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おっさん、監視される

 

「おっさんが浮気をしているって!?」

「わん!」

「ええ、確定した訳ではありませんが」

「あくまでその可能性があると推測される。

 実際に行為をしたなどの証拠はない」

「けど――ルゥちゃんが教えてくれましたの。

 先程、ガリウス様がこそこそ街へと出て行くのを」

「おお。偉いね、ルゥ」

「わんわん!」

「でも人目を憚る行動は……怪しい。

 あの受付嬢とよかならぬ行為に及ぶ可能性もある。

 メイアー・ステイシスはガリウスの昔の女。

 長距離転移に巻き込まれこの都市に不在だったがそろそろ戻ってくると聞いた。

 もしかすると――」

「もしかする可能性がある、と?」

「――ええ。

 あと、これはあまり考えたくないのですけど――」

「なに? 言い辛い事?」

「ん。おっさんとはいえガリウスも男。

 もしかしたら――溜まってるのかもしれない」

「? 何が?」

「そこで率直に訊いてしまうからシアは駄目なんですよ?

 殿方が溜まってると言ったら決まってるでしょう――

 ア・レ。性交渉ですわ」

「うえ!? 

 だってだって――おっさんはいつも強くて優しくて頼りがいがあって――

 そんなおっさんがまさか――」

「純情無垢な箱入り娘ですか、貴女は(ハアぁ)。

 まあ――かく言うわたくし達も未経験なのですけど」

「露骨に誘ってもガリウスは手を出さない。

 それは大事にしてくれてるからだと思う。

 しかしそれで娼館に通われては本末転倒」

「何としてもわたくし達に手を出すよう説得しなくては」

「よし、ならば尾行しよう!

 幸いボク達にはルゥがいる――

 ルゥなら得意の鼻でおっさんの後を尾けるくらい何ともない筈だよね!」

「あん!」

「ふふふ――ガリウス様。

 どこへ行っても必ずや突き止めますわ」

「ん。ヤンデレ風味。

 最近フィーはこれがマイブーム」

「いやいや怖いから。

 じゃあ……準備も終えたし、出発だ!」

「「「おう(わん!)」」」

  










「ガリウス発見」

「対象を目視でも確認――って、ああ!

 お、おっさんが怪しい建物に入っていくよ!」

「ん~いかにもな感じですけど――

 看板が無いから何とも判別できませんわ」

「こ、今度はお金を払ってる!

 しかも何故か上機嫌だし!」

「いつになく、だらしない顔のガリウス――

 これはもうクロと判断。【遠見】の術への移行を要請」

「異議なし」

「文句はございませんの」

「ならば以後は【遠見】での監視に移る。

 ん。映像良好。画質はクリアーなので問題はない」

「おお、出た出た」

「ああ、ガリウス様が脱いでらっしゃる!」

「鍛えられた贅肉の無い肉体。

 傷跡だらけの中に蠢く筋肉。

 ん――フェチじゃないけど、アレはいいもの」

「た、堪らないですものねェ……(ハアハア)」

「うう、フィーが怖い。

 けど、ここって裸の男の人しかいないよ――って、まさか!?」

「ん。あり得る。

 ガリウスが女性に紳士な理由。実は男色家の可能性が――」

「最高じゃありませんか!

 男同士、巡り巡る快楽の渦に堕ちるガリウス様――

 ああ、ここは禁断の薔薇の園……はふぅ」

「目が完全に逝ってるフィーの戯言はともかくさ――

 ここって、もしかしなくともサウナじゃない?」

「ん。実はそんな気がしてた」

「いえ、あの――

 ほら、ここから特殊なサービスに移る可能性が――」

「残念ながらそれは無い。

 何故なら――熱波が始まった。

 熱波師がいる施設は健全な証、風俗営業ではない」

「良かった~。

 信じてたけどおっさんは潔白だったんだね!」

「成程。ガリウスは溜まった欲望をサウナで「整えて」いる、と。

 だから欲に塗れず清廉潔白なのかもしれない」

「うう~でもでもぉ~

 たまには……たまにはですよ?

 本能の赴くまま――襲って頂いても宜しいのに」

「まあ人には向き不向きがある、ってことじゃない?

 そんなおっさんがだからこそ――

 ボク達は婚約するくらい好きになったんだし」

「長く付き合う内に不満が募るのは、どんな関係でも一緒。

 問題はいかに話し合い解決していくかという事」

「確かに。今日は開拓村に戻りますし――

 少しお時間頂いて皆でアプローチしましょうか?」

「あ、賛成♪」

「ん。異議なし。

 では――ガリウスが魔導マッサージ器に身を任せながら湯上りのビールを堪能し始めたので、この辺で【遠見】は終了とする」

「「「は~い(わん!)」」」






ガリウス……実はきっちり監視されてました(こわっ!)

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[一言] 知らなかったのか? 勇者からは逃げられない……!!
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