大きい屋根の家の赤い服の女の子
ある家でのことでしょうか。
そこは祖父母の家から自転車で10分くらいはかかたような気がします。
自分の家よりも大きい家で、玄関を入ると夏なのにひんやりとした家だったのを覚えています。
祖母はそこの奥さんに洋服の仕立てをして、ちょうど出来上がったのでもってきたのでした。
私は玄関の横の座敷で待ってるように言われて、お茶とお菓子を置いておかれて、ああトイレはここですから、行きたくなったら行ってねと言われて、私は一人で庭を見ながら待っていたのでした。
その部屋の隅には小さい本棚がおかれ、当時、洋服の写真雑誌のような本があったので、それ読んでいいかと聞くと、おばあちゃんの孫やな洋服に興味があるんかと、同じような本を何冊か持ってきてださいましたので、私は祖母が戻ってくるまでそこで本を読んでいました。
と、そこに、赤い服を着た女の子が。
その当時ではもう、着物を着ている女の子というのは珍しいのですけど、ええ、確かに着物でした。
年は私より少し下、私の目の高さくらいの背丈でしょうか
「こんにちわ」
と私がいうと部屋に入ってきました
「何してるの」
「おばあちゃんが服を持ってきたので、帰るのを待ってるの」
「そう」
「あなたは何してるの」
女の子は私の前に座ると、私が見ている本を珍しそうに見入ってきました。
そして、二人で本を読んでいました。
まあ、字がやっと読めるかどうかの歳でしたので、本のイラストを指で追っていただけですけどね。
しばらくそうやって二人で本を読んでると
「終わったでー、帰るよー」
と祖母の声。
どうやら私は寝入ってしまっていたみたいです。
「おばあちゃん、あそこの家、ちっさい女の子いるん」
「そおかあ、おばあちゃんはそこまではしらんかったなあ」
それからしばらくして、その家のおばさんがやってきました。
私が会った女の子の話を聞かせてほしいとの事でした。
おかっぱの感じの女の子やという事をいうと、こんな感じの子か?ときくので、まあそんな感じやったという事でした。
あの女の子は何だったのでしょうか。