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無能と追放された陰陽師の俺が、古代神族の力で成り上がる  作者: アイザワ


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火焔山の謎

火焔山は、朱雀の都から東に半日の場所にあった。

赤茶けた岩山で、名前の通り火山活動が活発だ。山頂からは白い煙が上がり、所々から熱気が噴き出している。

「暑いな……」

刹那が額の汗を拭った。

「火の陰陽師なのに、暑いのは苦手なのか?」

蒼真が笑うと、刹那は頬を膨らませた。

「う、うるさい! これは別だ!」

「ふふ、可愛い」

朝霧が笑った。

「可愛いとか言うな!」

和やかな雰囲気だったが、白金は真剣な顔をしていた。

「蒼真様、妖気を感じます」

「どこだ?」

「あの洞窟です」

白金が指差す先に、大きな洞窟があった。

「行ってみよう」

一行は洞窟に入った。

中は薄暗く、熱気が充満している。

「気をつけろ。何が出てくるか分からん」

蒼真は短刀を抜いた。

奥へ進んでいくと――

広い空間に出た。

そして、そこには――

「これは……」

蒼真は息を呑んだ。

空間の中央に、巨大な魔法陣が描かれていた。

複雑な文様、古代文字、そして中心には……

「人が……!」

朝霧が叫んだ。

魔法陣の中心に、何人もの人間が倒れていた。

いや、倒れているのではない。

まるで眠っているように、動かない。

「消えた人たち……!」

蒼真は駆け寄ろうとした。

だが――

「動くな」

冷たい声が響いた。

影から、一人の人物が現れた。

黒いローブを纏い、フードで顔を隠している。

「貴様……!」

刹那が炎の剣を構えた。

「お前が、人を攫ったのか!?」

「攫った? 違うな」

ローブの人物は笑った。

「彼らは、自ら来たのだ」

「何……?」

「この魔法陣に呼ばれてな」

人物は魔法陣を見下ろした。

「霊力を持つ者は、この陣に引き寄せられる」

「そして、霊力を吸い取られる」

「霊力を……!」

蒼真は愕然とした。

「何のために……!」

「決まっているだろう」

人物はフードを脱いだ。

その顔は――

若い男性だった。二十代前半。整った顔立ちだが、その目は狂気に満ちている。

「神を殺すためだ」

「神を……殺す……!?」

「そうだ。この世界から、神を消し去る」

男は魔法陣に手を翳した。

「そのために、大量の霊力が必要だ」

「だから、集めているのさ」

男は不気味に笑った。

「もうすぐ完成する。『神殺しの陣』が」

蒼真は拳を握った。

「そんなこと……させるか!」

蒼真は男に斬りかかった。

だが、男は素早く避けた。

「速い……!」

「お前ごときに、俺は倒せん」

男は印を結んだ。

「■■■(黒炎召喚)!」

男の手から、黒い炎が噴き出した。

「黒炎……!?」

刹那が驚いた。

「まさか、あれは……」

「知っているのか?」

「ああ。あれは『冥界の炎』だ」

刹那の顔が青ざめた。

「触れたら、魂ごと焼かれる……」

黒炎が蒼真たちに襲いかかる。

「白金!」

「はい!」

白金が氷の壁を作り出した。

だが、黒炎は氷をも溶かした。

「まずい……!」

「瑠璃!」

『はい、我が主よ』

瑠璃が姿を現した。

「水流で、炎を消せ!」

『やってみよう』

瑠璃が大量の水を放出した。

水と炎がぶつかり、蒸気が立ち上る。

「やった……?」

だが、蒸気が晴れると、男はまだ立っていた。

「ほう、神獣か」

男は興味深そうに瑠璃を見た。

「面白い。お前の霊力も、いただこう」

男が再び攻撃しようとした時――

「やめろぉぉ!」

別の声が響いた。

洞窟の入口から、一人の青年が駆け込んできた。

「蒼空……!」

紅葉が叫んだ。

紅葉も、蒼真たちの後を追ってきていた。

「紅葉……なぜ、ここに……」

蒼空は息を切らしていた。

「お前は逃げろ……こいつは……危険だ……」

「蒼空!」

紅葉は蒼空に駆け寄った。

「無事だったのね……」

「ああ……何とか……」

蒼空は男を睨んだ。

「でも、このままじゃ……」

「心配するな」

蒼真が前に出た。

「俺たちが、こいつを倒す」

「お前たち……?」

蒼空は蒼真を見た。

「ああ。俺は蒼真。仲間と一緒に、この事件を解決する」

「蒼真……」

蒼空の顔が驚愕に染まった。

「まさか、お前が……」

「知っているのか?」

「ああ……噂は聞いている……」

蒼空は立ち上がった。

「なら、頼む……俺も手を貸す……」

「無理するな」

「いや、俺にもやらせてくれ」

蒼空は霊力を練り始めた。

「こいつに、仲間を傷つけられたんだ……」

「仕返しさせてもらう」

蒼真は蒼空を見て、頷いた。

「分かった。一緒に戦おう」

「ああ」

蒼真、白金、朝霧、刹那、そして蒼空。

五人は、男に向かって構えた。

「ふん、何人来ても同じだ」

男は不敵に笑った。

「全員まとめて、葬ってやる」

激しい戦いが、始まった。

黒炎が舞い、氷が砕け、雷が轟く。

蒼真たちと男の戦いは、互角だった。

だが、時間が経つにつれ、男の動きが鈍くなってきた。

「くそ……まだ、霊力が足りないのか……」

男は魔法陣を見た。

「もう少し……もう少しで完成するのに……」

その隙を、蒼真は見逃さなかった。

「今だ!」

蒼真は霊力を短刀に込めた。

黄金の光が、刃を包む。

「はああああっ!」

蒼真の斬撃が、男を貫いた。

「ぐあっ……!」

男は地面に倒れた。

「やった……」

刹那が安堵のため息をついた。

だが――

「まだだ……」

男は立ち上がった。

「まだ、終わらせん……」

男は魔法陣に向かって手を伸ばした。

「この陣を……完成させる……」

「させるか!」

蒼真は再び斬りかかろうとした。

だが、間に合わない。

男の手が、魔法陣に触れる――

その瞬間。

魔法陣が激しく光った。

「なに……!?」

光が爆発し、洞窟全体を包み込む。

蒼真は目を閉じた。

そして――

光が消えた時。

男の姿は、消えていた。

魔法陣も、消えていた。

ただ、倒れていた人々だけが残されていた。

「どういうことだ……?」

蒼真は困惑した。

「分かりません……」

白金も首を傾げた。

「でも、人々は無事です」

「本当に……?」

朝霧が人々を調べた。

「呼吸もあります。眠っているだけみたいです」

「よかった……」

蒼真は安堵した。

だが、心の中には不安が残っていた。

男は、どこに消えたのか。

魔法陣は、完成したのか。

そして、これから何が起きるのか。

蒼真には、分からなかった。

ただ、嫌な予感だけが、心に残っていた。

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