嘘に嘘というスパイスを
嘘をついていると思わない人が、実は嘘をついている。そういうことがあなたにもあるかもしれません。
事件発生日 2026/6/7
「おはようございまーす」
「おはよー、田山、事件が起きた。殺人事件だぞ、早く支度して現場行くぞ」
「はいはい、、、所長、人使い荒いですよ!」
「ブツブツ言ってないで、早くしないと、他のヤツらに先越されるぞ」先輩がスーツを着て、外へ向かった。
「ちょっと待ってくださいって」先輩に続いて、僕も急いで、ついて行った。今日の先輩は少し急いでいるように見えた。
「あのなあ、田山、今回の事件は一気に飛躍できるかもしれないんだ。お前、上を目指したいって言ってただろ?今回はそのチャンスなんだよ」
「先輩、、、ありがとうございます!」僕は嬉しくて大きな声で敬礼をした。
「早く、そんなことしてる暇はないから、助手席に乗って、行くぞ」
僕と先輩は事件現場の山奥へと向かった。
「おはよう、おはよう、被害者の身元は?」
「近くに落ちていた免許証から、被害者は39歳女性会社員、上井夏鈴。家族に聞いたところ、数日前から家に帰っておらず、連絡がなかったので、生活安全課にすでに行方不明届を出していたそうです。」現場にいた捜査官が先輩に詳細を教えていた。
「そうか、、、」先輩が被害者に手を合わせていた。僕も合わせて隣で手を合わせた。
「ホトケの身辺で金銭トラブルなどはあったか?」
「それが、数日前にホトケの口座から大金が引き出されているんです。銀行の防犯カメラを調べたら、本人が引き出していました」
「そうか、本人が引き出したのか、、、」
所長が難しい顔で何かを考えていた。僕は現場周辺の鑑識の人に証拠品を見せてもらった。腕時計、免許証、、、財布、お金は入っているから強盗殺人ではないのか。でも数日前に大金を引き出しているのにそれはどこに消えたんだ?まあ自宅にでも保管してあるんだろう。あと他の証拠品は、、、ん?手帳か。
「すみません、鑑識さんー。この手帳の中身って何か書かれていました?」鑑識に聞いてみることにした。
「ああ、その手帳ですか、まだ内容は確認しておりません、今確認しますか?」
「そうしてください」鑑識に中身を見せてもらおう。
「どうぞ、こちらです」鑑識が丁寧に手袋と手帳を渡してくれた。
うーん、、、特に何の変哲もない日記みたいだが、、、あれ?ここだけ引きちぎられている、まあいい、、、昨日の日付がついているページがある、、、どれどれ『9/12 明日はいよいよだ。』明日はいよいよだ?今日なにかする予定だったのか、、、他の証拠品を見せてもらおう。
「おーい!田山!聞き込みに行くぞ!」
「はい!」
その後近所の住民になにか不審な人物を目撃していないか聞いていった。
「不審な人物はいませんでしたね、、、」僕は悲しそうに先輩に言った。
「ああ、そうだな、鈍器による殺害だそうだ」
「先輩、死亡推定時刻はいつなんですか?」僕は気になっていたことを先輩に聞いた。
「お前、いい加減ちゃんと話を聞けよ、被害者の情報を知るのが大切なんだから、被害者は、39歳女性、職業は会社員、流石にこれは聞いてたよな?」
「はい!」僕は元気よく返事をした。
「死因は、鈍器による撲殺。死亡推定時刻は、昨夜9時2分だ。その時間帯のことをもう少し詳しく近隣住民に聞かないとな。それじゃあ、行くぞ」先輩が小走りになって住民たちに被害者の死亡推定時刻の時間帯のことを聞きに行った。
「現場の近くに監視カメラはないんですか?」僕は気になって先輩に聞いた。
「あるけど、企業の監視カメラで、連休の真っ最中だから申請が受理されるまで少し待たなければならない」
「そういえば、、、被害者の名前って上井夏鈴って言いましたよね?」僕はあることを思い出し、先輩に確認した。
「ああ、そうだが?」
「上井って、、、もしかして」
「ああ、そうだ。俺等の同僚にいる、上井勇太の娘さんだ。だから、今回勇太は捜査には参加できないことになっている」
「なら頑張って犯人を見つけないとですね」僕はやる気が出てきた。同僚の娘さんを殺した犯人を必ず見つけ出すんだ。
その後聞き込みを終わらせ、いざ戻ろうとしたとき、先輩のスマホから着信音が聞こえてきた。
「ええ、はい、はい、わかりました。田山、急いで局に戻るぞ!」先輩が慌てた様子で車に乗り込んだ。
「ど、どうしたんですか?」
「企業さんの監視カメラの映像が鑑識の方に届いて、映像を解析したら、今、指名手配中の村西泰斗らしき人物が写っていたそうだ。そして、何より大切なのは被害者の上井夏鈴が村西に何かを渡していたのだ。その後の映像は監視カメラが何故か作動しておらず、映像が途切れていたそうだ」監視カメラが作動していなかった、、、誰かの仕業か、、、
「村西の罪状はなにか覚えているか?」先輩が車を運転しながら聞いてきた。
「えーっと、違法ドラッグの所持及びに使用でしたよね?」
「ああ、そのとおり、だから、今回の事件は」
「被害者側も違法ドラッグを使用していた可能性があるということですか?」僕は思いついた答えを言ってみた。
「そうだ。被害者は村西と何らかの接点があり、違法ドラッグの取引をしている可能性があるんだよ」先輩が言った。
「本部についたらとりあえず静かに座っていろ、俺が報告をする、お前はとりあえず鑑識課に行って、色々と資料を集めたりしてこい」
「はい。先輩もその後来ますか?」
「いや、噂は聞いてるだろ?俺は鑑識の連中が苦手、嫌いなんだよ、、、だから、お前が行ってくれ、、、いいか?」先輩が深刻な顔で言った。
「わかりました、噂は本当なんですね」僕は少し驚きながら言った。
僕は先輩の鑑識嫌いを不思議に思いながら鑑識課へ向かった。鑑識課に到着し、馴染みのある鑑識官に会いに行った。
「原さーん、田山です。39歳女性会社員殺害事件の証拠品と資料を見に来ました!」
「ん?あー!田山!久しぶりだな、、、鑑識課嫌いな先輩はやっぱり来てないのか!あははは!」原さんはいつも陽気な人だ。原さんは女性鑑識官の中でも実績が多いそうだから、こんな人と友達になれて光栄だなあ。
「原さん、なにか興味深いことがあったんですか?」僕は本題に入った。
「この被害者、最初は鈍器での撲殺かと思われたんだけど、現場近くを調べていたら、何かの薬品が入っていたカプセルが落ちていたんだよ、そのカプセル、何が入っていたと思う?」原さんは僕に聞いてきた。
「何かの毒物ですか?まさか、、、被害者の死因は鈍器によるものではなく、毒物による毒殺だというのですか!?」僕は驚いた。
「カプセルに僅かに薬品が残っていたから、科捜研に調べてもらったら、シアン化カリウム、よく言う青酸カリという事が判明した」
「青酸カリの効き目が出てくるまでどれくらいなんですか?」
「致死量以上を摂取して、適切な処置を行わなかった場合は、15分以内には死亡するよ。だが、被害者の死亡推定時刻の15分前の映像を確認してみたが、被害者はまだ現場に来ていない、つまり」
「被害者は指定手配犯ではなく、別の人間に毒によって殺害されたってことですか?」僕は思いついたことを聞いてみた。
「おそらくな、だけど、自殺のセンもある。それで、死亡推定時刻から逆算して、青酸カリを摂取した時刻を割り出した。夜の8時47分くらいだ。その時間帯の被害者の自宅周辺と、現場付近の監視カメラを今から調べるところなんだが、手伝ってくれないか?」原さんが上目遣いで言ってきた。
「わ、わかりましたよ、、、どれを見たらいいんですか?」僕はしぶしぶ原さんの言う事を聞いた。
「動体視力がいい田山なら、5本の動画を短時間で見るのはそんなに苦痛でもないよね?元、」
「それ以上は言わないでいいよ、原さん。今すぐ取り掛かるから、いい?絶対に、誰にも、言わないでくださいよ」僕は危うく原さんに”あの”事をバラされるところだった。
「はいはい、じゃあこの5本の映像、頼んだよー」原さんがのんきに笑いながら何処かへ行った。
いくら元の職業が”あれ”だったとしても、流石に無理があるんだよなあ、、、5本も見なきゃいけないのか、、、めんどくさいや。まあ、犯人逮捕のためだ。まず1本目の動画、、、早速被害者映ってるじゃねえか。拡大、、、これか。原さんに言おう。
「原さーん!ちょっと来てください!」原さんを呼んだが、返事はなかった。
「あ、田山さん、原さんならさっき現場を再確認すると言って出ていきましたよ」他の鑑識官が教えてくれた。
「あ、ありがとうございます」ひとまず、続けて映像を確認するか、、、この時間帯と、ここと、ここ。
それから軽く1時間程度かけて5本の映像をすべて確認して被害者が映っている時間帯をメモに書いた。今までに写っている被害者の様子を見ると自殺するような雰囲気ではなかった。やはりこれは誰かによる犯行だろう。僕は自分の中ですべての映像に映っていた被害者の行動を整理し、自分なりの推測をしてみた。
1.まず午後8時47分、被害者がカフェから出るところが監視カメラに映る
2.午後8時55分、被害者がタクシーに乗車
3.午後9時ちょうどに事件現場へ向かうタクシーが監視カメラに映った。これが被害者が監視カメラに最後に映ったときだ。この時間帯以前の監視カメラが必要だな、、、今から貰いに行くか、、、。
「田山ー!帰ってきたぞー!なにか進展はあったー?」原さんがこっちの苦労も知らずにスキップしながら帰ってきた。
「原さん!被害者は事件発生前に何者かとカフェで接触しています。おそらくその人物が被害者に毒を飲ませたのでしょう。それで、これらの映像よりもう少し前の時間帯の映像が欲しいので、今からもらってきます」
「田山、その必要はない、、、私がもらってきたぞ!」原さんが映像ファイルを見せてきた。原さんを一瞬責めてしまった。まあ、言わないでいいか。
「原さん!ナイスです!今から確認しましょう!」
「おっ、いいねえ。ということは、自殺のセンは消えたな!私も一緒に確認をしよう」原さんが隣に座ってきた。
「まず、そのカフェが映っている交差点の監視カメラ映像だ。これか?被害者は」原さんがカフェに入っていく人影を指さした。
「はい。被害者の服装と一致します」僕は映像に映っている被害者の行動を詳しく観察した。
「あたりを見回すことなく普通にカフェに入っていったな、、、あ!カフェと言えば、カフェの店内の映像も、入手しといたぞ!」原さんがもう一枚監視カメラの映像ファイルを見せてきた。
「仕事が早いですね、というか、令状はちゃんと持っていったんですか?」
「も、もちろん申請して持っていったよ!そ、そんなことは置いといて、早く映像を確認しよう!」原さんが慌てて話を変えた。
「原さーん?もしかしてまた警察関係者だ。事件の捜査へのご協力をお願いします。まず監視カメラの映像を見せてください。とかなんとか言ってゴリ押ししたんじゃないんですか?」僕は原さんの顔を覗き込んだ。
「カフェの映像だけだよ、、、ね?上には言わないでね?」原さんがまた得意の上目遣いを放ってきた。
「まあ、今回だけですよ、、、早く映像を確認しましょう」僕は上目遣いを無視してモニターを向いた。
これらの情報は後で推理組のメンバーに送っとこう。
「なあ田山ぁ、今推理組のメンバーに情報共有しようとしただろ?情報共有はいいけど、そのかわりに、私の監視カメラのあのことは黙っていてくれ!頼む!」原さんが頭を下げてきた。
「い、いや、、、それはちょっと」僕は断ろうとした。
「田山。お前の元の職業バラすぞ。いいのか?」原さんの態度が急に変わった。
「原さん、、、それは原さん自身のこともバレるんじゃないんですか?あと、もとの職業がバレても、さほど僕にはダメージはありませんよ」
「うっ、、、そうだった、、、」原さんはようやく自分の弱点に気づいた。
「そもそも、もとの職業が僕達は同じなんですから、気づくの遅いですよ。あんなに凄腕だったのに」僕は皮肉を込めて言った。
「ねえねえ、原さんの何が凄腕なのー?」他の鑑識官が急に割り込んできた。
「鑑識官としての腕前がだよ」僕は適当に流しといた。
「そりゃあね!私達鑑識課の自慢の娘だからね!娘は誰にもやらん!」
「いつから私のお父さんになったんだよお前は」原さんが割り込んできた鑑識官にツッコんだ。
「へいへーい、そんじゃ仕事頑張ってー」鑑識官がようやく帰っていった。
「あっぶねー、、、原さん!声がでかい!」僕は原さんに向かって言った。
「そういう田山だって!一応私も推理組のメンバーだからね!」原さんが急に話を変えた。
「え、急に何?話変えた、、、まあ、メンバーっちゃ、メンバーですけど、それだったら自分の入っているグループを自分から潰しに行くような事をしようとしてましたよね?」僕は笑いながら原さんを見た。
「な、なんのことかなー?早く映像を見ないと!」原さんが目をキョロキョロさせてモニターに顔を向けた。
「じゃあまずカフェの店内映像を再生します。なにか見つけたら言ってくださいね」僕はパソコンを操作してモニターに被害者がおそらく毒を飲まされたカフェの店内映像を映し出した。被害者がカフェに入る前の時間帯からとりあえず再生した。
「そこまでカフェは繁盛してないね」
「それはどうでもいいです。映像を見るのに集中してください。お互い動体視力がいいんですから」僕は被害者がカフェに入るまで少し早送りした。
「ん?」僕は誰かがカフェに入ったところで一旦映像を止めた。
「おっ、、、被害者ではないけど、怪しいねえ」原さんもこの人物に気がついていたみたいだ。
「一旦この人をマークしよう、映像を続けて」
「はい」僕は原さんの言う通り映像をまた再生した。
「ちょっと止めて。ここ。さっきの人物が座っていた席に、被害者が座ったわ」原さんがカフェの一つの席を指差した。被害者が怪しい人物と同じ席に座っていた。
「こいつの顔は、、、くそ、見えないな、、、」
「原さん。科捜研に映像から人物の身長などを割り出すシステムみたいなのありませんでしたっけ?」僕は科捜研にあるシステムのことを思い出した。
「ああ、あれか!それじゃあ、推理組のメンバーの、、、松本だっけ?科捜研の人の、その人に頼んだら?」原さんは推理組のメンバーの一人、松本海の名前を出してきた。
「海か、ちょっと連絡してみる。待っててください」僕は電話を取り席を離れた。その間に誰かが何かを削除していたが。それに気づくのが少々遅かった。
「田山ー!どうだった?」原さんがこちらを向かずに聞いてきた。
「今からやってくれるってよ、後でたっぷりとお礼しないといけませんよ」僕は原さんに言った。「あと、原さん。原さんは推理組では新人ですから、わかってくださいよ?」
「はい!リーダー!こんな感じでいい?」原さんがわざとらしく態度を変えてきた。「そもそも、今は推理組としてじゃなくて、鑑識官と刑事という関係なんだから、別にいいでしょ?喋ってばかりじゃないで早く映像の確認を続けるよー」
「いや今さっき一番喋っていたのは原さんじゃないですか」
「ちょっと、これ、ここ!ここ見て!被害者と同じ席のやつが被害者になにかが入った袋を渡してる。もしかして、これが」原さんがモニターの左下の被害者が映っている場所を指さした。
「拡大して解像度上げられないんですか?」僕は原さんに聞いてみた。「この袋に入っているものがわかれば捜査は進むんですけどね、、、できません?」僕は原さんの上目遣いを使ってみた。
「え、何その上目遣い、田山らしくないよ」原さんが驚いた顔で言った。
「原さん、、、いつもこんな感じで頼み事してきてるの、気づいていないんですか?」
「えー、わかんないなー」原さんが目線をそらした。「まあ、解像度はある程度上げられると思うよ。試してみようか」原さんが袋が映っている部分を拡大し、解像度を上げた。
「どうよ!褒めなさい!」
「はいはい、すごいすごい」僕は適当に原さんを”褒めて”おいた。
「ここのラベルみたいなやつになんて書いてるかわかる?」原さんが袋の真ん中のラベルの文字を指差した。
「シアン化カリウム(青酸カリ)、、、やはりこの監視カメラに映っている人物が被害者に毒を飲ませたんだな。でも被害者は青酸カリを受け取っている、なんでなんだ?」僕は自分の中でいろいろな推理を始めた。
「田山、相変わらずお前のその推理力に感心するよ。気づいたら自分の世界に入ってるんだから、それで手柄を取れていないのがねえ」
「そこは別にいいでしょ、毎回先輩が先に解決しちゃうんだから」僕は先輩のことを思い浮かべた。
「あれも刑事の勘が強いのかなあ?」
「あれってなんですかあれって、先輩に失礼ですよ」
「別にいいでしょ、同期なんだから」
「とりあえず、推理ができている時点ではいいんですよ、あとは手柄さえ立てるだけ。まずは犯人を割り出すことだな、科捜研行ってくる、じゃあ、さようなら」僕は原さんを置いて科捜研へ向かおうとした。
「田山ぁ」原さんが突然僕のことを呼び止めた。
「どうしました?」
「自分の推理はあまり簡単に他の人に話さないほうがいいぞ、推理はできたか?って聞かれても最近推理ができていないと答えるんだ。いいか?」原さんが深刻そうな顔で言った。
「なんでですか?原さん」
「誰かがお前の推理を聞いて手柄を取っている。気をつけろ。もう行っていいぞー」原さんはそれだけ言って僕を帰らせた。
「さようならー」僕は原さんが言っていたことが少し気になりながらも言われた通りとりあえず帰った。
鑑識課で得た情報を報告しに一旦署に戻ることにし、ちょうど今その道の途中だ。僕は早く署につきたいと思っていた。なんでかって?今、誰かに尾行されている最中なんだ。尾行してる奴の身長は約170cm前後、性別はここからわからないな、武器を持っているかどうかがわからないからむやみに動いたらだめだな、、、定番の電話をしているフリでもしよう。電話を手に取ろうとしたとき、ちょうどよく電話がかかってきた。先輩からだった・
「あ、もしもし、先輩?今戻っている途中です。はい、はい、ご飯作って待っててください。はい、じゃあ」僕はそれだけ言って電話を耳から離して電話を切ったフリをした。もう相手は諦めて帰っただろう。そう思い後ろを向いた。
「田山刑事。こんばんは」向いた先にはさっきまで僕を尾行していた人が立っていた。
「こんばんは、、、どちら様ですか?」僕はなるべく相手を刺激しないように低姿勢で話しかけてみた。
「僕ですよ、僕。村西ですよ。わからない?」相手は顔を上げ、問いかけてきた。相手は指名手配犯の村西泰斗だった。
「ありゃりゃ、なんでここに」
「田山さん、一つ言っておきますけど、僕は何もしていませんよ、もうあれからクスリもやってませんし、まあ、ムショ入って反省はしてませんけどね。あと、今回殺されてた、原さん?僕は頼まれてやっただけで、殴る前にとっくに死んでましたよ。本当に」
「村西、残念だったな。お前は僕についてきた。だが俺の行き先は警察がたくさんいる場所だ。それと後ろには何人もの刑事がもういるよ」僕はそう言って村西の後ろを指差した。
「なにを言ってるんですか?さっきのあの短時間の電話で警察の応援を呼べると思ってるんですか?」村西は余裕ぶった顔で言った。
「村西、短時間の電話?何を言ってるんだ?さっきから電話はつながったままだよ」僕はそう言い、電話の通話画面を見せた。
「なっ!?」村西は焦った様子で後ろを振り向いた。そこには数人の捜査員がすでに居た。
「どう?驚いたか?」僕は村西にドヤ顔で言った。
「田山刑事、、、こんなので事件は解決しませんよ。本当の犯人が、まだ野放しなんですから?」
「おい、大人しくしていろ!うわっ!?」捜査員が村西に手錠をかけようとしたとき、バン、という乾いた銃声が突如鳴り響いた。
「おい!お前!大丈夫か!?おい!村西!」捜査員が銃声を聞いて、村西に銃弾が命中したことに気づいたときには、村西はもう地面に倒れていた。大量の血を流して。
「早く!救急車!早く呼べぇ!それと!残りのヤツらはあそこのビルを調べろ!あそこから銃が撃たれたぞ!早くしろ!」
「はい!」捜査員たちが急いでビルの屋上へと向かった。今日は少しの収穫があって、指名手配犯も逮捕できる良い日と思っていたが、最後に最悪な日になった。
事件発生から1目
「敬礼!着席!先日!山奥での女性殺害事件があった!現場付近の監視カメラ映像に、被害者が指名手配犯の村西泰斗らしき人物が被害者と接触しているのが確認された!そして検死の結果によると、事件発生当初、撲殺と思われていた被害者は!シアン化カリウム、俗に言う青酸カリによる毒殺だったことが判明した!それを聞いて被害者が毒物を摂取したおよその時間を割り出し、被害者宅付近の監視カメラを確認してもらったところ、カフェで何者かと接触していて、その時に毒物を摂取したと思われる!昨晩、捜査員が署へ向かう道中、村西に出会い、捜査員が逮捕へ向かい、逮捕寸前のところで、何者かによって射殺された!女性殺害事件と!指名手配犯、村西泰斗殺害事件の捜査本部を今日設置する!必ず!犯人を暴き出せ!」
「はい!」捜査員たちが各自捜査へ出発した。僕は昨夜村西を撃ったやつの事を調べるグループに振り分けられた。
「おーい、みんな!くまなく探すんだ!犯人がなにか証拠を残しているかもしれない!銃弾でもなんでもいいから!見つけたら直ちに報告をするんだ!」捜査員たちは昨日犯人が居たビルを隅々まで調べていた。なにか有力な証拠はないかと。
「あのー、これって僕が言うことじゃないと思うんですけど、いいですか?確証はないんですが」
「なんだ?まあいいぞ」隊長が優しく言ってくれた。
「おそらく凶器は、スプリングフィールドM1903小銃、いわば狙撃銃だと思います」僕はとりあえず昨日のあの状況から推定した凶器のことを言ってみた。
「狙撃銃か、、、うむ、距離からしてそれはありえるのか?」
「ここから現場まで約100m、スプリングフィールドM1903小銃の射程距離内に入ります。そして使用されている銃弾もこの狙撃銃に使用されるものなので、可能性は高いと思います」僕はとりあえず言い過ぎないように言った。
「なるほど、それを撃ったときになにか残ることはあるか?」
「なにかは残ると思いますが、このような狙撃銃を使用する犯人なら証拠は残さないでしょう、このビルに防犯カメラはありますか?」
「今他のヤツらが管理者に問い合わせて映像を確認しに行っている、お前も見に行くか?えーっと、田山か!良し!田山!ここの調査が一段落したら映像を確認しに行こう」
「はい!隊長!」僕は元気よく返事をしていい印象を持ってもらおうとした。
「隊長とか堅苦しいこと言うな、同い年なんだから、田島でいいよ!な?」この隊長はよっぽどフレンドリーということがわかった。
「わ、わかりました!た、田島さん!」やっぱり呼び捨てで呼ぶのは少し怖かったのでさん付けで呼んだ。
「おいおーい、さん付けはちょっとさみしいぞー、、、まあ、慣れたらさん付けはやめてな!」
「はい!」
「それともう一つ」田島さんが声色を変えて言ってきた。
「なんですか?」
「田山ぁ、お前、アメリカに居たことはあるか?1ヶ月以上」突然そんな事を聞いてきた。
「え、まあ、警察になる前はアメリカに住んでいましたよ」
「毒蛇って知ってるか?」
「マムシとかですか?それなら」
「違う。」田島さんは僕の肩に手を載せて逃げられないようにして顔を覗き込んできて言った。
「え、じゃあなんですか?」僕はものすごい嫌な予感を感じていた。
「毒蛇だけじゃ言ってくれないか、、、簡単に言おう。VSって知ってるか?戦うやつじゃなくて」
「、、、」僕の嫌な予感は見事的中してしまった。
「ああ、これだけじゃわからないかな?正式名称を教えてやろう、Venomous Snake、毒蛇って意味だよ、知ってた?前ね、アメリカに表には出ていない凄腕の狙撃手と毒の扱いに慣れてるヤツらのグループがあったんだよねー、そのグループの通称が、VS、毒蛇なんだよ、戦うって意味と、毒蛇という意味を兼ね備えたいい名前だろ?それがある日突然姿を消したんだよ、、、色んな国からのメンバーが居たんだけど、施設だけ残してみーんな消えちゃったんだよ。それで」
「何が言いたいんですか?田島さん」僕はわかっているけど逃げるために聞いた。
「お前。居たよな?毒蛇。SAP、サップに。なんの略かわかる?これはね」
「スナイプアンドポイズン。狙撃と毒。アメリカの特殊精鋭部隊」僕は隠す必要もないと思い答えた。
「おー、ご名答」
「じゃあ田島さん。SOA。ソーアってわかりますよね?スパイオブアメリカ。田島って名前は偽名。本名は樋口紅優。アメリカのスパイですよね?諜報員。何しに来たんですか?」
「なっ!?なんでそれを」田島、いや、樋口は慌てていた。自分の正体がバレるとは予想していなかったのだろう。
「樋口。君は僕の職場にこっそり来ていたじゃないですか?その時の名前は、松岡光という名前で入ってきましたよね?覚えてますよ、僕以外の人たちは普通のメンバーかと思っていましたけど、情報を外に流されて解散を余儀なくされた時、君だけ無表情だった。それだけでわかるよ、君が諜報員だって。バレバレ」
「とりあえず、日本では田島と呼んでくれ、害は及ぼさない。そしてだ」
「今回の事件にサップの元メンバーが関わっていると思うんだ。でしょ?」僕はお得意のドヤ顔を披露した。
「ああ、そうだ」樋口は苦笑いをしていた。
「それともう一つ、僕達以外に何人かサップの元メンバーが居るよ。僕がまとめている」
「へえ、、、ソーアは俺だけか。まあこれから協力していこうぜ!」樋口が拳を差し出してきた。
「こちらこそ」僕はとりあえず拳タッチ?に応じた。ちなみに、僕以外のサップのメンバーは、鑑識課の原さん、科捜研の松本海。ここまで言ったらわかると思うけど、推理組のメンバーたちが、元サップのメンバーだよ。
「あっ、田山、そういえば名前って、下の名前ってなんていうんだ?」
「優、すぐるって読みます」
「おう、ありがとう。本名?なーんて、防犯カメラ映像がたった今届いたぞ!見に行く、よな?」楽しげな雰囲気で樋口が肩をぶつけてきた。
「はい!もちろん!」
その後樋口が運転している車でビルの管理者のもとへ向かった。まさかバレているとは思わなかったが、ひと目見てなんだか見覚えのある顔だとは思っていたが、近くで見るまで気づかなかったな。僕の部下ってことは確かだけど、、、。
「田山、サップの時、もしかして上司だった?」
「サップのレッスンは難しかったよねえ」僕は話を変えた。樋口はそれを聞いて手でどうした?と聞いてきた。僕は車のナビの下のスペースのところから黒いものを外し、樋口に見せた。見せたあとに、とりあえず、捻り潰した。
「おい。お前。どういう意味だ。」
「俺はなんも知らないぞ」樋口は必死に首を横に振っていた。どうやら嘘ではないようだ。
「ふーん、、、まあ本当だということにしておこう。ついでに、お前の座席の後ろのポケットにもあるぞ。気をつけろ。お前のじゃなければ」僕は笑いながら座席後ろのポケットから盗聴器を取り捻り潰して外に捨てた。
「お前いつの間にそんなに盗聴器を見つけたんだよ?付けた相手はわかるか?」
「どうせ今回の事件の関係者だろ、それこそサップの元メンバーの可能性もある。でも全員は把握できていないから、目星はついていない」
「全員知ってるわけじゃないんだ、他に盗聴器とかカメラとかはないんだね?」樋口が聞いてきた。
「いーや、残念ながらカメラがまだある。お前それに気づかないのは元サップとしてどうかと思うぞ」
「わかったから、どこにあるんだよ」樋口が急かしてきた。
「ここ」僕はカーナビの上においてある人の形の置物の頭部を取り外してカメラを取り出した。 「樋口、本当にお前が設置したんじゃねだろうな?」僕は運転している樋口に向かって聞いた。
「流石に俺じゃないよ」樋口は冷静に返事した。本当に知らないようだ。
「ふーん、犯人さんよ、今もまだ会話聞いてんだろ?覚悟しておけ、元サップをナメるな」僕は犯人が聞こえてると信じて挑発をした。
「おいおい、まだ盗聴器あるのかよ、そんなに挑発してもいいのか?次はお前が殺されるかもしれないぞー」樋口が嫌なことを言った。
バンッ!車が突然音を響かせスピードを落とした。
「樋口、お前何した?」僕は樋口に聞いた。明らかな銃声が鳴った。
「俺は何も、して、ないよ?車が急におかしくなったんだよ!」樋口は相当パニックになっていた。
「ちょっと外を確認してみよう」僕は外に出てタイヤを確認した。やっぱり銃弾が命中してパンクしていた。僕は遠くのビルを見た。屋上に人物がいるのが見えた。僕はそいつを見た。
「おい、田島。どうなってたんだ?」樋口が窓を開け、聞いてきた。
「おそらく犯人に銃で穴を開けられた」
「まじか、、、修理店に行っても銃弾があったらややこしくなるだろうし、応援呼ぶか」樋口が応援を呼んでくれた。その間僕は車内でサップに居たときの事を思い出していた。
5年前
「原さん。こちらが本日入ってくる新人のリストです」俺はサップの幹部、原真依さんの秘書だった。
「ああ、ありがとう。6人か、、、サップも人数が減ってきたなあ」原さんがそんな事を言い、ため息をついた。
「田山さん!幹部!」メンバーの一人が慌てて幹部室に入ってきた。
「おまえ、幹部室に入るときはノックしろって」僕は注意した。
「メンバーの中にソーアの連中がいました!おそらくサップの情報を抜き取られてると思います!今拘束しています!どうしますか?」
「樋口かな?」
「え、ああ、そうです!なんでわかったんですか?」
「俺が教育係だったからな、行動は把握している。だいぶ前から見当はついていた。直ちに処分するぞ」
「はい!」
俺はメンバーと一緒に拘束されている樋口のところへ行った。だが、樋口がいる場所へ着いたときには、メンバーが何人か殺されて、逃げられていた。
「へえ、逃げたか、クソが。」俺は床に落ちていた樋口の身分証明証と履歴書を手に取った。それをポケットに突っ込んだ。
「田山!ソーアの連中がポリ連れて来たぞ!退散だ!」原さんが松本とその他メンバーを連れて来た。
「みんな!何が何でも逃げ切るぞ!そして!ソーアの連中を、根絶やしにするぞ。」俺はそう言ってみんなと一緒に地下通路から逃げ、一切のサップに関する資料を残さずに、アメリカから消えた。その何日かあとにアメリカで大きな話題となるニュースが報道された。
『依頼を受けて、毒や狙撃で標的を殺害する裏のグループ、SAP、スナイプアンドポイズンの拠点が摘発されました。残念ながら警察が通報を受け拠点へ駆けつけたときにはサップに関する情報や資料は一切残っておらず。「ソーアと警察への復讐心を絶やさずに」と壁に描かれていたそうです。警察はサップのメンバーの行方を捜索しているとのことです。ですがメンバーの名前はすべて偽名だったと思われ、捜索は困難に思われます。』このニュースが報道された途端、サップを探せ!というチラシなどが各地で配られた。しかし情報は一切ない、顔写真も、名前も、一切ないのに、誰も見つけられるわけがない。
『ソーアと警察への復讐心を絶やさずに』
現在
「田山さん!田島さん!大丈夫ですか!」応援要請を受けた他の捜査員が駆けつけてくれた。
「ああ、大丈夫だ!この通り、俺も田山もピンピンだぜ!車の前輪が何者かによって撃ち抜かれたんだよ、、、銃弾は残っているか?」樋口が捜査員に詳細を教えた。
「いえ、、、銃弾は残っていません。タイヤを貫通して、、、うーん、、、うわあ、田島さん、銃弾、アスファルトに埋まっちゃってますよ、どうします?掘り起こしますか?」
「いや、住民の妨げになるから、やめておこう。とりあえず今日は撤退だ」
「はい!レッカー車をこっちに移動させるので少々お待ちください」捜査員たちがレッカー車へと向かった。
「オーライ、オーライ、もうちょい、もうちょい、ちょちょちょちょ、おっけー、サイドブレーキかけといて」捜査員たちが車とレッカー車をつなげた。すると、パリン!という何かが割れる音がした。
「あああああああ!ちょっと来てください!」捜査員が叫び声を上げ、みんなを呼んだ。「早く!」
「わかったわかった。どうし、た、んだ?え、、、?」樋口と僕ともう一人の捜査員がレッカー車の運転席の外へと行った。運転席の横の窓ガラスはすでに割れており、運転席に乗っていた捜査員の腕に矢が刺さっていた。矢じりには紙が刺さっていた。
『ソーアと警察への復讐心を絶やさずに マムシより』と紙には書かれていた。
「なっ、これは、、、おい!お前!大丈夫か!?」樋口がドアを開け捜査員の腕からゆっくりと矢を引き抜こうとした。少し抜けるたびに、捜査員の腕から血が溢れ出た。
「あ、、、あ、、、ああ、あああああああああ!があああ、、、う、、、腕が、、、」捜査員は痛みで叫びながら徐々に弱っていった。
「おい!救急車を呼べ!急ぎだ!」樋口はもう一人の捜査員に救急車を呼ばせた。
「は、はい!」僕はその光景を見て、冷静を保った。そして、樋口が矢じりから剥がした紙を拾い上げ、保存用の袋に入れた。マムシ、、、懐かしいな。
僕はその後一旦署に戻り、色々と報告をして、矢じりに刺さっていた紙と矢そのものを上司に渡した。矢が刺さった捜査員はその後出血多量で死亡した。そしてもう一つの死因が、毒だった。あの矢の先端には毒が塗られていた。サップでよくやっていた方法だ。そんな事を考えながら、僕は鑑識課へ向かった。
「原さん。田島丹わかりますか?」僕は原さんに田島のことを知っているか聞いてみた。
「うーん、、、あ、村西泰斗が狙撃されて死んだから狙撃手がいたビルの捜査に行ったグループの隊長だっけ?」原さんがスラスラと樋口に関する情報を言った。
「田山、その田島だっけ?そいつ、樋口だろ。あの時に情報をポリ共にバラしてサップを潰した。あの樋口だろ?ふん、知ってるに決まってるだろ?第一、それを」
「原さーん!田山さーん!」話の途中でまたあの鑑識課の若い子が割り込んできた。
「んー?なにー?」原さんはいつものように可愛く振る舞っていた。
「原さんと田山さんって、付き合ってるんですか?あ、もちろん恋愛の方で!」突然そんな事を言ってきた。
「いや、無理無理」
「無理無理」僕と原さんは同時に無理と言った。
「あっははは!二人とも嫌がってるの面白いー」そう言いながらその子はしれっと戻っていった。
「なんていうことを聞くのだ。急に割り込んできて、話聞かれてないだろうな、、、」
「それなんだよな、、、」
「おい、田山。上司には敬語を使え」原さんが突然言った。
「原さん、今はもう幹部と秘書じゃないんですから、今は、同年代の違う課の友達。という設定ですよ?」僕はそう言いながら原さんの顔を見た。
「もちろん。目的は覚えているか?」
「はい。僕達は」
事件発生から2日
次の日、死亡した捜査員の葬式が開かれた。僕も出席した。周りのみんなが泣いている中で、僕だけが泣いていなかった。仕方がない、小さい時から泣いたことはない。生まれたときの産声くらいだろう。とりあえず、ハンカチを目に当てて泣いてるように見せた。そのお陰で長い葬式を乗り越えられた。
「みんな!亡くなった同志のために!全力で!必ず犯人を逮捕するぞ!」
「はい!」捜査員たちは死亡した人数が増えるたびに本気を出してくる、最初から本気を出しとけばいいのに。そんな事を考えながら、僕は樋口について行った。
「おお、田山か、、、お前みたいにびくとも動じない心が欲しいよ」樋口が突然そんな事を言ってきた。まあ無理はないだろう。
「樋口。そんなもん欲しがるんじゃない。仕事しか脳内にないんだから。何も楽しくないぞ」
「そう、か、とりあえず、犯人を見つけようぜ!」
「おう!ん?お前なんか落としたぞ、服から落ちたぞ」樋口の服から紙切れが落ちてきた。
「おいおい、、、まさかマムシよりとかじゃないよな?」樋口が笑いながら紙切れを拾った。
「えーっと、、、ちっ、、、ソーアと警察への復讐心を絶やさずに キングコブラより、、、マムシじゃなくて別の毒蛇野郎が参入かよ、、、明らかに元サップの連中だろ、、、キングコブラやマムシって名前のメンバーいたか?」
「サップにいたことあるんだから覚えてるだろ?メンバーの一人ひとりにニックネームで毒蛇の名前をつけていた。何百人もいたんだぞ、全部覚えられるわけがない、お前は、えーっと」
「ハブだよ、ちょっと忘れるなよー」樋口が笑いながら肩を叩いてきた。
「あー、そうだったな。っ!?樋口、ちょっとごめん!」
「え?ちょ、ど」僕は咄嗟に樋口の頭を押さえつけ、拳銃で向こう側に向かって撃った。そこにはこちらを狙っている狙撃手が居た。
「田山!お前ちょっと何してるんだよー、急に拳銃撃つなよ、、、誰か居たのか?」
「ああ、サップのメンバーだろうが、、、明らかにサップの精神に反している、、、まだまだ経験の浅いやつだ。そんなやつが警察官を狙撃するなんて、、、誰がやらせた、、、」
「サップの精神?」
「戦うときは相手に気づかれず、ためらわずに息の根を止めろ、だよ、、、だけど」
「さっきのやつはサップのメンバーだったにもかかわらず、お前にバレてしまったということか、、、」
「そいつはまだ生きてるのか?」
「急所のギリ横を狙ったから、今から急いでいけば死ぬまでに質問はできると思う、行くぞ!向こう側の河川敷だ!車を出せるか?」
「よし!行くぞ!」僕と樋口は敵の居た方へ向かった。
「おい。お前。元サップだよな?」樋口が敵を尋問していた。
「元?は?お前バカにしてんのか?現役サップのメンバーだよ」敵が衝撃的なことを言った。
「へえ、ねえ君、サップは一回消え去ったことは知ってるかい?」
「もちろんだよ、その後に復活したって聞いたから入ったんだよ!」
「キングコブラ」
「俺等のボスの名前だよ!それがどうした?」
「お前らの、ボスの名前?キングコブラ?ふざっけんじゃねえ、、、いいか?今すぐ、お前らのボスに電話をかけろ、今すぐだ。早くしろ。毒蛇の毒でじわじわ死にたくなければ。早くしろ」
「お前は何様のつもりなんだ!」
「元サップメンバー、幹部の秘書。キングコブラだよ。本物のね?わかる?僕がさっき君を狙撃した銃はなにかわかるかな?」
「狙撃銃に決まってんだろ?バカにしてんのか!」
「黙れ。」僕はこいつに思い切り蹴りを入れた。
「うっ、ぐはぁ!」
「いいか?狙撃銃しか狙撃できねえと思うな、俺は。ただの拳銃を使ったぞ?」
「なにを言って!」
「田山。」
「え、、、田、田山、、、?あの伝説の、、、サップの情報をすべて消して消え去った、、、あの、、、田山、、、?」僕の言ったことがよっぽどすごかったんだろう。口が開いて閉じれなくなってる、、、おもしれえ。
「どうした?お前らのボスに早く電話をしろ。あとでお前は訓練用の的にするから、遺言でもボスに言ってこい」
「は、はい!」すっかり怖気ついた敵はボスにあっさりと連絡した。
『もしもし。お前、何してるんだ?ポリ共はちゃんと殺したか?』電話越しに女性の声が聞こえてきた。
「ボ、ボス!い、今!あの、、、た、田山さんと一緒にいるんです!」
『へえ、、、とりあえず、お前はもうサップをクビだ。』自称キングコングはそう言い残し、電話を切った。
「おい。失敗してんじゃねえよ」
「すみません!すみません!許してください!」ボスにも見捨てられたこいつが足元にすがってきた。
「はあ、顔を上げろ」僕は顔を上げさせた。
「は、はい!、、、え」こいつが何かを言う前に、バンッ!バンッ!と乾いた銃声が2回、虚しく鳴り響いた。
「田山!お前!いくらなんでも殺すのは!」樋口がそんな事を言ってきた。
「樋口、伏せろ。」僕は樋口をまた伏せさせた。樋口の後ろにある立体駐車場をめがけて、拳銃を撃った。
「田山、誰か居たのか?」
「女。狙撃銃を所持。僕がこいつを撃ったあとにもう一発撃ってきたやつだ。あっち側の女がこいつを殺したみたいなもんさ、僕は毎回急所じゃないところを撃って苦しませて情報を聞き出してるからな」
「追いかけなくていいのか?」
「相手の女は腕から血を流しながら逃げる、血痕を追えばいいだけのことだよ」
「なるほど!よし!消されないうちに行こうぜ!」
「そうだな、その前に死体に何か残されていないか探すぞ」
「おう!」
僕はもう死んだ敵の服のポケットを探った。ポケットの中には紙切れが入っていた。
『ソーアと警察への復讐心を絶やさずに ブラックマンバ』今度はブラックマンバ、、、ブラックマンバ、、、男だったよな。確か。
「とりあえず、血痕を辿って、署に戻るぞ」
「おう」
その後向こう側の立体駐車場に居た女の血痕を辿っていた。
「なあ、ここの道って、、、」
「ああ、警察署へ向かっている」血痕は警察署へと向かっていた。警察内部の何者かが事件の犯人だろう、最初の事件の、、、そういえば。上井、、、どうしてるんだ?
「鑑識課の前で血痕が消えたな、、、入るぞ!」
「よし」
「失礼しまぁす。ちょっと皆さん立ってください。腕を上げて。そうそう」鑑識官たちが驚きながらも言う通りに腕を上げてくれた。
「原さん、その傷どうしたんですか?」樋口が原さんの腕の傷に気づき、聞いていた。
「さっき誰かとぶつかったときにやられたんだよねえ、、、」原さんの表情を見たが、この喋り方は嘘ではない。僕は鑑識課の外へ出て、誰か怪しい人物は居ないかを探した。
「あっ!ちょっと!」僕は一人歩き方が怪しい人物を見つけた。すぐに駆け寄って顔を見た。
「おっ、田山。久しぶりだな、上井の事件、犯人見つかったか?」犯人ではなく、先輩だった。なんとしてでも犯人を見つけたい。
「先輩、腕って怪我してますか?」
「怪我?それならさっき捜査中に逃げたやつに怪我させられたが、あれは痛かった、、、」
「そうですか。さようなら」
「じゃあ、またな!」
『ソーアと警察への復讐心を絶やさずに』
突然脳内にそんな言葉が再生された。いや、近くのみんなもスピーカーの方を見ている、本当に放送されている。
「おい!誰だ、勝手に放送室にいるのは!」
「放送室に鍵がかかっていて入れません!」
「くそ、、、応援を」ヒュッ、という音が聞こえた。矢の音だ。応援を呼ぼうとした刑事は頭を矢で貫かれていた。後ろから2、3人がぞろぞろとやってきた。僕は近くのゴミ箱の後ろへ隠れた。
『ここで速報が入りました。警察署内で事件が発生しました。わずか2、3人だけとのことですが、すでに何名もの警察官が死亡しています!みなさん!危険です!家の中に退避しててください!』そんなニュースが瞬く間に日本中に拡散された。僕は殺されなかった。サップのお守りのお陰だな。原さん、松本も生き残っている、ついでに先輩も。樋口は1発撃たれていたが、なんとか大丈夫そうだ。
「田山、、、よかったな、死なずにすんで」
「サップのお守りがあったからな、サップのメンバーは大体生き残ってると思うぞ」
「いいなあ」
「まあ、治るまでちゃんと病院で休んでろ」僕はそう言い、病院から出た。
後日、樋口が病室で殺されたと連絡が入った。
3年前
『テレビの前の皆様、おはようございます。本日は謎の裏組織、サップが摘発されてからちょうど2年目です。摘発され、捜査が始まってからもうすでに2年が経ってしまいました。サップに関する情報は未だ入手できていません。警察は捜査を打ち切る考えを示していました。』
「サップ、、、懐かしいな、、、」テレビがついてる部屋の中で、一人ソファにさみしく座っている人物が居た。
「ソーア、、、ソーアのせいで、、、しかもソーアのほぼほぼ偽の情報を聞いてほいほい来る警察もどうかしてる、、、何?日本の警察は今回の摘発に協力しただぁ?ふざけんじゃねえ、、、『ソーアと警察への復讐心を絶やさずに』そうだ。この言葉を残したじゃないか、、、サップを、、、復活させてみせる。この、私が」人物はソファから立ち上がりチラシのようなものを印刷し始めた。印刷し終わり、人物は家を出て、どこかへ向かった。
「ちょっとあんた。ここは一般人が来るような場所じゃねえ、とっとと帰りな!」
「そんなに怒らないでくださいよぉ、自分の組織に入ってほしいだけですよー」人物は物騒な人達が集まっているバーに来ていた。
「てめえ一般人が何出しゃばっているん、だ、、、え」バーに居た男はおらおらな雰囲気で人物に近寄ったが、人物の手に握られているものを見た瞬間、顔が青ざめて言葉も出なくなっていた。
「ここで、メンバーを探していいかな?」人物は笑顔で男に聞いた。
「ど、どうぞ!」男は人物を通らせた。
「ありがとう」人物の目線から男が消えた瞬間、男は拳銃を取り出し、人物を撃とうとした。
「君。死にたいのかな?」人物は気づけば男の拳銃の銃口の前には居なく、男の真横に立っていた。人物は注射器を取り出し、男の両腕に打った。
「くっ、、、こ、これは?」男は痛そうにして、拳銃を地面に落とした。
「毒だよ。毒蛇のね」人物はそう言い、店の奥へ行った。男は苦しみながら死んだ。
「失礼しまーす。誰かこのグループに入ってくれませんかー」人物はバーの中でメンバーを探していた。
「なんのグループか、によるぞ、、、というか、さっき入口に行ってたボスは?」店内に居た複数人の男が人物に詰め寄った。
「君たちのボス?殺そうとしてきたから。殺したよ?」人物はなんの迷いもなく殺害したことを言った。
「お前が?嘘つけ、うちのボスはな!んな簡単に死なねえんだよ!」男は怒り、バーの入口まで行った。そして顔を真っ赤にして帰ってきた。
「お前、、、本当にボスをやっちまったのかよ、、、死ねぇぇぇぇぇ!ボスの敵だ!」と言いながら男が拳銃を向けてきた。
「君たちのボスもそうやって死んじゃったよ」人物は瞬時に男の背後に回り、後頭部を撃った。
「なっ!?俺等の幹部的な人が、、、」男たちは口を開け、その場に立ちすくんだ。
「もう一度聞こう。グループに入ってくれる人?」人物は笑顔で聞いた。ドヤ顔も交えて。
その次の日には人物の周りにはたくさんの人が集まっていた。人物は大勢の人を引き連れ近くの廃ビルらしき場所に入った。廃ビルの看板には蛇専門店と書かれていた。
「ボス。本日から活動を始めるのでよろしいですね」一人の男が椅子に座っている人物に話しかけた。
「今日は軽くみんなにニックネームを授ける、、、準備をしてくれ」人物はそう言ってクビにかけている蛇をデスクに置いた。
「はい」男は返事をして部屋から出ていった。
「楽しい楽しい復讐劇の始まりだぁ、、、樋口ぃ」
大勢が事務所の広い場所に集まっていた。人物を中心に。
「みんな、サップに入ってくれてありがとう、、、今からみんなにニックネームを授ける、、、一人一人こっちに来てくれ」人物はそう言って手招きをした。
「あ、じゃあ、俺から」一人ひょろひょろしている男が人物に近づいた。
「お前、、、特技は?」人物は男に聞いた。
「潜入と暗殺、、、です!!!」男は突然ポケットから拳銃を取り出し人物に向けた。
「お〜、、、暗殺が得意、、、不合格」人物は男の背後からそう言いナイフで首を刺した。
「ぐはぁっ!」男は鮮血を流しその場に倒れた。
「誰か、ゴミを片付けてくれないか?それとも、ここにいる他のヤツらも、全員ソーアと警察の差し金か?」人物は周りにいるヤツらを一人一人ジロジロ見ていた。
「ボス。こちらのゴミは焼却、それとも遺棄、どちらのほうがよろしいでしょうか」一人髭を生やした男が前に出てきた。
「おお、君か、、、君には、タイガー、タイガースネークのタイガーというニックネームをあげよう、焼いて処理してくれ、可燃ごみだ」
「はい」男は、タイガーというニックネームを授かった。タイガーは遺体を持ち、事務所の裏へ運び、火を付けていた。
2026/6/6
「村西泰斗は君かな?」
「え、いや、違います」男は必死に首を横に振った。
「大丈夫。警察じゃないからさ?なんなら警察の敵なんだよ」人物はそう男に言った。
「そ、そうですか」
「君にしてほしいことがある、この女を公園に誘い出してくれないか?ここの公園だ。できるかな?この時間に誘い出すだけでいいから、その後にすることはまた言うよ、逃亡資金の受け渡し方法もこの連絡先に書いてるから、メッセージ送っといて」人物は紙切れを渡し村西の目の前から去った。
「え、、、あ、ありがとうございます」村西は全く状況が掴めなかった。
6/6 20:45
「あ、あの、、、は、う、上井、上井夏鈴さんですか、、、?」村西はびくびくしながら人物に言われたとおりに公園で女性と会っていた。
「あ、はい、、、連絡をくれた村西さんですか?」上井は少し警戒しながら村西に近づいていた。動き方がすごくぎこちなかった。
「あ、大丈夫ですか?」村西も心配するほどに上井は様子がおかしかった。それでも村西は金のために指示されたことをする。「す、すみません!」村西は金属のバットを振りかざした。村西が振ったバットが上井に当たる直前に上井はすでに死亡していたが、村西は気づかずにバットを上井の頭部に当てた。
「あ、あ、あ、あ、あああああ!」村西は自分のしでかしたことに驚いてその場から走り去った。
「ふう、、、」遺体しかない公園に一人の人物がやってきた。村西に指示を出した人物だ。人物は周りに誰も居ないことを確認し、被っていたフードをのけた。村西に指示を出した人物は、女性だった。
「うーわ、、、監視カメラかよ、、、映像消すの面倒くさいんだよなあ、、、死ねよなぁっ!あははは、、、まー、いっか!消しちゃえばいいんだから!」女性は発狂したり冷静になったりして、監視カメラ映像を保管している場所ヘ行った。そして映像を編集し、指紋や証拠を一切残さずにその場から去った。
現在
「先輩!先輩、、、あの日、大丈夫でしたか?」僕は先輩を見つけてあの襲撃が起こった日大丈夫だったか聞いてみた。
「ああ、田山か、、、ああ、なんとか大丈夫だったよ」先輩は無表情で答えた。
「よかったです!敵に見つからなかったんですか?」僕はそう聞いてみた。もしかしたらサップの何かを知ってるかもしれない。もしそうなら、始末しないといけない。これは残念だがルールだ。
「戸棚の中に入ってその外側に清掃用の道具を散乱させといてたから、ギリギリ大丈夫だったよ、樋口は、、、残念だったな」先輩が悲しそうな表情で言っていた。本当に悲しいかのように。
「はい、、、病室ではあんなに元気だったのに、、、犯人はわかってるんですか?」僕は気になって聞いてみた。
「犯人?まあ、まだ見つかってないだろう、報道されていないし」先輩は早く帰りたいのか、話を終わらせようとしてきた。
「そうですか、、、あ!先輩、すみませんお時間取っちゃって、じゃあ、僕はこれで」僕は先輩がそろそろ限界に達しそうだったので先輩と別れた。
「ああ、またな」先輩はぎこちない歩き方で廊下を通って行った。
僕はしばらく廊下を歩き回ってた。ちょっと先輩のところへ行って暇つぶしをしようとしていると、見慣れた紙切れが落ちていた。
『ソーアと警察への復讐心を絶やさずに クサリヘビ』クサリヘビ、、、聞いたことない、、、攻撃的な性格、、、まだ警察内に僕の知らない毒蛇が紛れてるな。確かこっち側には、、、鑑識課、、、刑事課がある、、、でも原さんはニックネームが違う。
「あ!」僕はあることを思い出した。先輩の腕の傷だ。あの日に事件で先輩の出番がある事件はない、偶然だったとしても、あの時腕の怪我をしているのが2人居た、、、ということは、、、まさか、あの時柱の後ろに隠れていたのは、、、2人居たということか!まさか、先輩と、、、「原さん!?」僕は思わず声を出していた。
「ん〜?どうした?田山ァ」気づけば後ろに原さんが居た。
「ああ、原さん、襲撃の日怖かったですよね」僕はいつものように振る舞った。
「ね〜、私、、、めっちゃ、怖かった。」原さんは表情を一切変えない、さすがサップ一のポーカーフェイサー、、、何を考えてるのか全くわからない、、、警戒しないと。
「警戒しないと。って?どういうことかな〜」原さんが僕の思っていたことを口に出していた。
「え?なんのことですか」僕はひたすらとぼけた。
「とぼけるな。田山。私を警戒しようというのなら、もうすでに遅いぞ。警察内にはサップが大勢いる。気をつけろ。」原さんは顔から表情を消し、そう言ってきた。
「え、、、」僕はそれを聞いて驚いた。やっぱり原さんが。
「だから、しばらく寝ててもらうよ、、、新しい」原さんは何かを最後に言っていたが、気づけば眠っていて、聞き取れなかった。
「起きるんだよ、田山。」原さんの声で目が覚めた。
「えっと、、、ここは」僕は自分のいるところがわからなかった。
「廃ビルだよ、君に見てほしい映像があるんだ。サップに戻ってボスになるのだから、これくらいは基本だけどね」原さんは僕をロープで縛ってどこかへ連れて行った。
「原さん、、、後ろに誰か居ることに気がついてないのかな?」僕は原さんにそう言った。まあ、本当は誰もいないのだけれど。
「なにっ!?」原さんはまんまと引っかかり、後ろを向いて銃を構えていた。その隙に僕は持っていた拳銃を構え、原さんの後頭部に照準を向けた。向けたのだが。
「田山ァ、、、動きが遅いぞ」照準を合わせた瞬間、気づけば原さんは目の前にはおらず、僕の後ろに居た。
「なっ、敵は?」僕はとりあえずまだ敵が居た事にした。
「ふーん、、、田山ァ、、、私を甘く見てるね、、、こんなに簡単に嘘に引っかかると思ったのかい?馬鹿だねえ、、、今は私が新サップのボスをやっているんだよ?知ってた?秘書が、、、君の先輩だよ」原さんがそんな事を言いだした。やっぱり、先輩と原さんは、新サップの幹部らへんなんだな、、、
「は、原さん、、、どうして急にサップを復活させたんですか?」僕は原さんに一応聞いてみた。
「それはね」
「ボス!秘書がサツにやられました!何者かがサツを呼んでいました!今事務所の外に何人もの武装警察が!どうしますか!」新サップのメンバーの一人が慌てて走ってきた。
「なっ!?密告者か!」原さんは顔色を変えた。相当焦っている。
「いえ、そちらの警察官が拉致されているところを、他の警察官に見られていたそうです!」
「名前は!名前はなんだ!」原さんが珍しく声を荒げていた。
「名前は!」
「松本海、元サップメンバー、そして、現役の、SOA。スパイオブアメリカのメンバーだよ」
「なっ!?松本が!?松本は元サップのメンバーだろ!アイツがスパイなわけが」原さんは僕の言ったことが信じられないようだ。
「そして、僕、、、いや、俺も現役のソーアだよ?あの時サップが警察に見つかったのは、樋口の密告だと言った。あれは間違いではないよ、確かに樋口は密告した。でも、もう二人密告者が居るよ?俺と、松本。俺らは樋口が居るソーアの下っ端ではなくて、ボス直属の潜入捜査員。下っ端の諜報員のようなボロが出る仕事はしない。樋口も結局俺が現役ソーアだってことに気がついてなかったけどね」俺は自分の本当の身分を明かした。
「それは、本当なのか?田山!お前!裏切ったな!」原さんが拳銃をこちらに向けた。
「ふーん、、、原さん。田山って誰のことですか?俺は、鈴木ですけど?鈴木勇。田山は、偽名です」
「なっ、、、くそが、、、クソがぁぁぁ!お前ら!こいつを始末しろ!遺体も残らないように焼き殺せぇ!!」原さんが拳銃の照準を俺に向け、引き金に指をおいた。次の瞬間、聞こえてきたのは銃声ではなく、原の悲鳴だった。
「おい、原ぁ、お前こそ、俺等ソーア上層部ナメてんじゃねえよ。お前、整形して顔を何回も変えてるだろ?サップに入る前、あちこちで人を殺しまくって、人を殺すことを削除って言って正当化してる見てえだけどよ、お前ソーアでは指名手配犯だぜ?お前はただの殺し屋なんだよ。デスゲームをやってみたいっていろいろな殺し屋グループの面接で言っていたそうだな?」
「な、なんでそれを」原は俺の情報を聞いて驚いた顔をした。
「なんでって?ソーアの情報網舐めんじゃねえ、いくつか殺し屋グループとも組んでいるんだよ、残念だったな。原」俺は原をその場に縛って、警察に残りを任せた。
「鈴木くーん、、、君は、死ぬよ?もうすぐ死ぬよ?」原が突然そんな事を言った。
「何をたわけたことを言っている。お前ら、拷問室に入れろ。厳重に警備しとくんだ。わかったか?」俺はなにか心に引っかかるものがあった。
警察署にて
「皆さん、本当に、隠していてすみませんでした!」俺はとりあえず同僚のみんなにソーアの捜査員ということを隠していたことについて謝罪した。
「いいんだよ、そのおかげで犯罪組織が摘発されたんだから」みんなは優しい言葉を俺にかけてくれた。
「おーい、田山ぁ、いや、鈴木ぃ!お前、もうすぐ死ぬぞぉ!」笑いながら上井が言った。
「おい!上井!娘さんの無念がはらされたんだから、もういいだろ!そもそも、鈴木って誰だ!」
「上井、、、なんで俺の本名を知ってるのだ?」俺は情報の整理が追いつかなかった。
「新サップの立ち上げを指示したのは。俺だ。夏鈴が死んだのは悲しいが、サップのメンバーたちは仕事を全うしただけだ。そもそも、夏鈴を殺すように指示したのは俺だし。そして、今、お前の体内で、だーいすきな、毒が暴れまわってるよぉ、、、あははははは!!!!!」上井は壊れたように笑っていた。
「ど、毒か、、、あの時原が言っていたのはこういう事か、、、」俺は医務室へ行こうとした。
「鈴木、、、お前が内の情報を外に流す心配がある。だから、死ね。」上井はそう言って銃を俺に向けた。
「くそっ、、、」俺も拳銃を急いで取り出した。引き金に指をおいて、上井に向かって。
「ぎゃあああああああ!!!」聞こえてきたのは上井の悲鳴だった。でも、毒の効果が効いてきたのか、めまいがしてきて、頭痛もする、、、前が、よく見えない。息が、、、
「田山優こと、鈴木勇 享年37歳 他の警察官が毒を使用して殺害した。ここに、ソーア上層潜入捜査員としての栄光を称える。ソーア職員一同」鈴木は手厚く、埋葬された。
「う、うう、ああ、久しぶりに空気を吸ったな、、、久しぶり。世界。俺が戻ってきたぞ」
嘘に嘘というスパイスをかけてみましょう。




