<“闇の森”に突入です>
塔から北へ続く細い道を通って、“闇の森”に入っていきます。その名の通り、昼なお暗い森の中を進んでいくと、巨木の前で道が二股に分かれていました。
まあ、特に指針もないですし、東にでも行ってみましょうかね。
東に進んでいく内に、ようやく道は一メートル幅程に広くなり、やがて苔生した道標の前まで辿り着きました。道標には、一羽の大きな鴉がとまっており、北と東と標識が付いています。
「こんにちは」
どちらに行こうか考えていると、私に声を掛けてくる御仁があります。しかし、声はすれども姿は見えず。声のする方には、鴉しかいません。私の寂しい心が生み出した幻聴でなければ、この鴉が喋ったのでしょうか?
「…こんにちは」
「やあ、ようやく返事をしてくれたな。何処に行くんだい?」
幻聴ではなかった様です。鴉とお話をする姿は、どちらにしろかなり寂しい人間か、さもなくば魔女といった感じですが。
「ゴブリンを探しているんですが…元二人組の」
「ふーん、ゴブリンなんかに何の用か知らないが、もしあんたが俺に金貨一枚払う気があれば、俺のアドバイスを買えるんだがなあ」
アドバイスには興味がありますが、生憎金貨は一枚も残っていません。
「あ、おい、ちょっと」
私は鴉からふいと顔を背けると、北へ向かう事にしました。
道沿いに進んでいると、前方から何やらぶつぶつ話している声と、足音が聞こえてきました。
件のゴブリンかも知れません。そうでなくても、話ができれば何か情報を聞けるかも知れません。私はそのまま進んで、声の主達に会ってみる事にしました。
何やら言い争っている様ですね…。念の為剣を抜いて、私は彼等の前に出て行きました。それは、襤褸の上に鎖帷子を纏った、脛の長い長身の生き物でした。…ホブゴブリンですね。惜しい。彼等は私を見ると言い争いを止め、剣を抜きました。仲違いを止めたのは結構ですが、矛先を私に向けるのは止めていただきたいのですが…。
ホブゴブリンは、同時に襲い掛かってきました。下手くそなりに、連携は取ってくる様ですね…。私はそれぞれの剣を受け流すと、隙のできた一匹に斬り返します。
「あぎっ!?」
嗚呼、久しぶりの、お肉を斬る感触。そういえば、暫く刃傷沙汰はご無沙汰でした。私を予想外の強敵と見て、ホブゴブリン達は必死の形相で剣を振り回します。ほぉら、そんな大振りでは、当たるものも当たらなくってよ? ほら、ほら。
「…ホォラホラホラホララァ!」
…二度程不覚傷を負ってしまいました。少し鈍っているのかも知れませんね…。しかし、何とかホブゴブリンを冥途にお連れする事ができました。
「…へっ、ようやく勘を取り戻してきたぜ…?」
…無理して負け惜しみを言っても、虚しいだけですね。
ホブゴブリンのポケットを探ると、金貨三枚、真鍮のフルート、蛆の涌いた堅焼きパンが出て来ました。あと、一人は首に、鼠の骨で作ったネックレスを架けていました。パンは速攻で捨て、残りは戦利品として頂いておきましょう。
装備追加:真鍮のフルート、鼠の骨のネックレス
お宝追加:金貨3枚
冒険記録紙
名前:カサンドラ
装備:剣、革の鎧、ザック、幸運の薬、地図、万能薬、除草剤、虫除け、聖水、光の指輪、飛び跳ね靴、自動縄、捕縛網、必中手袋、探水棒、大蒜団子、封炎玉、真鍮のフルート、鼠の骨のネックレス
お宝:金貨3枚