第7話~姿を現した"容疑者"~
ビデオの中の少年の行為。それを見て隆太とチヨ子の中に怒りが込み上げる。
「な、なんて奴なんだ・・・!」
「ひ、ひどい・・・!サイエンスクリーチャーがあまりにもかわいそうですよ・・・!」
なおもビデオの中ではブレザーの学生服に身を包んだツインテールの少女とミディアムストレートの少年が前髪を切りそろえた少年に対し抗議をしており。それを聞いている前髪を切りそろえた少年は抗議もそっちのけで自身の考えをさも正しい事であるかのように述べている。
「こんなの、此処緑梅に怨霊が漂い始めて、当然ですよ・・・。」
「そう、だな・・・。横島、あたし・・・一つ、確定したことがある。・・・平和協定を結んだのはサイエンスクリーチャーが反省したからでも、間違いに気づいたマイクロアニマルが謝罪したからでもどっちでもない。・・・正解は一つ。【サイエンスクリーチャーにでっち上げの罪を着せてそれを大義名分に好き放題に虐げて・・・何かしらの脅しを使って強制的に和平協定を結ばせた】。・・・それしかない。」
「ですね。・・・でなければ、こんなことが鮮明に映されているわけがありませんよ。」
どんなに悔しかっただろう、どんなに苦しんだことだろう。・・・サイエンスクリーチャーの気持ちとなり・・・隆太の目に涙が浮かび。チヨ子が歯噛みをする。
ビデオを閉じたのち、チヨ子と隆太は来た道を戻り。自分たちの家に帰ろうとした・・・のだが。その途中、水色の身体をした小さな恐竜のような生き物が隆太たちの前に現れた。
『お前達、こんなところで・・・何をしている・・・。』
目に憎しみを込め、隆太たちを見るその生き物に対し。隆太はこう、言葉を返した。
「僕は横島隆太。・・・この地・・・緑梅がなぜこんな風に荒れ果てたのか、調査しに来たんだよ。」
『調査・・・?フン、信用できないな。・・・そんなことを言って、おいらたちのことを・・・悪し様に他の人たちに伝えるつもりだろう?』
心がすさんでしまっているのだろうか。水色の身体をしたその生き物は、なおも隆太たちを威嚇し続ける。そんな生き物に。白羽チヨ子が近づいていき。その生き物の近くでしゃがみ…目線を合わせた。
『っ・・・貴様も、ミスラウ軍の手合いの奴らだろう!?おいらは騙されないぞ!さんざんおいらたちの事をゴミみたいに扱って!内部で抗議が起こったからと今度はおいら達を脅迫して平和協定を結ばせた!・・・そんな奴らの手合いの言う事なんか、聞くものか!』
後ろへと下がっていく、水色の身体の生き物。・・・その生き物に対し。白羽チヨ子は・・・右手を差し出した。
「怖くなんかないよ。・・・あたし達は・・・本当にただ、此処緑梅がこんな風に荒廃したのか、調べに来ただけなんだ。・・・平和協定を結んだ裏に、そんなことがあったんだね・・・。」
『っ・・・!』
白羽チヨ子の言葉に驚く様子を見せる水色の身体の生き物。次にその生き物に言葉をかけたのは、横島隆太だった。
「ビデオで僕もみました。・・・君達は何もしていなかったこと。黒龍という人の営む牧場で平和に暮らしていたところをミスラウ軍に捕まえられて様々な場所でひどい目に遭ってきたこと。君達の気持ちを考えると、荒むのもよくわかるよ。」
『・・・!』
しばしの間、黙り込む水色の身体の生き物。・・・その後。
『おいら、サイエンスクリーチャーのシファーグっていうんだ。・・・おいらが、案内してやるよ。』
水色の身体の生き物・・・シファーグが自己紹介をしたのち、横島隆太と白羽チヨ子に自身の後を着いてくるよう指示をした。・・・その先でチヨ子たちが見たのは、サイエンスクリーチャーたちのさらに凄惨な過去だった。