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奇襲

少女によると仇は少女を殺した第一王子の部隊長らしい。

森の奥に住んでいる時にたまたま通りかかった部隊長に妹が見初められて言い寄ったが、妹に相手にされずに逆上。付きまとわれて困った姉妹はこの村に引っ越したが村人の告げ口で露呈。村が第二王子の領地だったため内戦が始まるとここぞとばかりに攻め込み、どさくさに紛れて妹を奴隷にするつもりだったようだ。

妹を逃がす為に少女は勇敢に戦ったが首に致命傷を受けてアーメンというわけだ。


「妹さんはどうなったんですか?」


『恐らく捕まってはいないわ。でもあいつが生きてる限り妹はいずれ発見されるでしょうね』


少女は悲しそうに下を向いた。気が強そうに見えたがそうでもないらしい。


「分かりました!そんなゲス野郎俺が倒してみせましょう」


・・・とカッコつけてみたが自信はない!


『ふーん。あんた強いの?』


「うっ・・・」


『どう見ても弱そうだもんね?前よりは筋肉ついたみたいだけど』


よく見てるなぁこの子。こわー。


「じゃあ他の人に頼んでみるとか?」


『それだったらあんたが責任を取る事にならないじゃない』


どうしても俺に責任を取らせたいみたいだな。


「じゃあどうすれば?」


『私に考えがあるの』


□□□□


少女と話した後にロアの所へ戻った。

当然のように俺以外は少女の姿は視えてない。


「副団長。只今戻りました」


「遅かったな。アンデットはいたか?」


「はい!杭を打って浄化させました」


「ふむ。1体だけか?」


「はい・・・どうかされましたか?」


「いや。なんでもない」


ロアは少し考え込むような仕草をしてみせた。

何かあったのかな?


「よし!アンデットの浄化は終わった!ホーグルに追いつくぞ!」


え?今から?もう夜なんですけど。


「おー!」


他の団員は意気揚々とロアの後を付いていく。


あんたら正気ですか?


□□□□


朝方になってようやく主戦場の近くまで辿り着いた。

決戦は昼頃になるらしいのでようやく休む事が出来る。


「はぁ~。疲れた」


設置されたテントに寝転がる。

むさい男達に囲まれて環境は最悪だがそんな事言ってる場合じゃない。


『傭兵って大変ね』


ひょこっと頭上に少女が顔を出してくる。


『霊体は寝なくていいんですか?』


『うーん。眠くはないけど寝ようと思ったら寝られる感じ?』


『なんじゃそりゃ』


少女とは声を出さずに俺が伝えたい事が伝えられる事が分かった。

俺の思考が伝わるのではなく少女に伝えようと思った事が伝わるのだ。

使いようによってはかなり使えそうだ。距離が離れると無理っぽいが。


■■■■


「敵襲だー!」


男の怒号が聞こえて俺は飛び起きる。

いつの間にか眠っていたみたいだ。


テントの外に出ると兵達が慌ただしく周りを警戒している。


「クソ!兵糧攻めか!」


1人の兵士が叫んだ。


俺は後方部隊に配置されていたため安心しきっていたが、まさか回り込まれているとは。

激しい怒号と共に前方から剣戟の音が響き渡って来る。


「矢が来るぞー」


その声に反応して頭上を見ると数多の矢がこちらに向かって空から降り注いでいた。

ヤバイ!ヤバイ!

俺は思わず近くにあった大鍋を構えて防御態勢に入った。


カカンッ!カンッ!


幾つかの矢が大鍋に当たった。思ったより強い衝撃だ。

周りを見てみると盾で防御しきれなかった矢に射抜かれた兵士たちが倒れている。

俺は幸いにも分厚く大きい鍋だったので矢に貫通されずに済んだ。


『後ろ!』


少女の叫び声が脳内に伝わって来た。

ハッっと後ろを振り向くと剣を振りかざしている男がいた。

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