剣をピッとね
スライムを討伐し続け億千万・・・お小遣いを貯めてやっと手に入れたショートソード。
見よこの鉄の輝き!ショボいと思った?ショボいと思ったでしょ?いやいやいやいやいやいやいや!
マジで高いからこれ!青銅じゃない鉄だから!日本の感覚で言うと20万ぐらいするから!異世界でこれ買おうと思ったらマジで大変だから!青銅だったら安いけどこれは鉄だからね!
ハァハァハァ!誰かに褒めて貰いたい・・・・。
短い鉄剣を腰に差して俺は森の中へ入っていった。
森の中は以前と変わらず見たこともない木々が生い茂っている。15分ぐらい奥に進んだ所で見たことがある奴がいた。ゴブリンだ。
フフフ。毎日素振りと筋トレをしていた俺に敵うと思うなよ。
「キッシャアアア」
ゴブリンはこちらに気づくと問答無用で襲い掛かってきた。
以前の丸腰だった俺と違って今は落ち着いている。ナイフを突き刺そうとしてくるゴブリンに対して俺は身体を捻って回避。そのまま足を掛けた。
「ギャッ?」
ゴブリンはドスンっとそのまま前倒れになったので、すかさず脳天目掛けてショートソードを突き刺した。
「ギャアァ!」
断末魔を叫んでゴブリンは息絶えた。
「ふぅ」
血振りをして納刀する。これ1回やってみたかったんだよね。剣をピッっとして血を払うやつ。
うん。今の俺カッコイイ。肉を刺す感触が気持ち悪かったのは内緒だ。
森の探索を再開した。以前この森を出た時は目隠しをされていたので場所は分からないが、美人姉妹の家は崖の麓という事だけは分かる。崖がある場所を下って道沿いに1時間ぐらい歩いたところで比較的簡単に見つけた。姉妹の家だ。目隠しされた意味あんまりなかったな。
近づいてノックしてみる。
トンットンッ
「ごめんくださーい」
・・・反応がない。留守かな?
「たのもー」
あ、これは違うか。
うーん・・・・・・覗いてみよ。
窓から中の様子を覗いてみる。すると俺が寝ていたベッドがあった。月日が経っているせいか埃被っているように見える。荒らされた形跡はないので引っ越したのかもしれない。魔除けの魔導器も効力が切れてる。ちなみに魔除けの魔導器とはそのまんまの意味で魔物が嫌う匂いを発するアイテムだ。これは街道等に設置されており比較的これがある道は安全なのだ。
待っていても仕方ないので残念だが書置きだけ残して今日は帰る事にした。残念。
家に帰ると部屋の奥の方でボルツの悲痛な叫びが聞こえてきた。
「おい!ロニー!しっかりしろ!」