ロニーの病気
帰ってきたらロニーが倒れていた。
叫び声がする部屋へ向かうと真っ青なロニーがボルツに抱きかかえられていた。
俺は慌てて駆け寄った。
「ロニーさん!大丈夫ですか!?」
俺がここに来る前からロニーは肺に病気を抱えており最近まで調子が良かったが急に倒れたようだ。
「・・・薬が切れている。どうして買わなかった?」
「・・・」
意識はあるようだがロニーは返事をしない。
「グレイ。ロニーを頼む」
「はい!」
ボルツはロニーをベッドに寝かせると薬を買いに出かけて行った。ロニーは汗をかきながら息もするのもしんどそうだ。俺がロニーの汗を拭いているとロニーが弱々しい声で口を開いた。
「グレイ。あんたには苦労をかけるね」
「いえいえ。そんな事よりどうして薬を買わなかったんですか?」
ロニーによると肺の病気が最近流行りだして薬が高騰しているらしい。ボルツに苦労をかけまいと薬の量を少しずつ減らしていたようだ。
「そうだったんですか・・・」
ここの夫婦は元々冒険者だった。そのためか冒険者を支援するようにメニューは激安だ。利益なんてほとんど考えてない。生活はギリギリだ。拾ってもらった俺が言うのも何だが、人が良すぎるのも考えものだ。かと言って俺が勝手に値段を上げる訳にはいかない。そんな事を考えているとボルツが帰ってきた。
「すまない・・・1週間分しか買えなかった」
「え?」
薬が思った以上に高かったようだ。
「ボルツさん。ロニーさんに薬を」
「ああ」
「・・・ちょっと出てきますね」
俺はそう言って武器屋に向かい鉄剣を売った。そしてそのお金で薬を大量に買った。と言っても1ヶ月分にしかならないが。
「ボルツさんこれを使って下さい」
「これは?・・・グレイ。お前まさか?」
「あ~。剣ですか?気にしないで下さい。また買えばいいですから」
「・・・・すまない」
俺としては当たり前の事をしたまでだったがボルツは申し訳なさそうに薬を受け取った。
だがこれでは本当の解決にはならない。俺はそう思いながら眠りについた。