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HAPPY BIRTHDAY (ブログ掲載作品)

作者: 立花ゆずほ
掲載日:2014/01/08

今日はあなたの誕生日。


普段は忘れているあなたのこと、この日だけは思い出す。

付き合い始めた日も、さよならした日も、覚えてない。

最初のデートはどこだったかな。

私の誕生日に何をプレゼントしてくれたかな。

覚えてないことばかりなのに。


会わなくなって15年も経っているのに。


あなたの誕生日プレゼントをドキドキしながら選んでた自分は、今でも思い出せる。

男の子は何を喜ぶんだろう。

シンプルなものがいいのかな。

タオルなら使ってくれるかな。

ラッピングはあまり派手じゃない方がいいのかな。

どうやって渡そうかな。

みんなの前じゃ嫌がるかな。


あの頃は、毎日が輝いていた。

楽しかった。

全てがキラキラして見えた。



私はメダルゲームをしながら、ぼんやりと思い出に浸る。

行ったり来たりする台の上で、銀色のメダルが揺れている。

落ちそうで落ちない。


ボーっとしながら、リーチの時だけ画面を見つめる。


画面の中で火山が噴火し、恐竜が暴れだした。

間もなく同じ恐竜が3つ並び、何やらルーレットが回り始めた。

よくわからずに見ていると、ビンゴが表示され、すべてのマスが7になった。


どうやら当たったらしい。


祝福の言葉が光り、メダルが大量に出てくる。

ジャラジャラと激しい音が響く。


音を聞きつけ、2人の子供が駆け寄ってくる。


「母ちゃんすごい!」

「いっぱいだ~ずるーい」


喜ぶ兄と妹に、メダルを半分ずつ分ける。


「母ちゃんはもう終わり?」

「うん。もう、終わり」


私は席を立ち、奥のベンチに座る。

自販機であたたかいミルクティーを買い、携帯をチェックする。


夫からのメール


「床屋終わった。そっち行くから、昼飯食べよう」


私は了解の返信をして、うーんと背伸びをした。



「母ちゃん、もう無くなっちゃったよ」

「もっとやりたかった!」



「もう、おしまい」


私は子供たちから空のカップを受け取って、メダル貸し機の前にひっくり返した。


「お腹すいたね」


私は両手をそれぞれ子供たちと繋ぎ、フードコートへと歩き出した。

今日はデザートにケーキを食べちゃおうかな。



お誕生日おめでとう。

きっともう二度と、会うことはないけど。

きっと来年も私は思い出すだろう。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章は読みやすく、すっと入ってくる物語でした。 [気になる点] 多分に意図していた部分もあるとは思うのですが、シンプルすぎる気がします。 平坦な中に漣のような心境の変化を感じることは出来る…
2014/01/08 18:18 退会済み
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