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「あっぶね!」


俺は後ろにバックステップして男が振り下ろした剣を躱した。

少女が教えてくれなかったら直撃だったろう。

男は俺が丸腰だからかすぐに距離を詰めてきた。


「伏せろ!」


俺は咄嗟に聞き覚えのある声に反応して身を伏せた。

それと同時に何かが頭をかすめて男に突き刺さる。


ドサッ!


弓が頭部に刺さった男は倒れて息絶えた。


後ろを振り向くとそこには弓を構えたロアがいた。


「無事か!?給仕係!」


「はい。なんとか」


「お前が死んでしまっては美味しい物が食べれなくなってしまうからな」


「すいません。ありがとうございます」


いつの間にか戻って来ていたイケメンエルフ。カッコ良すぎ!俺が女だったら惚れてるレベル。

いけ好かないとか言ってごめんなさい。


「敵の部隊は多くない!各自冷静に対処せよ!」


「おー!」


ロアの部隊が戻って来てから敵の奇襲攻撃は勢いを無くし後方部隊は息を盛り返した。

傭兵の副団長なのに正規軍でさえ彼に従っていた。この人はいったい何者なんだろう?



その日の夜--


俺はせっせと給仕係の仕事を終わらせてテントで横になっていた。


『その剣どうしたの?ずいぶん立派な剣だけど?』


ヒョコっと上から少女が出てきた。もう慣れたもんだ。敬語はやめた。

意味がない事に気づいたからだ。


『これか?俺と同じ年ぐらいの傭兵の奴がいたんだけどその人の剣なんだ』


『もしかして・・・死んじゃったの?』


『あぁ。昼の奇襲でね・・・』


『そう・・・』


ここ数日の付き合いだったが、親しくしてくれた人が死ぬのは辛い。


「グレイ。昨日のスープ最高だった。戦場であんな美味い物が食えるなんて思ってなかったよ」


「バカッ!声がデカい!絶対誰にも言うなよ。副団長は料理に関する事は人一倍怖いんだから」


「なぁ・・・もし俺が死んだらこの剣使ってよ」


「急にどうしたんだ?自分でそんなフラグ立てるなよアレス」


「ふらぐ?」


「あ~。何というか・・・冗談でもそういう事言わない」


「・・・それもそうだね」


1日前の会話を思い出す。

なぜ傭兵なんかをやってるかは聞いてなかったが何処かの貴族だったに違いない。

剣には立派な紋章が入っていて、恐らくミスリルで出来ている。軽い上に頑丈だ。

俺には分不相応な気もするが戦争が終わったらこの紋章を頼りにアレスの家に帰しに行くつもりだ。

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