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この世界で上を目指したい。  作者: しゃーー
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3話 魔法を極めたい

 「あの方って・・・?」


 自分では察しているが、エアの口から聞きたい。


 「あぁ、あれは私の母ですよ。」


 やっぱりそうだったか。


 「全然似てないんだな。」


 あのような人からエアみたいな可愛らしい子が生まれるとか考えられない。

 むしろ考えたくない。


 「悪かったね!私たちは似てなくて!」


 俺の声が聞こえていたのだろう。

 下から怒鳴り声が聞こえる。

 とても怖い。


 「はは・・・。まあ、よく言われることなので気にしないでください。」


 エアは苦笑いをした。



───────────────────────────────────────────




 「まずはうちの仕事を覚えろ。」


 そうエアの母は言った。


 「わかりました。えっと・・・。」


 エアの母を何と呼べばいいのかわからない俺は言葉に詰まる。


 「なんとでも呼べ。」


 そう言われてもなぁ。


 「じゃあ、女将さんで。」


 これが無難だろう。

 一瞬ゴリラとか言いそうになったが、俺の理性は強い。


 「ふん・・・。まあいい。さっさと行け。」


 そう言って俺は仕事に取り掛かる。


 ──まずは接客。


 「こんにちは。お泊りですか?休憩ですか?・・・わかりました。ではこちらへどうぞ。」


 エアは慣れた様子で二人のお客さんを開いている部屋に案内した。


 「ふぅ・・・。ではつぐみさん。次は私がやったみたいにお客さんを案内してくださいね。」


 俺は高校時代アルバイトをしたことがなかったので少し緊張する。


 「わかった。任せておけ。」


 でもエアに少し格好つけたいので緊張していないふりをして返事した。


 しばらくすると一人のお客さんが来た。


 「こ、こんにゃっ・・・。」


 かんでしまった。

 こんにちはが言えなかった。


 ──次は炊事。


 「お客さんに出すパンを焼くぞ。」


 そういい女将さんは手慣れた様子で生地をこねる。

 生地を半分ちぎってこっちに投げ渡した。


 「お前も手伝え。」


 そう言われて投げ渡された生地を一生懸命こねる。

 それを女将さんを見習いながら拳大にちぎっていく。


 「出来たらそれを焼くぞ。火を準備しろ。」


 そう言われても火種が見当たらない。


 「えっと・・・。どうしたら?」


 女将さんを呆れた顔をした。


 「・・・こうやるんだ。」


 そう言って手をかざしたら薪が燃え上がる。


 これって魔法か?


 そう考えていたら女将さんが、


 「お前もやってみろ。」


 そんなことを言ってきた。


 いったん火を消して、俺も手をかざしてみる。

 何も起きない。


 「火を強くイメージしろ。」


 少し怒気を含んだ声で女将さんは言う。


 真っ赤に燃える炎をイメージして念を込めてみる。

 コンロで例えると、強火くらいだろうか。

 結構大きな火がでてきた。


 「ばかやろう!パンを焦がす気か!!」


 頬をぶたれた。

 手加減くらいしてほしかった。


 ──最後は部屋の清掃


 「つぐみさん。頬どうしたのですか?」


 それは君の母親に聞いてほしい。


 「いや、少しね。」


 一応ごまかす。

 

 「そうですか。まぁ、母は少し荒っぽいので気を付けてくださいね?」


 頬が腫れた原因わかってるのかよ。

 そして忠告が遅いよ。


 「それで部屋の清掃でしたね。まずはベッドのシーツを取りかえて、窓をふきます。そのあとにほうきで部屋を掃きます。」


 なるほど。

 俺はシーツをかえて換気をしようと窓を開ける。

 するとパリーンと音がした。


 「あとは、窓の外の花瓶を落とさないように気を付けてくださいね。・・・どうしましたか?」


 いや、だから忠告が遅いって。

 罠じゃんこれ。

 

 このあと音を聞きつけた女将さんにまた頬を殴られた。

 すごく痛い。


 


 「っと、まあうちの仕事はこんな感じです。やっていけそうですか?」

 

 晩御飯を食べていたらエアが聞いてきた。


 「うん。今のところは。」


 頬の腫れのせいで食べにくいし喋りにくい。


 「それはよかってです!では明日もよろしくお願いしますね!」


 エアが笑顔で言ってくる。

 

 明日は失敗しないように頑張らないと。

 

 「あ、そうだ。このあと少しいいか?」


 聞きたいことがあったのを忘れてた。


 「えぇ、では食事が終わったら私の部屋にきてくださいね。」


 俺はいっこくも早く魔法のことを聞きたくてうずうずしながら食べた。


 食事を終えて食器を洗う。

 そのあと台所を出て、リビングを通り、渡り廊下を進みエアの部屋の前に行く。

 

 女の子の部屋に入るのは初めてで変な汗を掻く。

 いったん深呼吸をしてノックをした。


 「は~い。どうぞ~。」


 中からエアの声がする。


 「お、お邪魔します。」


 俺はそう言って入った。

 初めに甘い匂いがした。

 その次に目に入るのは淡い色のした小物だ。

 エアはこういうのか好きなんだろうか。

 色とりどりの小物が置いてあった。


 「じ、じろじろ部屋を見ないでください・・・。恥ずかしいです。」


 そうエアが上目づかいで言う。


 「あ、ご、ごめん。・・・いや、可愛い部屋だなぁって。」


 とりあえず褒めて機嫌を取ろうした。


 「言い訳しないでください。」


 そうエアは顔を隠しながらピシャリと言う。


 「すみませんでした。」


 素直に謝る。


 「もう・・・。で、話ってなんですか?」


 赤い顔をしたエアが問いかけてきた。


 そうだ。

 俺は魔法のことについて聞きにきたんだ。


 「え~と・・・。とりあえず魔法について教えてほしい。」


 俺はこの世界で魔法を極めたいって狼から助けてもらった時から心に決めているんだ。


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