<エロマンガみたいに粘液まみれにされてしまいました>
再び北への道を辿っていると、道の左手に直径三メートルの穴が空いているのに気が付きました。近寄って見てみると、穴はなだらかに降って、深く続いている様です。
…普段だったら、こんな怪しい穴は素通りするのですが、ゴブリンというのは何処に入り込んでいるか解ったものではありません。一応、見てみる事にしましょう。
穴を降りていくと、次第に壁面がぬるぬると粘液に覆われていきます。何か、巨大な生き物が分泌したものでしょうか…。
危険なのは判り切っていますが、もしかしたら件のゴブリンがこの先で餌食になっているかも知れません。私は、滑らない様に慎重に、穴を降りて行きました。
「あ」
滑りました。私がどんなに慎重に進んでいたとしても、「滑った」と書いてあるのですから滑りました。私はでんぐり返りしながら、穴の底に落ちていきます。やがて、広い空間に放り出されました。勿論私は粘液まみれです。鬱です。死にたいです。お誂え向きに、毒で光る棘がすぐ傍に…。
「!」
危ういところで飛び退きました。死にたいと思った途端殺しに来るなんて、何てタイミングが良いのでしょうか。勿論悪い意味で。どうやらここは針ミミズの巣だった様ですね。ちなみに、五メートルくらいの巨大なミミズで、尾に毒針が生えている怪物です。
「ふふ…うふふふふ…」
ああ、何だ。鬱憤をぶつける相手がいるじゃありませんか…。
「しかもこの汚いぬるぬる、貴方が出したんですよね…?」
私を突き刺そうとする毒針を受けては斬り付けている内に、毒針がへし折れました。
「うふふ、これで貴方は、大きいだけのミミズですねえ…」
ミミズは、脅えた様に逃げ出そうとします。
「うふふふふふふふふふふふふふふ」
ミミズをバラバラにした後、巣に何か残されていないか探ります。幾つか犠牲者らしい白骨と、革のザックが見付かりました。中には、金貨四枚と、透明な液体の入った小瓶が入っていました。
お宝追加:金貨7枚
何でしょう…? 得体は知れませんが、後生大事にザックにしまっていたなら、何か役に立つ物かも知れません。思い切って、飲んでみる事にしました。
飲んで、暫く待ってみましたが、別段何も起こりません。
「まあ、毒でなかっただけ、良しとしましょうか…」
と、地面に刺しておいた剣を手に取ると、異様に軽く、まるで剣先が自分の指であるかの様に自在に操れます。どうやら、あの薬は<剣捌きの薬>だった様です。暫くの間、私の剣は更に鋭さを増す事でしょう。良い拾い物をしました。
<剣捌きの薬>の効果:以後二回の戦闘において、攻撃力上昇
さて、穴を出て、旅を続けましょう。
冒険記録紙
名前:カサンドラ
装備:剣、革の鎧、ザック、幸運の薬、地図、万能薬、除草剤、虫除け、聖水、光の指輪、飛び跳ね靴、自動縄、捕縛網、必中手袋、探水棒、大蒜団子、封炎玉、真鍮のフルート、鼠の骨のネックレス
お宝:金貨10枚
<剣捌きの薬>の効果:以後二回の戦闘において、攻撃力上昇