表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/30

添えて~でございます

--出発の日


早朝から約300名の傭兵と戦場へ向かった。

目的地まで歩いて3日掛かるらしい。俺に支給されたのは前の給仕係が使用していた大鍋と調理器具だ。

これを背負って行かなければならない。筋トレしていなければ担ぐ事さえ困難だったろう。



「よーし。今日の行軍はここまでだ!野営の準備をしろ!」


団長の声でやっと行軍が終わる。

もう日が暮れそうだというのに休憩なしでこれはキツイ。立ち止まる時と言えば道中魔物に遭遇した時だけだ。そしてこれからが俺の仕事だと思うと気が重いがロニーの為に頑張らねば。


「グレイ。さっきの魔物だ。これも使え」


俺が火の準備をしているとベンは大きなダチョウ?のような魔物を持ってきた。


「・・・これ食べれるんですか?」


「毒はないから大丈夫だ」


「了解です」


この世界では魔物は普通に食べる。というか動物と魔物の違いは沸くか生まれるかの違いらしい。

どういう原理で魔物が沸くかは定かではないが、それぞれの魔物が沸くエリアは決まっているらしい。ダンジョンや魔素の濃い所ではより強い魔物が沸くようだ。



さてと・・・さっき貰った魔物と調味料と・・・てか材料少なくね?


「すいません。ベンさん材料ってこれだけですか?」


「あー。あとは適当にその辺の野草とかキノコでいいぞ。グレイは確かそういうの詳しかったよな?」


「まぁそうですけど300人分はさすがにないと思うんですが・・・」


「ガハハ。お前1人で300人分作るつもりだったのか?」


「あっ」


「ハハ。300人分もいらねぇよ。お前が作るのは幹部の料理だけだから20人分もあれば問題ねぇ。他の奴らは干しパンだからな」


なるほど。てか普通そうだよな?ちゃんとした料理なんて行軍中は食べないよな?たぶん。


「ウチの副団長様はグルメだから給仕係がいるんだとよ。ラッキーだったな?」


「ハ、ハハ・・・」


めちゃプレッシャーじゃないですか!大丈夫かな。


プレッシャーを感じながら俺は火を焚き野草を集めてスープを作った。


□□□□


「出来た!・・・うん。良い感じだ」


我ながらこんな材料でよく作ったと思う。

俺の声が聞こえたのかベンがやってきた。幹部のテントに案内してくれるようだ。

テントに入ると屈強な男達が一斉にこちらを見てきた。落ち着け俺。冷静に冷静に・・・


「お待たせしました。<鳥団子と香草のスパイシースープ。干しパンを添えて~>でございます」

干しパンを添えて~の辺りは使い方が間違っているような気がするが、この世界じゃ誰も分からんだろうからまぁいいか。


「おお~!これは美味そうだな」


「名前も洒落てるじゃねぇか」


「うめぇ!いいぞ!小僧!」


フフ。団長にも褒められた。反応は上々だな・・・え~と。副団長は何処かな?

いた!・・・仮面したまんまじゃん。よく見たら口の部分だけ仮面空いてるし。

どうなってんの?その仮面。


「副団長の顔は誰も見たことねぇんだ。残念だったな」


落胆しているところをベンに感づかれた。いや。別にイケメンなんて興味ないけど反応を見たかったんだよな。副団長のおかげで雇われてるんだし・・・てかベンもスープ食べてるって事は幹部だったのか。

チラッと副団長の様子を見てみるが黙々と食べている。口に合っているかどうか分からん。

でも食べてる事は及第点って事かな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ