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<魔法使いアモルツァイ氏とお話ししました>

 “闇の森”の南端、道から50メートルも外れた所に、アモルツァイ氏の塔は建っていました。扉の前で鐘を鳴らすと、階下に降りてくる足音がして、扉の小窓から二つの目が覗きました。

「誰だ、お前さん」

「どうもこんにちは~…(わたくし)、カサンドラと申します。“闇の森”に用事がありまして、アモルツァイ様の魔法のお力をお貸し願えませんでしょうか~…?」

「ほう、そうかね。お前さん、若い癖にあんまり陰気臭いから、てっきり疫病神か何かかと思ったわい。まあ入れ。儂がアモルツァイだ」

 流石大魔法使い、いい勘しています。大変失礼ではありますが。

 一瞬このまま背中に斬り付けたらどうなるかな~という悪戯心が脳裏を掠めましたが、流石にいきなり襲い掛かるのは如何なものでしょう。仮にも大魔法使いと呼ばれる人に。大人しく、あとについて階段を登る事にしましょう。

 雑多に骨董品やら何やらが詰め込まれた塔の最上階で、アモルツァイ氏は売ってくれる魔法の値段を書き付けて寄越しました。

「使い方はラベルに書いておいた。どれも一回しか使えんが、金で買える魔法の内じゃあ、最高の代物だよ」

 なるほど~、使わずに済んだら、“黒沙港”辺りで倍の値段で売れないかしらん…?

「では…これと…これと…」


装備追加:万能薬、除草剤、虫除け、聖水、光の指輪、飛び跳ね靴、自動縄、捕縛網、必中手袋、探水棒、大蒜(にんにく)団子、封炎玉


「で、何でそんなに魔法が必要なんだね?」

「はあ、実は…」

 “大足”さんから、“戦鎚”を探してくれる様頼まれた事を話すと、アモルツァイ氏は顎髭を撫でながら話し始めました。

「“石の(さと)”のドワーフ達が、先祖伝来の“戦鎚”を奪われた事は聞いておる。あの“戦鎚”には、民の戦意を昂揚させる魔法が掛かっている。“石の(さと)”を侵略してくるトロール共との戦には、必須なのだ。

「噂ではあるが、“石の(さと)”と敵対するドワーフの別部族が、鷲使いを()って奪わせたという話もある。“戦鎚”を盗み出したものの、“闇の森”上空で大鷹に襲われ、森の中に“戦鎚”を落としてしまったらしい。

「その後、“戦鎚”は森に住む二匹のゴブリンに拾われたとの事だ。散々奪い合った挙げ句、喧嘩は引き分けに終わった。“戦鎚”が、頭と柄に分解してしまったのさ。連中は頭と柄をそれぞれ分け合って、仲直りという訳だ。お互いご満悦で、お宝を持って別れていった。まだ大切にお宝を持っているかは判らんがね。

「つまるところ、お前さんは“戦鎚”の頭と柄を、それぞれ見付け出さなければならんという訳だ。厄介な事だな」

「そうですか~」

 まあ実際は、(わたくし)に頼んだ時点で、厄介事は三倍くらいにはなっているかも知れませんが。

「覚えておくがいい。“戦鎚”の見分け方だが、頭の部分は青銅製、柄の部分は黒檀だ。いずれも、“石の(さと)”の刻印が刻まれている筈だ。楽にはいかんぞ。運命の神の加護は祈ってやるが」

「祈るだけじゃなく、実際に幸運の魔法でもかけていただけないでしょうかねえ…?」

「かけてもいいが、高いぞ?」

「じゃあ結構でございます」

 今買った分ですっからかんですから。

「それじゃ、お邪魔いたしました~…」

 (わたくし)はアモルツァイ氏に礼を述べ、塔を後にしました。



冒険記録紙

名前:カサンドラ

装備:剣、革の鎧、ザック、幸運の薬、地図、万能薬、除草剤、虫除け、聖水、光の指輪、飛び跳ね靴、自動縄、捕縛網、必中手袋、探水棒、大蒜(にんにく)団子、封炎玉

お宝:なし


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