頭ハッピー!!(*´ω`*)!!ーピッハ頭
「みなさーん、生きてますかー!?」
「僕は生きてまーす」「私も生きてまーす」
「あれれー、そこの子は答えないみたいですねー!!? どうしたんでしょうか!!?」
カルト団体に捕まってしまった。
私はただ道を歩いていただけ、こんな気狂いの集合体と融合体みたいなものに付き合うような人間じゃない。彼らは同じ服を着て、同じ目をする。キラキラと輝くような違和感の塊の人間の目を持って。
「……あの」
こいつらに構っちゃダメ。こんな人間ども無視すればいい。私は理性的と理知的をまぜこぜにしたような声を出し、彼に声を聴く。
「あの、すみません」
「えーえ、聞いていないですね。ですよねー、皆さーん」
「「はーい」」
「ほら皆さんも言ってますよ、そんなこと聞いてないなんて。YESかNOかどっちなのかっってのを私は聞いているんです。貴方はその質問にさえ答えず、あまつさえあのなどど自らが高尚であり高等であると言わんばかりの声を出す。きいてますか?、私の言葉」
怖くなってきた。何度も思うが、こういう人間には構ってはいけない。だってそうだろう、カルト宗教以上の極限の凶器じゃないか。人間によってはサリンよりも恐ろしいと思うかもしれない。私は正直そう思う。人間の皮を被った、人未満の何か。
私はこの集会から離れようと、周りを見回した。
コンクリート建ての体育館のような場所に私と信者たち、そしてステージに立つ教祖みたいなあのヒトガタ。不思議の国のアリスの気持ちが初めて分かった気がする。子供の時はその幻想がとても楽しそうに見えたのに、今目の前にするとそれはただの凶器だと分かってしまう。
とにかく、入ってこれたのなら出ることもできるはず。私の周囲三メートル以内には意地でも近づきたくないのか、男女それぞれ信者どもが私を囲んでいる。そしてステージのヒトガタは甲高い声を出した。
「ねぇ、効いてるかって聞いてるんです。ふふふふ、聞いてると効いてる、良いですよね。貴方も言葉の魔術を手に入れてはみませんか?」
「……」
無視だ。構わないことが最善策。
「お、おとっと。音が振動して聞こえるように、貴方の脳みそに効く波長はどのようなものなのでしょうか?」
ステージからあのヒトガタが降りてくる。
コツコツと学校のステージにしかないあの階段をゆっくりと。まるで卒業式の生徒のように緊張しながら一段ずつ足元を見つめて。
いやいや、見てる場合じゃない。私はそいつに背を向けながら、信者の壁を突破しようと試みる。
私の背中で、あのヒトガタを通すため、信者どもが受容体のように一斉に活動し始めた。
「おととととと。おと? ふふふふふ。貴方は幸せでーすか?」
私は振り向いた。振り向いてしまった。
しかし、私が振り向きの動作のターンに割り込むよう、信者が答えかける。
「僕は……」
ヒトガタの強制ターン。
「聞いてないよ? あなたは自己を売買し、そしてその罪を勘定しなさい。自らのすべてを制裁し、そして裁判を終えなさい」
「僕は制裁します」
そして彼はどこからか持ち出してきた刃物を首に突き立て、そして死んだ。
血を吹き出し、その血は神のように地を作ったりもしない。ヒトガタはその信者の手を優しく、そして爪で皮膚が削れるほど握りしめる。
「あなたの制裁はそのような事故ではありません。貴方は生まれたことさえ罪ではありません。皆さーん聞いてますかー?」
「「「「聞いてまーす」」」」
「それでよろしいのです。脳に語り掛ける波長がないのであれば、私たちはその形状を鑑みて永遠の目を持てばいいのです。死人は意味がないですが、視認は意味があります」
怖い。凶器ではなく、それはただの死期。
こいつに逆らったら死ぬ。目の前で自殺した彼の死体は信者たちに飲み込まれるようにして消えてしまった。地面に遭った血の池も、彼の体も、最後に発した呻き声も。何もかも包み隠すように信者たちは叫びまわる。
私はどうしたらいいんだろう。これからどうすればいいのだろう。こんな異質がたっぷりと詰まったようなケーキの中で私は受け入れるしかないのだろうか。いやいやいや、私は最後まで抵抗しないといけない。私はまともな人間だ。このヒトガタとは違う。
「「「「私たちの胃液の消化は限られていますが、私たちはその延長線上の永遠を求めます。それがなければ延長は直ちに切断。そして終わりです。」」」」
ヒトガタは答えない。その群衆を見つめている。
「……飽きました。飽きてしまいました。皆さんは私に与え、与えることは与えた。その死は無意味ではありますが貴方ノ価値は価値として計上されています。カチカチです。価値がカチカチなのです」
ヒトガタは一足ずつ私の前にやって来た。カルト教団の教祖のようでは全くない、それどころかこの世界そのものを意味しているかのような壮大さと荘厳さを兼ね備えたエリートの神を名乗るような気がする。
そしてヒトガタは言った。
「貴方はー、し、あわせぇぇ――はてさて幸せとは? そして人は貴方の中に存在し、常に視認を与えています。価値はありますがないと計算されます。ゼロはゼロですが、ゼロノ二乗はゼロではありません。存在は確定し、そして制定されます。しかし選択は一様であり、失敗は今回です」
そんなことを言いながらヒトガタの顔はねじれ、地面にめり込んでいく。
そして私は、とある路地に立っていた。
立っていたというか、出現したと言えばいいのか。分からないが、私はあのカルトから抜け出せたようだ。
冷や汗らしきものが体を覆い、路地裏のじっとりとした空気が私を包み込む。私は立ち上がり、コートの中の注射器をその場に投げ捨てた。私はきっと悪い夢を見ていたんだろう。革靴の裏で粉々になった注射器を見ると、私の孤独が再燃してくる気がする。
……誰か、見ててくれないかな。
そう思いながら私はその場を後にした。残ったものは私の願望と、少しの肯定感。
深夜テンションはダメだと思います。
(*´ω`*)……




