第16話
早足で杏の所へ向かった。杏が車から降りてきた。 「杏〜!」
「涼子ぉ!もう終わったの?」
「うん。」
その時、カオルが走ってきた…。 「涼子!どこ行ったかと思ったぁ。」
「あ、ごめん。カオル、西田のとこ行ったから帰ろうと思って」
「声くらいかけてよぉ、それよりさこれからバスケ部のみんなと打ち上げやるんだけどくるでしょ?」
「いや、ごめん私パス。」
「なんで?」
「これから杏と約束あるんだ。」
「え?だって今日は私と約束してたじゃん」
「試合は見たけど打ち上げまで聞いてないし、私バスケ部とあんま関わりないしさ」
「私がいるじゃん」
「いや、カオルは西田がいるじゃん」
「見守ってくれないの?涼子のおかげでここまで来れたのに…」 そんな会話を聞いてて見兼ねたらしく杏が口を開いた
「あんたさぁいい加減にしなよっ!どんだけ涼子に迷惑かけるわけ?」
「ちょっと杏やめて…」
「涼子はちょっと待っててよ。カオルに言いたいことあるんだから」
「でも…」
杏はイライラしていた。 私を通り過ぎてカオルに近づいていった。
「ねぇカオル、最近ちょっと自己チューすぎない?」
「え?あたしが?」
「そう。涼子の事、振り回してんじゃないの?」
「そんなことないよ。」
「は?自覚なし?そーだよね、気付いてないからここまで出来るんだよね」
「さっきから何なの?」「何なのじゃないよ!涼子巻き込むなって言ってんの!」
「巻き込む?何の話よ」
「あんたと男の事だよ!」
車から誰か降りてきて杏を止めた。 「おい、杏やめとけ」
「ちょっとシュンは黙ってよ」
シュンって…杏のお兄さんじゃん!なぜ居るのかはわからないけどとりあえず杏を止めてほしい。 「黙れじゃないよ、涼子ちゃんに頼まれてないのにオマエの感情だけで突っ走るな」
その言葉に杏がとまった。その時、遠くから西田がカオルを呼んでいる。 カオルは気まづそうだった
「じゃあ…私行くわ。」
走っていってしまった。杏はちょっとキレ気味。
「ほら杏行くぞ。涼子ちゃんも乗って」
「あ、はい」
どこにいくのか車が走りはじめた。しばらくすると杏が口を開いた 「涼子…ごめんねぇ。」 「なに急に?杏らしくないじゃん」
「だって…シュンに言われて気付いた」
「ちょっと嬉しかった。杏がこんなに真剣にあたしの事考えてくれてるんだって思えて」
「やだぁ、照れるじゃん」
ちょっとは元気だしてくれたみたいだ。 「ところでさぁ、どこ行くの?」
「もうついたよ」
車から降りるとシュンさんの店だった
「なんでシュンさんのお店なの?」 聞き流され、杏に押されて店の中に入った。杏とふたりで座って待っていると奥からシュンさんがワゴンを押しながらきた。
「この服、涼子ちゃんに似合うと思って」
「え?私にですか?」
「涼子やったじゃん!新作だよ、これ」
「いいんですか?」
「うん。着てくれる?」
「はい!もちろん」
ワゴンには何着かあってどれも全身コーディネートされていてとてもかわいい。
「んで杏にはコレ」 とシュンさんは杏に紙袋を渡した。中身はストッキングと下着だった。「作ってくれたんだ?!」
「あぁ。デザイナーも乗り気でさ、近々うちの店で売り出そうと思ってる」
「ほんと?!」
はなしの内容が良く読めない… 「涼子!私のデザインしたのが売り出されるって」
「え?すごいじゃん」
「涼子ちゃんにも杏のあげるよ」
杏デザインのストッキングをもらった。見ると“An”とロゴが入っていて所々にラインストーンがちりばめられていた。次の日は学校だったので、長居は出来ず家まで送ってもらった。