<オーガーの洞窟を見付けました>
歩いている内に、木々が疎らになってきて、日の光が差し込む様になってきました。道幅も広がり、程なく右手の奥まった辺りに洞穴が見えてきました。
ゴブリンの姿を探して、私は洞穴に足を踏み入れました。
中には材木を組み合わせて造った檻があり、中には小型の人型生物が飛び跳ねています。そこに向かって、水の入った瓶を持ったオーガーが、近付いて行こうとしています。
これは、ビンゴかも知れませんね。檻に入っているのは、ゴブリンではないでしょうか。剣の腕には自信がありますが、少しでも戦いを有利にする為に、岩を拾い上げて、オーガーに投げ付けてみましょう。
お誂え向きな事に、ちょうどアモルツァイ氏から買った、必中手袋があります。早速取り出して、填めてから投石します。
紫色の絹でできた手袋の魔力で、岩は狙い過たずオーガーの側頭部に命中し、一発で昏倒させる事ができました。…う~ん、でもこれで手袋は魔力を失ったんですよね…。剣で片を付けても良かったかも知れません。檻の中では、例の生き物が狂った様に飛び跳ねています。
まずは、檻の中の生き物が件のゴブリンか、確かめてみましょう。
茶色の鱗の生えたがっしりした小柄な生き物。間違いなくゴブリンです。しかも、首から黒光りする棒を革紐で提げています。間違いなさそうですね。
鍵を開けると、ゴブリンは扉を蹴り開けて襲い掛かってきました。何て恩知らずな。まあ、その首から提げている物を寄越さなければ、どの道奪い取るつもりでしたけど。
ゴブリンなんか、正直相手になりません。しかも<剣捌きの薬>の効果が効いているので、ゴブリンの攻撃などかすりもしませんでした。…別に損をした訳でもないのに、何だか勿体ない気がします。
ゴブリンの亡骸を検めて、例の黒い棒を手に取ります。黒檀で出来ていて、片方には引っ掻き傷、別の端には<S>の刻印…。“戦鎚”の柄で、間違いない様です。
装備追加:“戦鎚”の柄
ザックに柄をしまうと、私は他に何かないか探ってみました。
洞穴の中には、藁のベッド、石の壺、テーブルと椅子があるだけです。ただ、ベッドの上の石の棚に、銀の小箱が置いてあります。
どれ、何が入ってるんでしょうね…。
箱の蓋を開けると、途端に辺りに黄色いガスが立ち込め、私の顔にまとわりつきました。
毒ガスの様で、強烈な刺激に眼は潤み、咳が止まりません。肺が爆発しそうな苦しさに、洞穴中をのたうち回り、漸く落ち着きましたが、暫くは喘息持ちの様に息をするのにも力が要りそうです…。
せめてもの戦利品に銀の箱をザックに詰めると、私は洞穴を出る事にしました。
お宝追加:銀の箱
冒険記録紙
名前:カサンドラ
装備:剣、革の鎧、ザック、幸運の薬、地図、万能薬、除草剤、虫除け、聖水、光の指輪、飛び跳ね靴、自動縄、捕縛網、探水棒、大蒜団子、封炎玉、真鍮のフルート、鼠の骨のネックレス、“戦鎚”の柄
お宝:金貨10枚、銀の箱
<剣捌きの薬>の効果:以後一回の戦闘において、攻撃力上昇