<運命の出逢いpart2です>
先程の四ツ辻まで戻って参りました。北へ行くと、ストレートに“石の郷”まで行ってしまいそうですので、東へ戻る事に致します。
先程の猟師さんが残した轍の跡を通り過ぎ、南北に分かれる道まで戻りました。南へ行くと完全に後戻りですので、北へ向かいます。
進んでいくと、道を外れた遙か右手の方で、何やら禿鷹の群れが上空で円を描いています。はて、何かの死体でもあるのでしょうか。それとも、これから死体になりそうなものでもあるのでしょうか。
…ゴブリンが死んでいる(もしくは死体になりそうになっている)可能性もありますね…。行ってみましょう。
草むらを掻き分けていくと、低い呻き声が聞こえてきました。行ってみると、そこには筋骨隆々とした巨人が、両手足を杭に縛り付けられて、地面に縫い止められる様に拘束されています。腰布一枚の裸であり、顔と胸には痛め付けられた跡があり、全身は日に焼けて火膨れになっています。…何ですか、失恋したばかりの私に対する、神様の憐れみでしょうか? 感動の余り、涙と涎を抑える事ができません。愛と美の女神に感謝します。超感謝します。
据え膳喰わぬは女の恥と申します。少なくとも、今私が申します。折角動けないのですから、まずはちょっとくらい悪戯してから…いやいや、ここはプラトニックなラヴを貫きましょう。
「デヘヘ、おねいさんが、今助けてあげますようドゥフフフ」
私は、穏やかに声をかけつつ、彼を縛める綱を切りました。すると、彼は手足をさすった後冷ややかに嗤うと、傍にあった棍棒を手に執って、襲って来るではありませんか。…ええ、そんな様な気はしていました。世の中、筋骨隆々のセクシーマッチョが、都合良く身動きできない状態で転がっているなんて、そんな甘い話がある訳ないですよね…。
ショックで呆然としていた私は、初撃を受け止めると気を引き締めました。心を鬼にして、彼のふつくしい肉体に、刃物を入れていきます。…あ、これはこれで興奮するかも。彼にとどめを刺すと、私は裏切られた嘆きに溜息を漏らしました。
「こんな事なら、やはり悪戯しておくべきでした…」
更なる傷心を抱えて、私はめそめそと道へ戻りました。
冒険記録紙
名前:カサンドラ
装備:剣、革の鎧、ザック、幸運の薬、地図、万能薬、除草剤、虫除け、聖水、光の指輪、飛び跳ね靴、自動縄、捕縛網、探水棒、大蒜団子、封炎玉、真鍮のフルート、鼠の骨のネックレス、“戦鎚”の柄、戦上手の腕輪、ベラドンナ草、妖精の粉
お宝:金貨5枚、銀の箱