5.とある船長のはなし
私は鳥だった。
翼を広げば、どこにも行ける。冒険者たるものはそんなものであるから、いつも姉ちゃんから聞いたんだ。
私もそう思った。
姉ちゃんのような凄い冒険者がいつも私の心を引いていた。
彼女はただの鳥じゃない。
彼女は鷹だ。
尊敬され、怯えられ......自由に飛んで、生きていた。
でも、鷹でもいづれ落ちる運命が待っているかもしれない。
...彼女の最期と同じように。
......
すみません、辛気臭い話になったようですね。
今日は姉ちゃんの......その、弔う日なんです。
彼女は私のただ一人の家族なので、彼女が逝ったあと、私もすっかり一人になりました。お互いも親戚とかがありませんから、私も今やっとの思いで自由を満喫して途中です。
しかし、私がきっちりと彼女のことを覚えないとね、彼女が最後を迎えるときにその隣にいない私ができる唯一ことだから......
私もいつか私を覚える人が欲しい、こう思うと、お姉さんが羨ましくてたまらないですね、ははっ...噓です。
さて、その話は終りにしましょうか。
目的地であるフィア群島に近づいています。私を含めた船員たちも今回の宝探しに楽しみもとい失踪した探険隊の探索に気合を出しています!
突然変異のモンスター説もあるが、海賊説の方が圧倒的に有力でだそうで、万が一のこともある、だから、今回は結構大規模な船隊になりました。凄腕な冒険者もたくさん集まって、私みたいな駆け出しの上女性の船長にも運よく一緒に来られました。
私が昔冒険者をやっている時、憧れた冒険者が居てね、そのお方が今、私の船に来たのですよ!すごくない!?。
正直話しかけるかどうか悩んだのが、今はまだ仕事のことしか話していないけど...やっぱり諦めましょうか。今回のクエストが終えた後の宴の時にしましょう。
冒険者はそんな人だ、今に生きる、明日のことは明日で考えようってものだね!
......ちょっと残念だと思ったが、今の私はそんな考えではいられないな。大事な船も船員たちも明日の天気で死ぬかもしれないからですね。
海は厳しいものだ。
昔の感情を凍えたというより、この広い海に溶け込んで、探したいとしても既にどこいもいなくなった。
私の冒険者ライフはもう終わったか......ようやく終わったか、長かったな。
......
正直に驚いた。
長距離の航海は水の代わりにビールを船に載せるのが初めて知った。
変だろう?おちゃんたちは結構喜んでいるけどね。
実はね、時間が立ちすぎると水は腐るだが、ビールなら大丈夫だそうだ。
それは近年わかったことで、先輩に聞いた時、私も正気か?っと驚いた。
でも、正直助かった。昔は水の扱いができる魔術師を雇はなければならないので、値段はあれなの......
空気の中に存在する水分を掻き集めとか、水を腐らせないように細工するとか......
めんどくさいよね、昔は。
今はもうその島たの姿が目視できるほど近づいていた。
あとは忙しくなるから、書く時間は残らないかもしれないが、終わった時は本一冊書けるかもしれないね。お楽しみだな~
......
......
海の彼方から風の音がした。
晴れる日も吹いてくる強めの涼しい風。
真っ白な砂浜から透き通ったような空と海が広がって、段々と星空に沈んでいく陽(リング状な太陽がこの世界での通称)は淡いミルクのように色褪せていく。
美しすぎて、孤独すら感じらせるオレンジ色の波が砂浜に這い上がっている。
まるで絵のようだ。
「......」
塩が目に入ったせいで、瞼を開くだけでも辛い。
「......私は......一体......」
深い意識の闇から目覚めたが、酷いめまいで体が横になっているままである。
夕陽の日差しあまり暖かくない上に、湿った服に包まれた状態のようであった。体温が今でも低い状態のままであった。
海水の匂いは強く、それは周りからだけではなくって、口の中からもそうだった。
「っ!ぺっぺっ......」
しょっぱい海水と僅かの砂を吐き出すため、反射的に身を起こしようとしたが、痺れるほど強烈な痛みが腹の近くに走った。
「痛っ......」
自分の声は思たより弱弱しかった。
その痛みが何を示しているのか、私には分かる。
痛みが発しているところに視線を移すと、腹の中から何かの杭がはい出ていた。
「う......噓......」
まるでファイアボールを顔面で受けったような衝撃が私の中に走った。
「いや......いやだ......こんな.......」
なんでこんな目に.......そうだ、船。
私の船は?私の船ど、こ.......
パンニックになった私が見た。
船隊、だったものが目の前に広がっていた。
まるで絵のような痛々しいほどの光景であった。
よく見れば自分の隣も何かが砂に埋もれている。
「ああぁっ!!.......」
波が私の腹の所まで行って、傷口に接触した途端にまた激しい痛みが走った。
「っ!」
波が帰った所。その砂の下のもが見えた。
人間の頭だ。
まるで喉が詰まったかのように、話し出した声も飲み込んだ。
呆然のままその人を眺めている。
彼.......昔憧れたその冒険者の一人だった。
その瞬間、私は眺めるしか出来ることはなかった。
「痛っ!!」
3、4回波にも傷を当てた。
よく考えたら、顔を赤くになるぐらいの間抜けぶりじゃないか?!
そして、運よく腹の傷は内臓には傷ついていないようだ。よく見たら傷もほとんど消えた.......新生の皮膚は海水に浸かれって、思ったより痛かった。
これは.......ヒーリングの跡?まさかアンナ.......アンナはまだ生きているのか?!でも、どこに.......
冒険者時期からの知り合いで、今も私についてきて副船長になった。
癒しの手としての才能が周りの人に認められ、前途ある冒険者である彼女。私がまだ冒険者をやっている時に出会って意気投合な仲間でもあった。優しいひとだ。
私を助けたのか?でも、どうして私をここに置き去ったのか.......
あっ、もしかしてまだあいつらがまだ近くに?!
私の腹の状態から見ると死体だと勘違いかもしれないほど痛々しい。血が止まったが、杭はそのままだ。
仕方ない、か。
アンナを置いてはいけない。あいつのことだ、きっと何とか逃げられる。
敵はまともじゃない。
あれは明らかに普通の海賊じゃない、人間であるかどうかも怪しい。
急がなくちゃ。
腹の杭はそのまま抜くにはいけない。出血死の危険がある、今の状態も結構やばいのに......
「.......ゔ.......うぐ.......あ.......」
痛みは酷いものの、体はちゃんと動ける。
だが体内のマナーは乱れている、それはまずい。酷い反動が引き起こされるかもしれないが、仕方がない。
体内のマナー循環を意識、その幅及び速さを平時の2倍まで高めている。
痛みは段々消えていく、杭の所で出来た傷は治りつつある。
でも代償が高い。多分これで私の寿命が1年も減っただろう。
よいさ、ただの1年ならいくらでもやるよ......と言いたいだが、流石にそこまではやらないからな!私も普通の人間だから......
でも、今をしのぎれば、安いものだ。
はーふーーうん、よーし...
杭を右手でしっかり掴む。
セーノー!っ!