表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/27

<大暴れ!? “闇の森”の幽霊盗賊(ゴーストバンデッド)>

 道は、鬱蒼とした木々の中を北に続いています。それから急に右に折れ、東に向かいました。草が伸び放題で、いちいち剣で切り払って進まなければならないのが鬱陶しいです。長く疲れる道程を経て、(ようや)く分かれ道まで辿り着きました。東への道は、恐らく以前大鷹に襲われた場所に続いている筈です。最早“石の郷”に急いでも、何の問題もありません。(わたくし)は、迷わず北への道を急ぎました。

 やがて、見覚えのある開墾地に出ました。右側に、小枝と草を束ねた怪物の住処が見えます。ここは確か、ワイバーンの住処です。

 もうここには用はありません。先を急ぎましょう。

 “石の郷”まで、あと(わず)かです。(わたくし)が道を急いでいると、前方で足音と声が聞こえました。ここは、以前仲良し盗賊五人組と出会った所です。まだ一味が残っていたのでしょうか…? すると案の定、似た様な連中が姿を現しました。妙な仮面を被った女が、一歩前に進み出てきます。

「あたし達は、“闇の森”の幽霊盗賊(ゴーストバンデッド)! お前、あたしの姉を殺した女剣士だね!? 姉に代わって命を貰うよ! それとも、持っている物を五つ寄越して命乞いをするなら、考えてやらないでもない!」

「貴方のお姉さんの命、荷物五つ分ですか」

「いいや、姉とその手下四人とで、五つ分だ!」

「安ぅい。せめてお姉さんが五つで、手下と合わせて九つ要求すればいいのに」

「えっ?」

 仮面の女は、何だか困った様子で手下と相談し始めました。

「何かあたし、まずい事言った?」

「ちょっと脅し文句が弱かったんじゃねえですかね?」

「よし、言い直そう。…おい! やっぱり九つだ! 荷物九つ寄越せ!」

「嫌です。途中で言い分変えるなんて、幽霊盗賊(ゴーストバンデッド)の名が泣きますよぅ?」

「えっ? …どうしよう?」

「口答えしたっつって、もうバラしちまいましょうか?」

「じゃあそうする…やい! よくも口答えしたな! バラバラにバラしてやる!」

 うーん、何で今まで彼女が盗賊に加わってなかったのか、解っちゃったぞう。そして、姉妹揃ってモテモテでいらっしゃいますのね?

「アホの子大正義などとは、このカサンドラには通用しません事よ?」

「誰がアホの子だ! お姉ちゃんの仇、死ねー!」

 そうそう、そうやって一人で突っ掛かってくるのがアホの子だと言っているのですよ。

(わたくし)、残酷ですわよ?」

 腕前自体は姉に迫るものがありましたが、所詮は勢いだけのアホの子。(わたくし)を相手取るには、技術体力運勢美貌に優雅さ執念深さ、そして何より、おつむが足りません。

「悪の力で、悪を行いますわッ!」

「何ィッ!? …って、それただの悪じゃむきゅうっ」

 姉妹諸共(もろとも)叩き斬っても良かったのですが、こんなお子ちゃまを斬っても寝覚めが悪いですし、柄で鳩尾(みぞおち)を強打して眠ってもらいました。

「自分で気付いたのは偉かったですねぇ」

 倒れ伏した女幽霊盗賊(ゴーストバンデッド)後目(しりめ)に、(わたくし)はその手下共を見遣りました。

「で、貴男(あなた)方はどうするんですか~…?」

「知れた事ッ! お頭を守る為、戦いあるのみッ!」

「アホの子大正義!」

…うん、こいつ等は殺しましょう。

「姐御とは、今のお頭と引き合わせてもらった仲ッ! 我等幽霊盗賊(ゴーストバンデッド)に、仇を討つ権利があるッ!」

「カサンドラとかいう奴ッ! 我等幽霊盗賊(ゴーストバンデッド)が、地獄の淵に沈めてやるッ!」

「無駄無駄無駄ァ~ッ! そんな眠っちまいそうなのろい剣で、このカサンドラは(たお)せませんよォ~ッ!」

「喰らえッ! 稲妻十字…」

「ちょい♪」

「「アガターッ!」」

「おのれッ、カサンドラッ!」

「根を上げさせてやるッ!」

 二人片付けたところで、残りの奴も跳び掛かってきました。まあ軽く捻って…。

「!?」

 おや、血が…。

「やったッ! あの悪魔の体に傷を付けたぞッ!」

「…蛙の小便よりもゲスなッ! ゲスな一太刀を、よくもッ! よくもこのカサンドラにッ!」

 まあ、配下にゾンビなんかいませんし、自分で片を付けるしかないんですけどね。あんまり楽勝ムードだったので、油断してしまいましたね。少し本気を出しますか。

「必殺! …息絶えるまで無限に続く、呪いの様な受け流し&斬撃」

「「タコスッ!」」

「貧弱貧弱ゥ~ッ! ちょいとでもこのカサンドラに敵うとでも思いましたか、この間抜けがァ~ッ!」

…おっと、久々の戦いでの負傷でしたので、少々エキサイトしてしまいましたね。さて、アホの子が目を覚ましても面倒ですし、戦利品の金貨二枚だけ頂いて、先に進むとしましょう。


お宝追加:金貨2枚



冒険記録紙

名前:カサンドラ

装備:革の鎧、ザック、地図、万能薬、除草剤、虫除け、光の指輪、自動縄、捕縛網、探水棒、封炎玉、真鍮のフルート、鼠の骨のネックレス、“戦鎚”の柄、戦上手の腕輪、ベラドンナ草、業物の剣、ドラゴンの歯、手裏剣、巧みの籠手、集中力のバンダナ、毒消し、小さな銀の鍵、粘土の手、“戦鎚”の頭

お宝:金貨43枚、銀の箱、黄金の耳飾り(金貨5枚)×二、金の鼻輪(金貨10枚)、金の延べ棒(金貨28枚)、金のメダル(金貨9枚)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ