第27話
聡はスーツで家まで来た。家にはお母さんとお父さんが待っている。 母と父の向かいに私と聡が座った。聡と私の両親は仲がいい。父も頑固な感じではなくすごくフレンドリーだ。しばらく世間話をして聡が本題を切り出した。 「今日は報告があって参りました」
聡の改まった態度にみんな真剣な表情になった。そして聡は私に目で合図した…
「あの…ね私、妊娠しました。それでね産みたいの」予想どおり二人は驚いていた。そして聡が口を開いた
「僕も産んでほしいと思ってます。それでと言っては何ですが、涼子さんと結婚させてほしいんです。決して子供が出来たからと言うわけではなく前から考えていたことなんです」
するとお母さんがニコニコしながら話し始めた
「聡くんが涼子にプロポーズした事は聞いてますよ。お父さんどう思う?」
「う〜ん、聡なら任せられるが住む所とか式とかは考えてるのか?」「出産の後、決めたいと思ってます。」
「私が産むまではこの家にいたいって言ったの。」
「そうか。なら反対する理由もないしな」
「ありがとうございます」
「もう家族同然だったからあんまり変わる気がしないな」
そしてまた世間話になっていった聡が帰って私は部屋でゆっくりしていた。すると母が来た。 「英語の手紙来てるよ」
「え?なにそれ」
受け取るとエアメール。 杏からだった。慌てて開けて中身を読んだ。
近々、日本に帰るからみんなで集まりたいとかいてある。日本についたら電話くれるらしい。なんだか心踊った。すごくたのしみだ。それから何日か体が軽く、体調のいい日がつづいた。ある日、朝起きようとすると起き上がれない。 また腰が重く体調が悪い。しばらく寝てようと思い起き上がるのを止めた。 しばらくすると電話が来た
「もしも〜し」 『涼子?久しぶり!元気だった?杏だよっ』
「え?あ…杏?!」
驚いて起き上がれてしまった。 『今、日本に帰ってきたんだぁ』
「そうなの?!」
『うん。ちょっと時間が出来てさ』 「でも今が一番忙しいんじゃないの?お店増やすんでしょ?」
『え?何で知ってるの?』
「雑誌に載ってたよ」
『ほんとに?!』 「うん。顔もばっちり写ってたし、有名になったんだねぇ。」『まだまだだよっ。それよりさぁみんなで食事でもしない?』 「いいねぇ。じゃあみんなに連絡とってみるよ。」
「紗季に連絡とって、私カオルに連絡するから」
「わかった。じゃあまた電話するね」
電話を切ったあと、急いで紗季に電話をした。 『はい、もしもし』 「紗季?涼子だけど」
『えっ涼子?久しぶり!元気だった?』 「うん元気だよ。あのさぁ杏が日本に帰ってきたからみんなで集まりたいんだけどいつ空いてる?」
『杏帰ってきたんだぁ!!ん〜来週ならなんとかなりそう』 「そっか、わかった。ところで彼氏とは仲良くやってる?」
『あぁ別れたよ。私からさよならしちゃったんだ。』
「え?なんかあったの?」
『私、教師を目指すから目標達成するまで距離を置きたいって言ったの。それが無理だったんだと思う。』
「そーかぁ」
『でもさ、教師になるまでは待てないからせめて教育実習までにしてって電話きたんだ。あっちも就活頑張るって言ってるしどーしようかなって考えてる』 「なんだぁ〜結局くっつく運命なんだね」
『そんなことないよ。まだ先だしわかんないじゃん』
「はいはい。でもそれがお互い支えになってるんじゃない?」
『まぁね。』
「集まるときにじっくり聞かせてもらうからねぇ。また電話するから。」
電話を切り杏に電話しようとすると電話が来た…聡から。 「はい?どうしたの?」
『おぉ、体調どうだ?』 「ん〜まぁまぁかな」
『そうかぁ』 「明日の試合はちゃんと見に行くよ」
『え?』 「その事が気になってたんでしょ?」
『…まぁな。もし行けそうならシュンが迎えに行くから俺に電話しろよ』 「うん。明日がんばって」『おう。』 明日、聡のバスケの試合を見に行く約束していた。なんとなく明日は体調が良い気がする。杏から電話が来た。 「もしもし?」
『涼子?カオルね、来週なら大丈夫だって』 「紗季も一緒。」
『じゃあ来週の水曜日、ちょうど一週間後で、いいかな?』 「大丈夫だとおもうよ。紗季に言っとく。」
『場所と時間は私が後から地図付きメール送るね。』
「わかった。あっ、明日さぁ聡の試合見に行くんだけどいかない?」
『ん〜やめとく、明日ちょっと仕事しようと思ってんだ。今ちょっと新しいデザイン思い浮かびそうだし』
「そっかぁ〜ダーリンの試合見なくていいの?」
『見たいけど…今度で良いかなって感じ』 「そっか。じゃあメールよろしくねっ」
切った後考えてしまった。杏は大人になったのか、なんだか彼氏だけだったあの頃とは違う感じだった。