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2.転生?

 僕は死んだのか。

 なだか納得できる最期かもしれない。いや、悔しいは悔しいだが、でもな。何だか言葉にするのは難しい解放感が感じた。

 強いて言えば、まるで子供に帰ったような感じであった。

 って、今はそういうことに感心する場合じゃないだろう!!

 目が見える、至る所は子供の頃の記憶に馴染み深い山の景色。耳が聞こえる、小さな川や虫たちの囁き......僕......山で遭難?!

 いや、実際はそれ程馴染んでねぇし。お父さんの趣味で付き合いていくぐらいだから、どちらかと言うと僕はインドア派なのだ。

 視線の位置は低いな、今は横になっているのか?この違和感は一体何なのか。

 手や足を試しに動いてみることにする。体感的には動いたような感じだが、身体はちょっとだけしか移動していなかった。

 しかし、この猫みたいな視線は変わらないな。

 えっ?

 目覚めた時から目にしたものは巨大な木や見たこともない花、そして目の前に素通した僕の目線と同じぐらい大きな蜘蛛。

 うん、つい先その蜘蛛と視線が合った。

 僕は虫嫌いなんだが、何故か蜘蛛は大丈夫だが......いや、そこは問題じゃないだろう。

 この自然に満ちた森の中には、極めて不自然なものを見たんだ。

 高さはそれ程ではない、せいぜい僕今の目線よりやや高いぐらい。深く柔らかい土である地面に刺さっていた白い柱があった、それが身の回りに四本が僕を囲むように立っている。

 少し太めで、曲げている円錐のような形をしている。イメージは先素通した蜘蛛の足をベースでロボットを作って、完成したもの。

 とってもシンプルな形だ。表面はプラスチックというより、磁器みたいに滑らかで真っ白であった。

 な、何これ?なんか、歩こうとしたい時動いてなかったか?

 5秒ぐらい思考に沈んだが、そして再び心の中で足を動こうと念じる。

 僕の目から見ればそれは白い柱のような大きなものである、実際も結構重さがあるようだ。

 ゆっくりと、その白い柱が上がっていく。思ったより長く、その一部は土の中埋もれたみたいだ。土で汚れたかと思いきや、そよ風が軽く吹いただけで張り付いた土が全て落とした。

 おお、こりゃあ便利やなあ~!

 じゃなくて!こ、これはぼ、僕の足?!

 はっはっ......まさか~こんな有機かどうかですら怪しいものが生き物なわけ......

 植物?!まさか僕は動ける植物?!ジャングルの中にありそうな肉食植物!!

 い、いったん落ち着こう。な?落ち着こう?僕。いや、自分にこう慰める意味がないじゃない?......

 こうやって自分と戦って1分。

 はぁはぁ......うん、現実だな。自分の馬鹿らしさに呆れたのか、すっかり落ち着いた。

 情報収集だ、情報がないと考えても仕方がない、とにかく土の中から出ようか。

 うん......確かに歩こうとしたら四本の足全部動いたよな。

 四本の足のなか、一本の足を動くのもできるが、そこは本能のようなものかな?何となくこつはわかるが、思い返すと違和感は半端ない。

 例えば、右手を上げようとすると、左足が上げたという感じ。でも、自分は不自然なほどこれらの操作に慣れたようで、本能みたいなものかな。

 ただの本能なのか?僕は一体どんなものになったのか......

 まぁ、考えても仕方ない。

 でも、自分の頭ぐらい確認してほしい。

 もし僕は本当に転生とかなんとかしたら、まだ生き物の枠組みから外していない......はずだ。食事や睡眠もきちんと取らないと死ぬ、生物だったら必ずそうなる。機械でもそうだ。

 身体が変えたとしても、変えられないものもあるんだ。

 頑固?ほっとけ!頑固じゃなけりゃ、そもそも死ねないしな、冴えない前世でな!

 一本の足は土から出たけど、ほかの三本はどうする?

 うん......取り敢えず足場は必要かな、近くの土は柔らかすぎて足場にとしては最悪だ。いや、柔らかいというより......ここって、沼じゃないか!?

 幸いなことに周りはそれ程まだそれ程柔らかくない、さっきの蜘蛛もちゃんと通れるし。しかし遠いところではどこが水溜りかどこが沼かですら分からなくなるほど険しい。

 なんだろう、不安はあるがあまり恐怖が涌いて来ない。もう人間じゃないかもしれないが、僕はまだ自分のその......前世の記憶を保っているみたいだ。

 最初出した足を空中でウロウロしながら、近くを見回す......あったあった、丁度いいサイズの石が近くにある。

 ぽっそぽっそと、白い柱である僕の足から土が落ちていく。思ったより乾いた土だな。

 白い柱の末端はただの円錐じゃなさそうだ、何らかの仕組みがあると思うが、今は判断できない。端のところには幾つものの線が描いたようだ、ただのデザインじゃなく、きっとなにかが仕込まれていたはず。

 もし考えが間違っていないのなら。心の中で手のひらを開けると念じると。回転しながらSF映画の中によく出ているシンプルな三本指のある機械腕になった~

 しかし!僕の指が五本あるぞ!はっはっは......

 虚しい。

 この五本の細い指は見た目によらず、握力は結構強いようで、高くないとは言え石もそれなりの高さがある。自分の重さは知らないが、頑丈な足場があった方がこれからの作業もより滑らかになるはずだ。

 慣れたと思ったが、結構きつい感じがするものだな。例えば、小さな赤ん坊は這いながら進めることから急に走ることになるのと同じ。

 多分この腕(やっぱり呼び名は腕の方いい)、自分がまだわからない能力潜めているではないか?そう思うとなんかゾクゾクするじゃない?

 でも、ちょっと寂しいかな......やっぱり人間のある所が行ってほしい。ここは一体どこなのか、多分元の世界じゃないと思う。

 理由は......空を見上げればすぐわかると思う。いまは真昼の中、自分の身の回りを照らしているのは太陽じゃなくて、それは一本の巨大な”線”であった。

 一部は森の木々遮られたせいで見ることができないが、そのまま空を掻き分けるような形になってるのも想像が付く。そして先の蜘蛛もそうだ。木の大きさは生前よりやや大きめだが、それだけだ。その蜘蛛は異常だ。

 その動きからみると、確かに大きい。手足の動きはそれ程速くないのも裏付けになる。だって大きくなったら、スピードは必ず一定割合で犠牲しなければならないだろう?蜘蛛の形をしているけど、なんだか子供の頃に飼ってあった犬のような動物に近い感じがする。

 これは確かに重要な情報だ。簡単に言うと、犬のような大きさの蜘蛛は存在するのだ!

 なにそれこわい。

 こうやって、身近くのものから情報を少しずつ集めるのも大事だからな。

 え?僕はのんびりし過ぎ?うん......そういわれてもな......

 っと!よし、これで二本目が......

「キシャァァァ!」

 な、なに?!

 まるで金属が摩擦してるような声だ、そしてその声の主はすぐ近くにいる。というより小岩の上だ。

「どうして......僕はどう見ても美味しくないぞ?!」

 身体が固まった、こんな状況は前世を含めてであったことはないのもあるが、こんな機械に近い身体が危険などに鈍いかもしれない。そんな本能はないからだ。

 でも、このほうが逆に助かったかもしれない。

「......」

 さっきまでは叫びながら、その大きな石から降りていくなのに。的が失ったかのように、何かを探している仕草をし始めた。

 えっ?襲ってこないのか?

 目の前に起こったに戸惑いつつ、やっぱりそういった本能を頼るよりも自分で考える方得策と悟った。

 そうだ、僕は機械だ。機械の思考速度が速い...のはず。

 襲って来ない......見えない......そうだ!動体視力だ。僕は機械だからほかのはいざ知らず、生物の匂いも全くないはずだ。

 今のように、動かないのなら、今掴んでいる石と大した変わりはない。

 そこはよしとして。問題はこの状況からの脱出方は......

 うん?

 自分の腕を見つめて、そしてある考えが思い浮かんだ。

 おお!これだ!試す価値はある!

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