<野蛮人はモンスターです>
闖入者に邪魔されましたが、一応朝まで休むと、私は北への旅を再開しました。
丘への道は、進むにつれてだんだんと急になってきます。頂上に着くまでには、太陽が高く上がり暑くなっていました。視野一杯に、“闇の森”の暗い森が見えています。背後の叢にはまだ霧がかかっていますが、前方の谷間には日差しが射しています。静寂の中を谷間へと降りていくと、分かれ道に出ました。
ここは通った事がありますね…。このまま行けば、熊狩りの罠がある筈です。東を探索しましょう。
丘の尾根に沿って続く道を行き、別の分かれ道に出ました。以前通った道を、逆戻りした形ですね。南は確か踏み石のある川に戻る筈ですから、北へと進みます。
道は、大きな丸石や岩の間を抜けて、丘を降り北へ走っています。…どうも、誰かに見張られている様な気がします。剣の柄に手を掛けて用心していると、道の左手の大きな丸石の影から、筋骨逞しい二人の男性が現れました。まあ♪ 彼等は毛皮を身に着け、髭も髪も伸び放題の、非常にワイルドな出で立ちです。ときめいている場合ではありません。何故なら、一人が弓に矢を番え、射てきたからです。
矢は外れ、私の頭上を飛んでいきました。
接敵に備えて剣を構えますが、彼等は矢が外れたのを跳んだり跳ねたりして悔しがり、果ては互いに責任を擦り合って喧嘩を始めてしまいました。どうも、私の事など既に眼中にない様です。…こんな、脳味噌がお猿の連中にまで無視されるなんて…。
“戦鎚”の頭探しという大義名分もありますし、攻撃してきておいて内輪揉めに夢中になる様な半人間なんか、生きていてもしょうがないでしょう。
「…ちょっと失礼しますね~」
私は一声掛けつつ彼等に歩み寄り、その間に剣を差し入れました。
「…シカト、格好悪い」
彼等は金切り声を上げつつ、斧を振り翳して襲い掛かってきました。
全く逃げる必要のない相手です。連携を取る様子もありませんし、一人ずつ相手にして、負ける要素はないでしょう。
お猿の如くヤケにはっちゃけていましたが、どんなに頑張っても私には擦りもしません。仲良し五人組にも負けなかった私が、こんな仲の悪い二人に負ける筈がありません。
「貴男達に足りないのは、互いに思いやる絆の力でしてよ?」
…良いんです。死人相手ですから、どんな適当な勝ち台詞を吐いても。一人が首に掛けていた、小さな銀の鍵を奪い、旅を続ける事にします。
装備追加:小さな銀の鍵
冒険記録紙
名前:カサンドラ
装備:剣、革の鎧、ザック、地図、万能薬、除草剤、虫除け、聖水、光の指輪、自動縄、捕縛網、探水棒、封炎玉、真鍮のフルート、鼠の骨のネックレス、“戦鎚”の柄、戦上手の腕輪、ベラドンナ草、妖精の粉、業物の剣、ドラゴンの歯、力の回復薬、手裏剣、巧みの籠手、集中力のバンダナ、毒消し、小さな銀の鍵
お宝:金貨14枚、銀の箱、黄金の耳飾り(金貨5枚)×二、金の鼻輪(金貨10枚)




