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無能と追放された陰陽師の俺が、古代神族の力で成り上がる  作者: アイザワ


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新たな旅立ち

水鏡の都での事件から三日後。

蒼真たちは、出発の準備を整えていた。

「本当に行ってしまうのですか?」

蓮が残念そうに言った。

「はい。お世話になりました」

蒼真は深く頭を下げた。

「いえ、こちらこそ感謝しています」

蓮は蒼真の肩を叩いた。

「あなた方のおかげで、都は救われました」

蓮は懐から、分厚い袋を取り出した。

「これは、約束の報酬です。銀貨百枚」

「ありがとうございます」

白金が袋を受け取った。

「それと」

蓮はもう一つ、小さな箱を差し出した。

「これは、私からの餞別です」

蒼真が箱を開けると、中には青い勾玉が入っていた。

「これは……」

「『水龍の勾玉』です」

蓮が説明した。

「青龍神社に代々伝わる宝物で、水を操る力があります」

「そんな貴重なものを……」

「受け取ってください」

蓮は微笑んだ。

「あなたなら、きっと正しく使ってくれる」

蒼真は勾玉を手に取った。

ひんやりとした感触と共に、穏やかな力が流れ込んでくる。

「大切に使わせてもらいます」

「それと、もう一つ」

蓮は地図を広げた。

「次は、どちらへ?」

「まだ決めていませんが……」

「でしたら、ここをお勧めします」

蓮が指差したのは、都から南に十日ほどの場所。

「『朱雀の都』」

「朱雀の都……」

「そこには、四大神社の一つ『朱雀神社』があります」

蓮は真剣な顔になった。

「実は、最近そこで不穏な動きがあると聞いています」

「不穏な動き?」

「詳しくは分かりませんが、妖怪の出現が急増しているとか」

蓮は地図を畳んだ。

「もしよければ、調査してもらえませんか?」

蒼真は仲間たちを見た。

白金、朝霧、刹那は皆、頷いた。

「分かりました。行ってみます」

「ありがとうございます」

蓮は安堵の表情を見せた。

「では、これを」

蓮は紹介状を渡した。

「朱雀神社の神主に渡してください。きっと協力してくれるはずです」

都の南門で、凛太郎と雪乃が見送りに来ていた。

「兄さん」

凛太郎が蒼真に近づいた。

「次に会うときは、もっと強くなってる」

「ああ、俺もだ」

二人は拳を合わせた。

「お互い、頑張ろうな」

「ああ」

雪乃も蒼真に抱きついた。

「兄様、気をつけてください」

「ああ。お前も、身体に気をつけて」

蒼真は妹の頭を撫でた。

「父上のことも、よろしく頼む」

「はい」

雪乃は涙を拭った。

「必ず、また会いましょう」

「ああ、約束だ」

蒼真は二人に手を振り、門をくぐった。

振り返ると、凛太郎と雪乃が手を振っている。

「良い家族ですね」

白金が微笑んだ。

「ああ」

蒼真も笑顔になった。

「誤解は解けた。これからは、きっと大丈夫だ」

「さあ、行きましょう」

朝霧が前を向いた。

「新しい冒険が、待っています」

「おう!」

刹那が拳を突き上げた。

「俺、なんかワクワクしてきた!」

一行は南へと向かって歩き出した。

二日後。

蒼真たちは、街道沿いの小さな村に立ち寄っていた。

「ここで食料を補充しよう」

村に入ると、妙に静かだった。

「人が少ないな……」

刹那が周囲を見回した。

「何かあったのでしょうか」

朝霧が不安そうに言った。

その時、一人の老婆が家から出てきた。

「あんたら、旅の者かい?」

「はい。食料を買いに来たんですが」

「それなら、早く出て行きな」

老婆は警告するように言った。

「この村は今、危険なんだよ」

「危険?」

「ああ。三日前から、夜になると妖怪が出るんだ」

老婆は怯えた顔をした。

「もう五人も、攫われちまった」

「五人も……!」

蒼真は眉をひそめた。

「それは、放っておけませんね」

白金が言った。

「俺たち、陰陽師です」

蒼真が老婆に告げた。

「その妖怪、退治させてもらえませんか?」

「陰陽師……!」

老婆の顔が明るくなった。

「本当かい!?」

「はい。任せてください」

「ああ、ありがとう! ありがとう!」

老婆は涙を流して喜んだ。

日が暮れ、夜が訪れた。

蒼真たちは、村の中心で待ち伏せしていた。

「来るか……」

刹那が緊張した面持ちで呟いた。

「ええ。妖気を感じます」

白金が警戒する。

「近づいてきます」

静寂の中、突然――

「ヒヒヒヒヒ……」

不気味な笑い声が響いた。

闇の中から、複数の影が現れた。

それは――小さな妖怪の群れだった。

小鬼こおに……!」

白金が叫んだ。

「でも、数が多すぎます!」

小鬼は二十体以上いた。

「やるしかねぇ!」

刹那が炎の剣を構えた。

「行くぞ!」

戦闘が始まった。

刹那が炎で小鬼たちを焼き払う。

朝霧が光で小鬼を退ける。

白金が氷の刃で小鬼を斬る。

蒼真も短刀を振るい、次々と小鬼を倒していく。

だが、小鬼の数は減らない。

倒しても倒しても、新たな小鬼が現れる。

「きりがない……!」

刹那が息を切らした。

「どこから湧いてくるんだ……!」

その時、蒼真が気づいた。

「待て……この小鬼たち、何かに呼ばれている……」

蒼真は妖気の流れを感じ取った。

「村の外……森の奥から……」

「森に、親玉がいるんですか!?」

朝霧が聞いた。

「おそらく」

蒼真は決断した。

「刹那、朝霧、白金! お前たちはここで小鬼を食い止めろ!」

「蒼真様は!?」

「俺は親玉を倒しに行く!」

「一人で!? 危険です!」

白金が反対した。

「大丈夫」

蒼真は微笑んだ。

「銀月がいる」

『その通りだ、我が主よ』

銀月が姿を現した。

「私が、蒼真様を守ります」

「白金……」

「信じてください」

白金は頷いた。

「行ってらっしゃい」

「すぐに戻る」

蒼真は銀月に乗り、森へと駆け出した。

森の奥深く。

蒼真と銀月は、巨大な洞窟の前に到着した。

「ここか……」

洞窟からは、強烈な妖気が溢れ出ている。

『我が主よ、気をつけろ』

銀月が警告した。

『この妖気……ただの妖怪ではない』

「分かってる」

蒼真は短刀を抜いた。

「行こう、銀月」

『うむ』

二人は洞窟に入った。

中は暗く、湿っぽい。

奥へ奥へと進んでいくと――

広い空間に出た。

そこには、巨大な妖怪が座っていた。

三メートルはある、鬼のような姿。

赤い肌、鋭い角、そして凶暴な目。

「人間か……」

鬼が蒼真を見下ろした。

「久しぶりだな、人間の肉は」

「貴様が、親玉か」

「ああ。俺は鬼王・紅牙こうが

鬼は立ち上がった。

「お前を喰らって、力をつける」

「やれるものなら、やってみろ」

蒼真は構えた。

「ほう、生意気な」

紅牙は拳を振り上げた。

「死ね!」

巨大な拳が、蒼真に迫る。

『危ない!』

銀月が蒼真を庇った。

ドガァン!

銀月が吹き飛ばされる。

「銀月!」

『大丈夫だ……だが、強い……』

紅牙は笑った。

「神獣など、俺の敵ではない」

紅牙は再び拳を振り上げた。

蒼真は避けたが、次の攻撃が来る。

紅牙の連続攻撃に、蒼真は押されていく。

「くそ……速い……!」

このままでは――

その時。

蒼真の右手の痣が、熱くなった。

「なに……?」

痣から、青い光が溢れ出す。

それは、蓮からもらった水龍の勾玉が反応しているのだ。

「これは……」

蒼真の中に、声が響いた。

『契約を……我と契約を……』

「誰だ……?」

『我は水龍・瑠璃……汝の力を認めた……』

「水龍……」

『我が力を使え……そして、あの鬼を倒せ……』

蒼真は勾玉を握りしめた。

「分かった……契約しよう!」

勾玉が激しく光り、蒼真を包み込んだ。

光の中から、巨大な水龍が現れた。

青い鱗、美しい角、そして優雅な身体。

「これが……水龍……」

『我が名は瑠璃。これより、汝の式神となる』

瑠璃の声が響いた。

蒼真の右手に、新たな紋章が刻まれる。

三体目の契約。

「よろしく頼む、瑠璃」

『うむ。では、あの鬼を倒そう』

瑠璃が紅牙に向かって水流を放った。

「ぐおっ!?」

紅牙が吹き飛ばされる。

「銀月!」

『ああ!』

銀月も立ち上がり、光を放った。

水と光が融合し、虹色の奔流となって紅牙を襲う。

「ギャアアアア!」

紅牙は奔流に飲まれ、消滅した。

静寂が訪れた。

「やった……」

蒼真は膝をついた。

『お疲れ様、我が主よ』

瑠璃が優しく言った。

『これから、よろしく頼む』

「ああ。こちらこそ」

蒼真は微笑んだ。

三体目の式神を得た蒼真。

その力は、確実に増している。

そして、旅はまだまだ続く。

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