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この世界で上を目指したい。  作者: しゃーー
2/8

1話 異世界

 気が付くと俺は倒れていた。

 まず感じたのは辺りの青臭い匂い。

 次に体の節々が痛い。

 そして目を閉じていても分かるくらい明るい。

 今わかる情報はこのくらいだ。


 気怠くて体を起こすのがめんどくさいが動かないと何も始まらない。

 そう思い体を起こしながら目を開ける。


 目を開けた時に映りこんできた来たのは、

 

 辺り一面広がる草原。

 

 その中に見える地球では見たことのない謎の草花。


 そして空を飛ぶ爬虫類らしき生物。


 地球の誰もが見たことのないであろうこの景色に俺は唖然としていた。

 

 しばらくこの地球とは違う世界を見ていたら違和感に気づく。

 ただ、その違和感が具体的には分からない。

 

 何かがおかしい・・・。


 俺はそう思い歩き出す。


 やはり違和感を感じる。


 歩幅が違うし目線も違う。

 とても歩きにくい。


 その時ツワルが言ったことを思い出した。


 『無駄にしてきた時間分を若返らせる』


 もしかして俺すごく若返ってるのか?

 どれくらい時間を無駄にしてきたんだ・・・。


 鏡がないからいくつ若返ったのか分からない。

 ためしに自分の影を見てみる。

 心なしか小さく気がするだけでやはり分からない。


 そして最後に言っていた『言語能力』と『執筆能力』とは何だ?

 

 まぁ、特に考えずに歩いて行こう。


 そして自分がやりたいことを見つけ、極めよう。


 そう思い俺は地平線が見える草原を歩いて行った。




────────────────────────────────────────────




 やばい。

 その世界はやばい。

 何がやばいかというと、あの草原を気ままに歩いていた時のこと。

 狼に角が生えた生物が人の形をした緑のモンスター捕食したり、動く花がウサギを捕食していたり、赤ん坊サイズの蜂から逃げ回ったりと、地球ではありえないことで心身共に疲れ果てて倒れそうだった。


 

 このようなことになるならツワルの話を断って地球でそのまま暮らしていたら良かったな。

 

 訳の分からない世界に俺を送りこんだツワルが悪い。


 そう思いながら地球の思い出に浸ってた。


 いや、ただ単に現実逃避がしたかった。


 本当は分かっている。


 甘い話などなかったんだなぁ。

 

 いくら別のことを考えたって今あるこの絶望的な状況は変わらない。


 辺りはオレンジ色に染まり、太陽が沈んでいくのがわかる。

 もうすぐ夜になる。

 そうなったら今までよりもいっそう危険だろう。


 さすがに死にたくないので安全な場所目指して頑張ろう。

 

 安全な場所などあるのか分からないが、あると信じないと心がポッキリ折れてしまいそうだった。


 しばらく歩く。

 訳の分からない生物達がいない場所を目指して歩き続ける。

 周りに頼れる人もなく、情報も何もない。

 ただ孤独に歩き続ける。

 周りがどんどん暗くなる。


 もう限界だ。

 気が付けば視界は闇に包まれ、月明かりだけが頼りだ。

 その状況で精神的に追い打ちでも掛けるかのように獣の遠吠えが聞こえる。

 喉が渇いた。

 体力もない。

 もう限界だ。

 

 ガサッ…


 そのとき、後ろから何かが来る気配を感じる。


 俺は身の危険を悟ってとっさに体を捩じる。


 それでもすごい勢いで何かはぶつかってきた。


 「ガハッ・・!」


 何者かに襲われた。

 体力もなく疲れ果てていた俺は吹き飛ばされ、地面にドサッっと音を立てた。


 「うぅ・・・。」

 

 俺はあまりにも突然の出来事に驚き、うめく。

 吹き飛ばされたときに右肩から落ちたのだろうか。

 すごく熱い。


 さっきまで自分がいたであろう場所を見ると、角の生えた真っ白の狼がいた。


 身を捩じらないと角が刺さっていたんだろうなぁ。


 疲れ果てていて体が動かない。

 このまま喰われることを覚悟した。


 ぼんやりと死を覚悟しながら狼の方を見ていたらそれは突然燃え上がった。


 キャアアンと狼は苦しげに鳴いている。


 何が起きたのか理解できないままじっと狼を見ていた。


 俺は助かったのか?


 そんなことを考える。


 そのまま狼が燃えている方を見ていると、後ろに炎で照らされている人が見えた。


 この人が助けてくれたのか・・・?


 俺はそう安堵したとき、意識がプツリと消えた。



────────────────────────────────────────────




 目を覚ますと俺は誰かの部屋にいた。

 ベッドから身を起こし、辺りを見回す。


 木の壁、簡素で少し硬いベッド、優しい風が流れ込んでいる窓、あとは木箱がある。

 木で作られた家なんだろうか。

 窓の下から人の声が聞こえるのでこの部屋が二階より上だと推測できる。

 

 ただこの部屋は見覚えがない。


 と、いうことはあの狼を倒してくれた方の家だろうか。

 

 あの時の記憶が蘇ってくる。

 

 俺はあの時なぜ狼が燃えたのか考えていた。


 この世界は地球の漫画とかでいうファンタジーな世界だからあの現象は魔法なのだろうか。


 自分の中ではそう考えていた。


 もしそうならば魔法を極めてみたい。

 せっかくこの世界にきてどれくらいかわからないが若返ってきたのだ。

 

 昨日のツワルの愚痴を忘れたかのように心の中で感謝し始めた。


 まずは行動に移そうと右手をベッドについて立ち上がろうとする。


 「うぐっ!」


 そうだ。

 肩を痛めていたんだった。

 忘れていた。


 すると、このうめき声が聞こえていたのだろうか。

 一人の少女がこの部屋に入ってきた。


 その少女はフワッとした薄いピンクの髪に優しそうな目をしている。


 「******?」


 どこの言語だろうか。

 さっぱりわからない。

 

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