第8話~真実はいずこ~
荒れ果てた緑梅の地を、一体の物の怪を先頭にして二人の男女・・・横島隆太と白羽チヨ子が歩いていく。
「まさか、被害者であるサイエンスクリーチャーと実際に遭う事が出来るなんて・・・。」
「ウチも思わなかったなぁ・・・。全滅しているものだ、と思ったよ・・・都市伝説にまでなっているものだからなおさら、なんだけど。」
自身の中では出会う事など予想できなかったのだろう、そのことを白羽チヨ子と横島隆太がぼやく・・・と。やや広まったところでシファーグが振り返り。話を始めた。
『おいら達サイエンスクリーチャーの本当の事を知ろうとしてくれたのは今までにもいっぱいいたけど、これはお前達だけの特別だ。・・・おいら達にのいた牧場の主は黒龍で、その人間は・・・今でもどこかで生きている。・・・おいら達がこう言ったのには…訳があるんだ。』
「ミスラウ軍、まさか他の所も…。」
シファーグの言葉に悪い予感を感じ取った横島隆太。・・・その彼の言葉にシファーグは頷いた。
『ラーニウスの奴は、おいら達にマイクロアニマル襲撃の罪をかぶせ、それの罰として…サイエンスクリーチャーの徹底根絶を行い始めたんだ。作戦名は、"M4作戦"。ドイツのT4作戦になぞらえてつけられた作戦名だ。その作戦によって、おいら達の所以外の牧場からもサイエンスクリーチャー達が強奪されて・・・ミスラウ軍に都合のいいおもちゃにされた。おいら達の方なんか、まだマシ何じゃないか、と思わせるようなことも奴だっていたさ。おいら達はハチャメチャなカートレースに強制的に参加させられて・・・八百長で先頭走らされた後に亀の甲羅を連続であてられて・・・重傷を負ってもそのまま野ざらしにされたこともあった。』
「ひ、ひどい・・・。」
『でも、そんなミスラウ軍にも・・・まともな人はいた。高円寺優美と中真健二、青山小五郎に日谷こまち。・・・そしてディナスとリオルド。その人達は、おいら達の傷を治してくれたり、賢明な看病をしたりと・・・真摯に治療をしてくれたんだ。そのおかげで希望を持つ奴らだっていた。・・・けど、他の奴らは冷酷で、傷ついているおいら達の姿を見ても嘲笑うか、さらに追い打ちをかけるような奴らだったんだ。』
そう話すシファーグの様子は真剣そのもので。まったくのウソ偽りはないように見える。しばらくして・・・横島隆太が一つの問いを投げかけた。
「失礼かとは思うけど…他の所のサイエンスクリーチャーも、マイクロアニマルとは接点がなかったの?」
『うん。・・・マイクロアニマルなんてラーニウス達ミスラウ軍と戦い始めた時に初めて見た者達ばかりだったから。』
隆太の問いに帰ってきたその答え。それを聞いて白羽チヨ子はギュっ、とこぶしを握る。・・・と。あたりが突如、まるでコンピュータの中のような異様な空間へと変貌を遂げた。
「こ、これは一体・・・!?」
戸惑い始める白羽チヨ子と横島隆太。
この時彼らは。これが緑梅に潜む怪異がより変化したものだとは思ってもいなかった。