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この世界で上を目指したい。  作者: しゃーー
3/8

2話 異世界生活

 「あ、あの!」

 

 俺は通じないと分かっていても声をかけてみる。


 「*****」


 少女が何か言うがやっぱり分からない。


 「俺の言葉わかりますか!?」


 必死になって言う。


 「****」


 やっぱりわからない。


 俺はこの世界の言語が分からないことにショックをうけていたた。


 一日、訳の分からない場所を死にそうな思いでひたすら歩いていたから寂しかった。

 そんな中やっと人に出会えたのだ。

 正直嬉しかったのに。

 

 言葉を交わせないってこんなにも寂しいものなんだな。


 俺はそんなことを思っていた。

 

 この少女にそれが伝わったのだろうか。

 心配そうに声をかけられる。


 あぁ、せっかく助けてもらったのだ。

 せめてお礼でも言いたい。


 そう思った時、眩暈がする。

 そのあとに来る激しい頭痛。

 俺はその場でうずくまる。

 


 「*****か!?***ましたか!しっかりしてください!」


 どこからか心配する声が聞こえる。

 ただ、頭がすごく痛いためどこからそれが聞こえるのかわからない。


 「あぁ、幻聴が聞こえる・・・。」


 頭痛がひどすぎておかしくなったのかなぁ。


 「幻聴じゃないですよ!!私をいないことにしないでください!」


 だんだん頭痛が治まってきて、声の場所がわかる。

 その方向を見ると、少女が言っていたらしい。


 「えっ。言葉がわかる・・・。通じてる・・・?」


 俺はなんで聞き取れるようになったのか理解できなかった。


 「失礼な!言葉くらい話せますよ。」


 あ、違う。

 そういう意味じゃない。

 ケンカを売っている訳じゃないんだ。


 「そうじゃなくて。さっきまで通じてなかっただろ?」


 確かさっきは声をかけても伝わらなかったはずだ。

 どうしていきなりわかるようになったのか。

 ・・・もしかしてこれがツワルの言っていた『言語能力』か?

 それしか考えれないもんな。

 頭痛は副作用みたいなものなのか。


 「あ、さっきのうめき声じゃなかったんですね。」


 失礼な!

 俺のきれいな日本語がうめき声だと!


 「うめき声じゃない。それはそうとして見ず知らずの俺を助けてくれてありがとう。」


 この部屋を提供してくれたであろう少女にお礼を言う。


 「あぁ、別に気にしないでください。このご時世助け合いの精神ですよ。」


 そう少女は朗らかに言う。


 「それと一ついいか?俺を狼から助けてくれた人は?」


 そう言ったら少女は難しい顔をした。


 「狼から助けてくれた・・・?ということはあなたをここまで運んできた人のことでしょうか?もしその方ならここにはもういませんよ。」


 ごめんなさいとでも言いたげな顔をしている。


 「あ、いや、気にしないでくれ。ちょっとその人に会わないといけない理由があるだけで。」


 もし、会えるのであれば今すぐお礼を言いたい。

 そしてあの狼を燃やした炎は魔法なのか聞きたい。


 「あの方は・・・ここら辺では見たことのない方でしたね。フードをかぶっていて顔がよくわかりませんでしたし・・。良ければその訳を聞いても?」


 単純な好奇心からだろうか。

 理由を聞きたがっている。

 別に減るものでもないし、その人を探す手掛かりになればいいなと思って俺は昨日のことを話すことにした。


 「実は・・・」


 違う世界から来た、そう言ったら間違えなく頭のおかしい子と思われるのでそれを回避するためにも異国から旅をしている。

 その設定で話し始める。

 まず、角の生えた狼に襲われたこと、それを狼を燃やして倒してくれたこと。

 そのことを話した。


 「う~ん・・・その方に心当たりがないですね。」


 あ、単純に手掛かりがないか確認するために話を聞いてくれていたらしい。

 いい子だ。


 「そっか。ありがとう。ところでさ、この辺に宿ないか?それとお金を稼げる場所。」


 俺にはこの世界のことがわからないし住む場所がない。

 だからと言ってここにずっといる訳にもいかない。


 「あ!それならうちで働きますか!?」

 

 少女は名案だとばかりに顔をほころばせながら言った。


 「えっ。ここって?」


 俺は疑問に思う。


 「ここは宿、ゲートです。母と私の二人で切り盛りしているんです。」


 なるほど。

 この子がしっかりしている理由も接客で鍛えた技ということか。


 「もし迷惑じゃなきゃお願いしていいか?」


 もしこのチャンスをのがしたら途方に暮れるであろう。

 ここで働くのが最適だと思ってお願いする。


 「はい!わかりました!では、改めまして・・・私はエア。エア=ゲートです。気軽にエアって呼んでくださいね。」


 エアは眩しい笑顔でそう言った。

 

 その無垢な笑顔を見て俺はドキッとした。

 可愛い子のこの笑顔は反則だろう・・・。

 ただでさえ地球で友達がいなかった俺だ。

 もちろん女の子の免疫などあるわけない。


 「俺は矢口つぐみ。・・・えっと。つぐみ=矢口だ。ツグミって呼んでくれ。よろしく。」


 声が若干上擦ったが自己紹介をする。 

 

 「つぐみさん、よろしくお願いします。では母に雇ってもらえるか聞いてきますね。」


 そうエアはお母さ~んと言いながら部屋を出た。


 エアのお母さんか・・・。

 エアに似てきっと美人なんだろうなぁ。


 そう考えて数分後。

 いきなりドアが開いた。


 「うん。合格。」


 そう言って部屋にゴリラが入ってきた。

 ボディビルダーみたいな筋肉の鎧をまとっており、背が2mくらいはある。

 声が高くて胸があり、髪を伸ばしていることから女性と判別できる。

 

 そんな彼女はそう言って部屋を出た。


 俺は今の光景に唖然としているとエアが入ってきた。


 「つぐみさんっ!良かったですね!これからよろしくお願いしますね!」


 いや、それよりもあの化け物のことを説明してほしい。

 

夜にまた更新します

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