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第22話

放課後、言われたとおり図書室に行くと隼人君がいた

「来てくれたんだ、ありがとう」

「何?話って」

「俺、涼子ちゃんの事好きなんだ。だから俺と付き合って?」

好き…今の私には嬉しい言葉ではなかった。    恋愛から逃げている私は好きと真っすぐな気持ちをぶつける隼人君に少し不信感を覚えた。それは好きという言葉にだったのかもしれない。隼人君は悪い人じゃないと思うが隼人君の気持ちには応えられない。「ごめん。無理」

「なんで?」

「ん〜きっと隼人君の事好きになれないからかな」

「そんなのわかんないじゃん!」

「いや、わかるよ」

隼人君は図書室を出ようとする私の手をつかんだ。 「俺、涼子ちゃんを幸せに出来るよ」

この自信…前にも、そう聡も何の根拠があるのか自信たっぷりだった。    また涙があふれてきそうになった。        「何その自信、絶対無理だから。」

「俺は涼子ちゃんをそんなに悲しませる男じゃない。そんな男なんて忘れろよ」

「何いってんの?勝手な想像で言わないで。」

「想像じゃないよ。事実でしょ?」

「さっきから何なの?いい加減にして!隼人君、最低ね。もう私に構わないで」

掴まれた手を振り払って、走った。その時にはもう涙が止まらなくなっていた。涙で前が見えなくなり転んだ…起きる気力もなくてそのまま泣いていた。   「お?涼子か?どうした」

優しくて暖かい声…担任だった。         「あ、担任…。」

涙を拭いてお辞儀して帰ろうとしたが涙が止まらない上に引き止められた。  「おい、待て待て。丁度いいや話あるから来いよ」

 ついていくと誰も居ない教室だった。       「まぁ座れよ」

そういわれ担任の向かいに腰を下ろした。     そしてティッシュをくれたしかも箱で。      「なんで箱ティッシュもってんの?」

「職員室の俺の机に置こうと思ったんだよ。だから全部使うなよ」

「そんなに使わないよ!」

「泣いてんのは転んだならだけじゃ無さそうだな」

「誰が転んで泣くかっ!」

「お前。」

「違う!転んだから泣いてるんじゃない」

「おぉ、強い子だなぁ。」

「バカにしてんのかぁ?!もう高校生なんだから」

「そーだったな。ところで最近、勉強頑張ってるな、いろんな先生から誉められちゃって誇りに思うよ」「ほんとぉ?!ありがとぉ。さすが担任わかってるねぇ」

「まぁな。ただ関心しない事もあってな。友達関係…うまくやってないだろ」

「まぁ…、でも勉強がんばってるしいいじゃん」

「確かに勉強の面では認めてるよ、でも人との関わりはお前が1番得意なことだったじゃないか」

「苦手を克服して得意に変えたんだよ。」

「人間関係を疎かにしてまで勉強って大切か?」  「教師がそんなこといっていいのぉ?」

「人として話してるんだよ。対等に話すときに教師目線はいらないからな」

こういう見下さない感じが担任の好きなところだった

「じゃあ私は人としてダメって事?」

「違う。俺はダメなときにしか話し掛けないわけじゃいだろう」

「そういわれれば…」

「だろ?人としてダメなんて事はないんだよ、気持ちの持ちようで沈んだり良くなったりするだけなんだよ。」「今は沈んだけならその内戻るから心配しないで」

「沈んでるときにちゃんと受けとめられれば心配ないけど今のお前は勉強に逃げてるだろ?」

「そんなことないよ。時間が経てば…」

「逃げたのが勉強って所はさすが涼子だと思うけど、勉強で結果が出ても心に隙間あるだろ?」

「…うん」

「違うことに逃げてても結局は解決しないんだよ。ちゃんと向き合わなきゃ時間がかかっても変わらないぞ。」

「な…んでわかるの?」「そんなのすぐわかるよ!お前の担任だからな!お前はテキトーだっていうけどちゃんとやってんだぞ」

「テキトーって言ってもいい加減だなんて思ったことないし、担任のこと結構好きなんだから」

「おっ、愛の告白か?」

「ちっ違うよっ。もうっ!せっかく良いこと言ってんのにっ!」

「悪い悪い。涼子がいつものテンションじゃないとなんか調子でなくてな」  「やっぱ相方から居なくちゃねぇ」

「相方じゃないだろ。それより直りすぎると勉強しなくなるから程々にな」

「はぁい。」

なんだかすっきりした気持ちになれて軽い足取りで帰ることが出来た。

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