「うん、ごめん……」

「でも本当に皆さんガリウス様がお好きなんですね」

「ホント罪作りな男。

 見えないフラグばっか立てまくるし」

「そこがいいんじゃないか。

 じゃあ改めて誓おう……

 ボク達はこれから大好きなガリウスが成功するまで陰から支えるよ!」

「は~い」

「了承した」

「同意も得られたとこで、さっそくおっさんの後を追跡だ。

 おっさんは唯一無二のユニークスキル【英雄の運命】持ち。

 まるでヒロイックサーガの様な波乱万丈な出会いと宿命の因果。

 トラブルやフラグが放っておいても勝手に襲ってくる。

 だからボク達の役目はその露払いだ。

 厳選した良イベントのみをおっさんにお届けするよ。

 報われない役目だけど――

 おっさんには絶対幸せになってほしいから。いいね?」

「「了解!!」」


 こうしておっさん大好きなボク達の――フラグ叩きが始まるのだった。





おっさんパーティ<気紛れ明星>AAランク


ガリウス  戦士 お約束な朴念仁

アレクシア 勇者 結構な匂いフェチ

フィーナ  聖女 ダメダメ妄想家(腐れ風味)

ミザリア  賢者 色んな意味で


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 設定が斬新で、文章も読みやすい。 [気になる点] 特になし。 [一言] 追放されたと思いきや……、という発想がスゴイです。 頑張ってください。
2021/11/28 17:59 退会済み
管理
[一言] 腐っててもいい、シャツも良しとしよう! しかし鞘はやめろォ!! 折角のいい話が一瞬で「スン……ッ」ってなったやんけwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ