第12話
車でちょっと行ったところにファミレスはあった。 みんなそれぞれ食べていると杏が何かひらめいたみたいに口を開いた。 「これから杏の部屋みんなで来ない?ねっ?!聡くん来るでしょ?」
「え…あぁ、俺は別にいいけど」
「涼子もくるでしょ?」
「あ、うん…」
杏の勢いに押されてついうなずいてしまった。 杏とジョンはもういく気満々で二人にひっぱられながら杏の家に向かった。部屋に入って私と聡くんはソファに腰掛けていた。 杏とジョンは…相変わらずキッチンでイチャイチャしている。そんな二人に呆れて俯いていると聡くんが声をかけてくれた。 「気分でも悪い?」
「いえ、そんな事ないですよ。」
「そう。それよりさぁ敬語使わなくていいよ。」
「あ、はい。」
すると杏がお菓子とお酒を持ってきた。 「このお酒ねぇジョンのママが作ったんだよ」
そう言いながらジョンと二人で飲みながら盛り上がっていた。 私も勧められたが気乗りしないので断った。 聡くんも飲んでないみたい
「聡くんは飲まないんですか?」
「うん。車だからさ。敬語使ってんじゃん」
「あっ、ごめんなさい」
「いいよ。そのうち慣れてくれれば。それよりさぁ、外で話さない?」
「え?」 「あの二人もう酔っ払ってるし、涼子ちゃんの事もっと知りたいし」
「いいよ。」
盛り上がっている二人を置いて外に出た。聡くんと並んで段差にすわった。 「涼子ちゃんさぁ俺のこと嫌い?」
「え?何んですか急に…」
「いや、最初会ったときに迷惑そうな顔してたから」
「あの時は、苦手なタイプだと思ってたけど今日会って見直した。」
「そっか。よかった。……それでさぁ、もし嫌じゃなかったら俺と付き合ってくれない?」
「え…でも聡くんの事あんまり知らないし」「これからお互いを知って俺のこと好きになってほしい。」
聡くんからの急な話に戸惑った。けど今日話して、バスケしてる姿見て好印象を持ったのは確か。 「やっぱ嫌だよな…」
「そんなことないよ。好きになるのはこれからでいいの?」
「うん。絶対、俺に惚れさせるよ!」
「なにその自信?!」
「なんでだろ?でもさぁ、ほんとありがとう」
聡くんの目がすごく優しかった。
「部屋もどろっか」わけもわからず部屋にもどると中には例のバカップルがかなり二人の世界で入るのが気まずかった。 「部屋入りにくいね…」
「…だな。じゃあ俺の部屋来る?」
「え?」
「そんな驚かなくても…。まぁなんもしないから安心しなよ。」
「余計あやしいんですけどぉ。」
「大事な涼子ちゃんに何かあったら大変じゃん」
「へぇ〜」 正直嬉しかった。でも照れ隠しでそっけなく返事した
「あぁ!…疑ってるんだろぉ?」
「そんなことないけど」
「じゃあ行こうぜ」
「…うん」
バレてなかったか心配だったけど…まぁいいか。 再び車に乗り走りだした。