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第25話

聡の手が離れて不安で恐くなっていた私はうずくまっていた。そこに聡は戻ってきてそっと抱き締めてくれた。          「涼子、本当にごめん。俺もやっぱりお前が必要だって気付いたんだ。だからずっと側にいてほしい」

「うん。私こそごめんね」

聡の腕のなかは広くて暖かくて安心できた。私の頬には自然と涙が溢れていた。

「恐かったろ、もうあんな思いさせないからな。俺が守ってやる」私は涙が止まらずうなずく事しか出来なかった。  「よしっ、家まで送るよ」

言われたとおり家まで送ってもらい私は家の前で見えなくなるまで聡を見送った。そして心配してくれている杏に報告するために電話した…         『はぁい。杏です』   「涼子だけど今大丈夫?」

『あっ!涼子?!何?どーした?』        「寝てたの?」

『まぁね。んで?』   「あ、そうそう。聡と仲直りできたの」

『まじでぇ?!』    「うん」

『よかった。ほんと嬉しいよっ!』        「いろいろありがとね」

『いやいや、当然の事よ。ねぇ、明日ふたりでお祝いしよ?』        「え?!いいけどなんでふたりなの?」

『話したい事もあるし』 「そっか。わかった。」

『じゃあ放課後、門の前で待ってるから』     そう言って電話が切れた。話って何だろう…ダーリンと喧嘩したとか?別れたとか?…なんだか不安になってきた。次の日、杏は学校には来ていなかった…。   放課後、門の所に行くと杏が立っていた。     「杏!今日学校来なかったじゃん」

「まぁね。」

「それよりファミレス行こっ」

「う…うん」

杏に引っ張られて前、4人でよくたまっていたファミレスへ行った。すると杏がしみじみ話しはじめた。 「ここ、うちらの家みたいなものだったよね」

   「なんでここにしたの?ファミレスなんていっぱいあるのに…」

「ん〜、初心に返りたかったっていうか昔を感じたかったのかな。嫌だった?」

「嫌では無いけど2人で来るとやっぱ足りない気がしちゃって」

「ほんとは紗季もカオルも呼んだんだけど忙しかったみたい」

「カオルと連絡とったの?!」

「うん。ちゃんと話し合って仲直りしたんだからぁ」「そーなんだぁ。でも何で急に来ようと思ったの?」

「計画してから集まればみんなで来れたのに」「ん〜その事で話があるんだ…」

「何?!」

「私、明後日から…海外行くんだ」

「旅行でしょ?」

「ううん。何年かわかんないけど、勉強しに行くんだ。」

「何の勉強?」

「ほら私、前にストッキングとかデザインしたじゃん?それで本格的にやろうと思って。世界の杏になるまで帰ってこないつもり」 「え?なにそれ、本気?」

「当たり前じゃん!」

  杏の目は希望に満ちて輝いていた。        「そっか。応援するよ!大物になるんだよ。」

「うん。」

おめでたい事ばっかりなのでふたりでパーティーみたいにたくさん食べてしまった。          「やばい。食べ過ぎたぁ」

「3人分以上食べたよね」

「ねっ、明日からダイエットしなきゃ」

「杏、外国行ったらご飯おいしくて太っちゃうんじゃない?」

「そうかも!やばいなぁ」そんな他愛無い話を暗くなるまでずっとしていた。「杏…そろそろ帰って準備したほうが良いんじゃない?」

「う…ん。でも涼子と別れるの淋しくなっちゃった」

「何言ってんの!一生の別れじゃないんだから。私に会いたくなったら電話しておいで。」

「うん!よしっ、じゃ帰るねっ」

しばらく杏とは会えなくなるだろう…次いつ会えるのかもわからない…でもこれが杏の選んだ道。カオルが学校やめることを決めたように杏も自分の足で歩み始めたんだ。

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