第24話
朝、目が覚めた…昨日帰ってきてからすぐ寝てしまった。今までの疲れがどっと出てきてしまったみたいだった。体は怠いがなんだか気分は晴れている。いつもどおり学校へ行く…教室の前に隼人君が立っていた。私は気付かないフリをして通り過ぎた。すると呼び止められた。
「涼子ちゃん…」
昨日の事、忘れるわけ無い。まだ私の怒りが納まったわけではない。 「気安く呼ばないでよ」
「昨日…ごめんね」「私が言ったこと覚えてる?もう構わないでって言ったの!」
「でもさ、心配なんだ」
「何が?」
「無理してるんじゃないかと思って」
「無理して構わないでって言ったわけじゃないの、この際だからハッキリ言うけど迷惑だしもう私に近づかないでほしい」
隼人君は何も言わず走って行ってしまった。 「ちょっと言いすぎたかな…まぁいっか」 教室に入り席に座った。今日は何もないことを願った…もうあったけど… 最近はいろんな事が起こりすぎて混乱していたから何にも考えない時間がほしかった。放課後…職員室へ行った
「担任!いる?」
「こらっ涼子!敬語を使え!!」
「おぉ!いるじゃん」
「はぁ、敬語使う気ないなお前は…。」
「今度は担任が暗いぞぉ!相談乗ってあげよっか?」
「うるせぇ。…涼子、元気になったみたいだな」 「うん!担任のおかげだよっ。」
「そりゃ良かった。じゃあお礼に図書室から資料とってきて。この紙に書いてあるから」
「はぁ?何でそうなるわけ?」
「よろしくなっ」
そう言ってどっかに行ってしまった。 仕方なく図書室に行った。
「担任、こんなに資料使うのかよっ!見つからないしっ」
捜し回っていると一つの本に目が止まった… 背表紙には【あなたに】 と書いてあった。結構、恋愛小説は好きだから資料を探すのは後にして読むことにした。 人を心から信じることが出来ない女の子の話…なんだか今の私と重なる部分がある気がする… 外は暗くなっていた。 「やばっ!」
資料は揃っていなかったがあるのだけ持って職員室に走っていった。 「担任〜?持ってきたよ」
「おぉ涼子。遅かったな」
「だって量多すぎだし」 「あぁごめんな。って、全部揃ってないぞ?」
「あっ!ばれた?実は…本を呼んでまして…」
「まぁこんだけ探してくれたんだから許そう」
「ありがとっ!やっぱ担任は良き理解者だ」
「何いってんだよ、もう暗いから早く帰れよ」
「はぁい」
昇降口に行くと薄暗くて気味悪かったので早く帰ろうとすると…ちょうど出口の所に隼人君が立っていた。
「涼子ちゃん、俺諦めないから。」 「私、絶対に隼人君の事好きにならないし関わりたくないの、これ以上ひどいこと言いたくないから、わかって」
「わからない。だって俺は涼子ちゃんを幸せにしたいもん」
「私を幸せにしたいって今あんた嫌がらせしてんじゃん」
「俺の愛を受けとめてくれよ。わかってくれよ」
「わかんないしわかりたくもない。もういい加減にして」
走った。後ろから隼人君が追い掛けてくる。 隼人君に恐怖心さえ憶えた…門まで走り曲がったとき誰かに腕を掴まれた。恐る恐る振り替えると…聡だった。そして隼人君が追い付いてきた。私は聡の後ろに隠れた。 「おぃ、涼子ちゃんを離せっ」
「おめぇ、誰だ?」
聡は低い声で言った。 「離せって言ってるだろ!俺の涼子ちゃんに手出しさせないぞ」
「俺のだと?涼子そうなのか?」
いきなり聞かれて驚いたが大きく首を横に振って否定した。すると今まで握っていてくれた手が離れて聡は隼人君の方へ歩いていった
「違うじゃねぇか、お前ストーカーか?」
「そんなわけないだろ」
すると隼人君のむなぐらを掴んだ 「涼子嫌がってんだろ、もう近づくんじゃねぇ!ついでに言うと涼子は俺のだから、勘違いすんな」
そういうと隼人君は走っていってしまった。