第3話~怪異とゴシップの裏側~
マイクロアニマルによる一方的な蹂躙の影響で怪異が起き。人のいなくなった緑梅。その街の中を、チヨ子と隆太は歩いていた。
街はあたかも何かが暴れたかのような惨状であり。かつて栄えていたであろうその面影はどこにもない。
爪痕。焦げ跡。・・・様々な場所に刻まれたそれらが、緑梅で起こった蹂躙劇のすさまじさを物語る。
「・・・横島、マイクロアニマルによる蹂躙劇・・・それについて、他に何か知ってたり、する?」
「これは一説にすぎないのですが・・・その昔、マイクロアニマルはサイエンスクリーチャーに虐げられ・・・マイクロアニマルの世界で好き放題されていました。そのマイクロアニマルをかわいそうに思った一人の少年がその絶大なる力と、仲間達との絆でサイエンスクリーチャーを成敗し。最終的には平和協定を結んだ・・・・そんな話があります。」
「・・・それの逆恨み・・・?」
「いえ。それにしては、おかしいんです。緑梅を訪れたことのあるオカルトマニアの投稿によると子供のような泣き声にどこか辛さを我慢させるような泣き声・・・さらには何かを訴えるかのような声が聞こえてきたそうなんです。」
――もう少し。深く調べるべきか。
顎に手を当て、考える白羽チヨ子。・・・そんな彼女に、空気の刃が襲い掛かる。
二の腕に走る痛み。経験したこともないようなそれに、チヨ子が顔をしかめる。
「うくうっ!」
「白羽さん!?い、今のが・・・!」
「っ、多分・・・痛みを伴う鎌鼬・・・!」
怪異の一つ、それをおのれの身をもって経験するチヨ子。・・・直後。今度は横島を異変が襲う。
「っ・・・つう・・・!」
「横島っ!どうしたんだよ!」
「頭・・・が・・・!」
頭を押さえうずくまる横島隆太。彼はしばらく呻いてはいたが、そののち。何かぶつぶつとつぶやき始めた。
「さいえ・・・我々・・・なにも…やって・・・」
「えっ?・・・横島・・・なんて?」
「まいくろ・・・とつじょ・・・われわれ・・・」
「・・・まいくろって・・・マイクロアニマルの・・・!」
頭を押さえたまま、ぶつぶつと何かをつぶやき始める横島隆太。時間がたつにつれ。彼のつぶやきがだんだんとはっきりしてくる。
「われわれサイエンスクリーチャーは・・・何もやっていない・・・。黒龍の所で暮らしていた時に・・・マイクロアニマルが突然・・・襲ってきたのだ・・・。」
「な・・・なんだって・・・?」
「マイクロアニマルは・・・我々がマイクロアニマルの世界を・・・襲ったと・・・我々は・・・だた・・・普通に暮らしていただけだ・・・。」
横島隆太のつぶやきの内容にショックを受けるチヨ子。・・・少しして、横島隆太は頭を押さえていた手を放し。チヨ子の方を見た。
「・・・白羽さん・・・僕、今まで…。」
「横島・・・全く、記憶がないのか?」
「・・・いえ、記憶がないわけでは・・・ただ、頭の中で・・・サイエンスクリーチャーと名乗る生き物が、必死に自己弁護をしていたんです。・・・その生き物が・・・うそを言っているようには、見えませんでした。」
そう言葉を紡ぐ、横島隆太。
緑梅で起きたといわれる"マイクロアニマルの蹂躙劇"。・・・その真実は、一体どういうものなのか。